見出し画像

中医学の臓腑「肺と大腸」①

みなさん、こんにちは。中医学の臓腑シリーズ4は「肺と大腸」です。
肺と大腸の症状は身近なものが多いので皆さんの体調だったり患者さんのお悩みを解決したいときに臓腑の知識があると役立つことも多いと思います。
よかったら活用してみてくださいね。
それでは、いってみましょう。

肺の機能

まずは、メインとなる機能についてです。

「主気」
「宣発」
「粛降」
「通調水道」
「肺朝百脈」

肺の機能はこのように5つあります。
言葉で見ると難しそうですが、その機能はシンプルです。
一つずつ詳しく見ていきましょう。

「主気」
肺は「気」と「呼吸」をコントロールするということです。
「気」は4つあります。よかったら詳しくは「精と気」を参考にしていただければと思います。

その4つの気が正常に機能するようにコントロールしていくのが肺の機能です。
ただ、その気をうまく運用する際には呼吸が必要になりますので「呼吸」も気のコントロールに密接に関わってきます。

吸気で大気中の清気を吸い込み、呼気で体内に濁気を出していきます。
体内に入った清気は、脾胃で作られた「水穀の精微」と合体して「宗気」を作ります。
この胸にたまった「宗気」は、「拍動」「呼吸」「発声」に関わっています。

「宣発」「粛降」
「宣発」は発散させること。「粛降」は内側に引き込むことをを指します。
呼吸も宣発と粛降の機能で初めて成り立ちます。
発散をさせる「宣発」は、濁気は体の外へ排泄させようとする力にも働きます。
つまり、酷く「宣発」機能ががダメージを受けると吐けなくなる為、過呼吸状態になります。
濁気の他にも、津液や水穀の精微も発散させようとします。
人の体の一番外側は、皮膚ですよね。
津液や水穀の精微が発散されなくなってくると皮膚は乾燥し痒みが生じ、衛気を作れなくなるので防御機能が下がります。
防御機能が下がるということは免疫機能が下がる為、風邪を引きやすくなります。
このことを「易感冒」と言います。
津液の発散をコントロールできなくなるというのは、汗腺を開閉してコントロールして調整することになります。中医学では汗腺のことは「腠理」と言います。「腠理」のコントロールができなくなると皮膚の乾燥に合わせて、体温調整もうまくいかなくなりますので暑がったり寒がったりする可能性があります。
この宣発機能が失われた状態のことを「肺気失宣」と言います。
この症状は「鼻詰まり」「くしゃみ」「咳」などになってあ現れてきます。


「粛降」
内側に引き込むことと説明しましたが、「粛降」には「きれいにする」という意味もあります。
気道を清潔に保ち、潤いを保つ機能が代表的ですので、「粛降機能」がダメージを受けてしまうと、気道が汚れ乾燥する為、呼吸異常・痰・喀血が起きてきます。


「通調水道」
言葉は難しいですが「宣発」と「粛降」の機能を使って体内の津液を動かして機能的に使うか排泄をさせることを指します。
通調水道の機能が下がると水の循環を阻害されていることになりますので、「顔のむくみ」となって症状が出てきます。


「肺朝百脈」
「朝」の字は集めるということを示します。
「百脈」は全身にたくさんある経脈のことになります。
全ての経脈は肺に通じており、肺の機能によって全身に「気」や「津液」が分配されるということです。

肺は重要

肺の機能をシンプルにまとめるとこんな感じです。
どの機能も人の生命維持には欠かせないものばかりでしたよね。
西洋医学でも、肺にダメージが加わる肺疾患は治療しないと致命的な症状に見舞われます。
今は軽症だからと決して放っておいていいものではないので、肺の機能低下が疑われる場合はしっかり治療していくことがとても大事になります。

肺の機能だけでも覚えること、理解することが多いなと感じる方もいると思うので、ここで一旦休憩にします。
次回の後半パートで、機能低下のサインや大腸の説明を交えていきたいと思いますので、後半もお楽しみに。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?