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わかりやすい答を求められても、ちょっと困る

理由を知りたい。
原因を知りたい。
どうすればいいのか知りたい。

人は皆、知りたがりやさんです。
知りたい気持ち、知的好奇心がうまく働けば良い学びにつながって成長していけるのだけど、
幼児の「なんで?どうして?」と違って大人のそれは、
シンプルな答を聞いて安心したい、そんな気持ちからの「なぜ?」が多い。

だから、得られる答はできるだけシンプルでわかりやすいものがいい。

これこれこういう理由で、原因で、こんな状態になっています。
これとこれをやれば(これとこれをやるだけで)、この状態から(すぐに)抜け出せます。

求められているのはこんな ↑  答でしょう。

「これさえやれば成績アップ」とか
「3ヶ月で英語がペラペラになるメソッド」とか
「我慢しなくても体重が減るダイエット法」とか、
きっとそういうのが求められてる。

でもそれ、無理やから。

どんなものも、複数の要素が絡み合い影響しあってできてる。
複雑に絡み合った要因を、即座に1発で解決する方法なんてないし、
なんの努力も労力も使わずに何かを達成するのもほぼ無理。
人それぞれに状況も特性も違う。


うちは鍼灸院ですから、よく訊かれるのが体の状態に関すること。
「この痛みの原因は何?」などです。
この問いには、はっきり正直に言えば「いろいろ」としか答えられません。
それでもなんとか、可能な限り単純化して
「疲労と、冷えもあるかな。運動不足もあるし、あと足首がね…」なんて感じに答えます。
たぶん期待されているのは「ここの筋肉が(関節が)こうなってこうだから、ここをアレしてコレすればよくなりますよ」だと思うの。
痛みがあるのが腰なのに、そこで足首や首の話なんかされても「は?」ってなるだろうし、
運動習慣を身につけるのが大事だよとか、日常生活の注意点を言われても「わかっちゃいるけどね」となるだろう。

わかりやすい原因を知って、わかりやすく簡単な対処法を知りたい。
その気持ちはよーくわかります。
努力せずに楽になりたいし、運動不足とか自分でもわかっていることを言われるのもちょっとイヤ。
わかってるけど、できへんねん。
だから、なんか違う方法ないかなーって訊いてるねん。
って気持ち、よーくわかります。

でも無理なもんは無理。
これで即解決!なんてマジックはないから。
このツボに鍼をしたら解決! なんてミラクルもないから。

たとえば痛みをとることは即座にできても、
それを「解決」とは私は思っていないから。
再び痛みが出ないようにすること、それが「解決」だと思っているから。
そのためには、患者さん自身の心がけ、生活習慣の改善などが必要なのです。
胃薬飲みながら暴飲暴食してても胃は良くならないでしょ?
暴飲暴食を控えることが大事なのはわかりますよね?
自身はなんの節制もせずに良くなろうとしても、それは無理ってもんで。

でもまぁ、暴飲暴食をしてしまうのにはやっぱり理由があるわけですよ。
ストレスだったり環境だったり、いろいろ。
で、鍼灸(東洋医学)は、この「暴飲暴食してしまう原因」をなくすことを目指して施術をするのです。
鍼灸施術は胃薬の役割(痛みや不快感を消す)のではなく、胃薬のいらない体にしていくことを目指す施術。

体の機能がきちんと働けば、
食欲がコントロールできたり、
やる気が出てきたり、
体を動かす気になったり、
気持ちの面でも変化が起きてきます。

うちが局所(肩だけ、腰だけ)でなく、全身を整える施術を基本にしているのは、心身ともに元気になれる施術だからです。



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