それはまるで私に「聞いてくれよ、聞いてくれよ」と言っているように思えたのです。
私はもう一度始めてみようと思いました。 とりあえず毎日の勤行とS会の書籍の拝読からスタートしました。
毎日続けていると、ある日娘が私に質問してきました。
「パパは毎日何をしているの?」
「勤行だよ。仏様の前で仏教の教えを聞かせてもらっているんだよ」
「ふーん、それはどんな教えなの?」
ドキドキしました。まさか娘が仏教に興味を持つなんて思っていなかったからです。私は浄土真宗の教えを説明しました。(ただ、この時点ではS会の教えですが)娘はとても興味を持ち、私の勤行と書籍の拝読に加わるようになりました。また、兄も誘って三人で勤行するようになりました。
S会の教えから抜けられないまま家族の勤行は数年続くのですが、転機が訪れました。浄土真宗本願寺派の僧侶、久保龍雲先生がツイッターで私をフォローしてくれたのです。浄土真宗のお坊さんなんて、正しい浄土真宗を伝えていないと思い込んでいた私は、普段ならばスルーしてしまうのですが、気になってホームページをのぞいてみました。メインは「ゼロからわかる浄土真宗」で、別コーナに龍雲先生の体験記がありました。note の「死ぬのが怖い人へ」の前身のような感じで、どうやって浄土真宗の教えに出会い、ご信心を頂いたのか書かれていました。
読ませて頂くうちに「ひょっとしてS会の教えは間違っているんじゃないか?」と思うようになりました。長年信じていたもの(でも心のどこかで何だかおかしいな?と思っていたもの)がだんだんと崩れていきました。
おかしいと思っていた理由として、
・組織の中で信心決定していると公言している人が会長のT氏だけ。
・方便と言って組織名を隠して勧誘している。
この二点はずっと引っかかっていました。でも、会を運営・維持していくということは綺麗事だけではできないのかなとも考えていました。 他に正しい浄土真宗を伝えてくれる人や団体はいない、本願寺もその末寺も葬式仏教に成り果てていて、信心のことなんて伝えていないと思っていました。 今振り返るとおかしい考え方をしていましたね。
アッと思ったときにはもう臨終の時がやってくる。やはり死の解決をしたいという思いはありました。でもつらい思いをした組織には戻りたくない、だから勤行とS会の書籍という手段で求めようと思っていたのです。誰かが『そのやり方は間違っているよ』と指摘してくれたわけではありませんが、私は正確な仏法を聞く機会を与えられました。
龍雲先生とやり取りをするようになり、先生がフェイスブックに立ち上げた聞法道場に参加しました。掲示板の中でテーマを決めてみんなで発言したり、先生とやりとりをしたりするのですが、びっくりしたのは、心境が変わられた方が次々に出たことです。 S会では信心決定する人を見たことがなかったのに、直接会わないネットでのやり取りで変わられる方が出てくるんだ!これはすごいことだと思いました。