風の電話〜想いをつなぐ場所
昨年から「みちのく潮風トレイル」を、お客さまをお連れして歩いています。
東日本大震災の復興に資するため、環境省が策定した「三陸復興国定公園」。
青森県八戸市から福島県相馬市まで、1000キロ以上の太平洋沿岸をつなぐロングトレイルです。
さすがに全てを歩けませんが、4県29市町村は必ず歩くことを主旨として、ツアーを始めました。
毎回、2泊3日の行程なのでカメの歩みのようですが…苦笑
今はちょうど岩手県の真ん中あたり。
4回目となる先週末は、宮古市〜山田町〜大槌町を歩いてきました。
※※※
2日目は、山田町と大槌町をまたぐ鯨山へ。
標高こそ610mですが、sea to summitなので
なかなかハードな行程です。
そして…
鯨山の下山口にある「風の電話」に立ち寄ることも目的のひとつでした。
震災後、ニュースなどで目にした方も多いかと思いますが。
そこは、岩手県大槌町の小高い丘の上に立つ、ベルガーディア鯨山にある、白い電話ボックス。
中には黒電話がおいてあり、電話線は繋がっていません。
これを設置したのは、庭師の佐々木さん。
震災前に仲の良いいとこが、病に倒れ、亡くなる前に家族と繋がれる場所を、という想いから。
直後に東日本大震災があり、その後、多くの人が訪れる場所になりました。
ちょうどスイスから男性が来ていました。
全然知らなかったのですが、2020年に公開された映画「風の電話」が、世界中でヒットしたそうです。
訪れた日は、まさしく母の命日。
本来なら、今回の初日に行く予定でしたが、前回雨のため、行けなかった「本州最東端の魹ヶ崎」を初日にしたため、ずれ込んでしまったから。
不思議な空間でした。
中に入ると、外の世界とは違う感覚。
何か暖かいものに包まれて、置いてある黒電話のダイヤルを回しました。
ジーコロコロコロ
ジーコロコロ…
指先に伝わるノスタルジア、実家での出来事が走馬灯のように蘇ってきました。
お墓参りでは、ただ近況報告をしているだけなのに、自分でも驚くほど、どんどん話しが出てきます。
まるで受話器の先に母がいるように…
今年は、母が亡くなって21年。
急に母に会いたくなりました。