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令和7年度の地方財政の見通し・予算編成上の留意事項等(DX関係)
令和7年度の地方財政の見通し・予算編成上の留意事項等が総務省から発表されたので、DX関係をざっと抜き出し、重要そうなところを太字にしました。
1時間程度でざっと見ただけですので粗い部分もありますが参考になれば幸いです。
デジタル投資の推進
担い手不足が急速に深刻化するおそれがある中、自治体DX・地域社会DXの取組を加速するため、新たに「デジタル活用推進事業費(仮称)」を1,000億円計上することとしている。
地方創生2.0
新たな地方創生施策(「地方創生2.0」)の展開に向け、地方公共団体の自主性と創意工夫に基づく、産官学金労言など地域の多様な主体の参画を通じた地域の独自の取組などを支援するため、「新しい地方経済・生活環境創生交付金」が創設され、令和6年度補正予算(第1号)において1,000億円が計上されるとともに、令和7年度予算においても2,000億円が計上されている。その地方負担については、ハード事業は地方債を充当できることとし、ソフト事業は地方交付税措置を講ずることとしている。
地域デジタル社会推進費
地方公共団体が自主性・主体性を最大限発揮して地方創生に取り組み、地域の実情に応じたきめ細かな施策を可能にする観点から、地方財政計画の歳出において、「地方創生推進費」について、前年度同額の1兆円を計上し、また、地方公共団体が地域の実情に応じた、デジタル実装を通じた地域が抱える課題の解決に取り組むため、「地域デジタル社会推進費」について、2,000億円を計上し、これらを内訳として、「デジタル田園都市国家構想事業費」から名称を変更した、「新しい地方経済・生活環境創生事業費(仮称)」(1兆2,000億円)を計上することとしている。
なお、「地域デジタル社会推進費」のマイナンバーカード利活用特別分500億円は終了するが、一般行政経費(単独)において「デジタル活用推進事業費(仮称)」を創設し、1,000億円を計上することとしている。
地域社会のデジタル化の推進に関する具体的な取組事例
各地方公共団体においては、地域の実情に応じて、地域活性化、交通・福祉をはじめとした地域課題の解決、誰もがデジタル化のメリットを享受できるデジタルデバイド対策などに取り組んでいただきたい。その際、総務省において、地域社会のデジタル化の推進に関する具体的な取組事例を取りまとめた「地域社会のデジタル化に係る参考事例集【第3.0版】」(令和6年5月31日総務省公表)について、各地方公共団体の新たな取組状況を踏まえつつ、地方公共団体が取り入れやすい汎用的な事例や、住民がサービスの恩恵を強く感じられる事例を中心に内容の拡充を予定しているので、参考にしていただきたい。
デジタル活用推進事業費
担い手不足が急速に深刻化するおそれがある中、デジタル技術を活用した行政運営の効率化・地域の課題解決等に向けた取組をしていくため、地方財政計画の一般行政経費(単独)において、「デジタル活用推進事業費(仮称)」を創設し、令和7年度は1,000億円を計上することとしている。
デジタル活用推進事業費の対象事業
対象事業は、デジタル活用推進計画に位置付けて実施する以下の地方単独事業等(「地方公共団体情報システムの標準化に関する法律」(令和3年法律第40号)に基づく標準化のために必要な経費を除く。)としている。
行政運営の効率化・住民の利便性向上を図る自治体DXの推進
住民サービスの提供に必要な情報システムの導入
共同調達による情報システムの導入
住民利用又は住民サービスの提供に必要な職員利用の情報通信機器の購入
公共施設のネットワーク環境の整備
地域の課題解決を図る地域社会DXの推進
地方公共団体及び公共的団体等による日常生活に不可欠なサービスの確保、地域産業の生産性向上等地域の課題解決に資する情報システムの導入及び情報通信機器等の整備(公共的団体等による事業は地方公共団体からの補助が対象)
その対象事業について、地方債の特例措置を創設するため、「地方財政法」(昭和23年法律第109号)の改正を行う予定であり、その地方負担については、90%まで地方債(デジタル活用推進事業債(仮称))を充当できることとし、後年度の元利償還金に対する地方交付税措置については、国庫補助事業の地方負担や一部の地方単独事業を除き、その50%を基準財政需要額に算入することとしている。
事業期間については、令和11年度までとしている。
「デジタル社会の実現に向けた重点計画」(令和6年6月21日閣議決定)及び「自治体デジタル・トランスフォーメーション(DX)推進計画【第3.0版】」
5 「デジタル社会の実現に向けた重点計画」(令和6年6月21日閣議決定)及び「自治体デジタル・トランスフォーメーション(DX)推進計画【第3.0版】」(令和6年4月24日総務省公表)等を踏まえ、以下の点に留意し、必要な取組を進めていただきたい。
マイナンバーカード
マイナンバーカードについては、希望する全ての国民が円滑に取得できるよう、取得環境の整備に取り組むとともに、利便性の向上にも積極的に取り組んでいただきたいこと。特にカードの空き領域を活用した地方公共団体独自の取組を積極的に実施していただきたいこと。また、今後、カードや電子証明書の更新が増加することを踏まえ、郵便局窓口を活用した申請受付の実施も含め、申請受付や交付に係る体制を構築いただきたいこと。「マイナンバーカード交付事務費補助金」については、令和6年度補正予算(第1号)において、698億円を計上するとともに、令和7年度予算において75億円を計上しており、各市区町村において適切な予算措置と効率的な執行管理に努めていただきたいこと。
地方公共団体の情報システム
地方公共団体の情報システムについては、標準準拠システムへの移行を支援するため、令和6年度補正予算(第1号)において、地方公共団体情報システム機構に設置されているデジタル基盤改革支援基金の積立てに要する経費として194億円を追加し、累計で7,182億円を計上しており、当該基金を活用し、移行のために必要となる準備経費やシステム移行経費に対する補助(全額国費)を行うこととしていること。また、「地方公共団体情報システム標準化基本方針」(令和6年12月24日閣議決定)において「各地方公共団体における標準準拠システムへの移行の進捗状況を踏まえ、総務省は、令和7年度(2025年度)末までとされているデジタル基盤改革支援基金の設置年限について、5年延長を目途に検討する。」とされたこと。
地方公共団体のガバメントクラウドの利用料
地方公共団体のガバメントクラウドの利用料については、令和6年度までは先行事業として全額国費で対応しているが、令和7年度からは地方公共団体が負担することとなること。標準準拠システムの利用に伴うガバメントクラウドの利用料及び関連する費用については、所要額を一般行政経費(単独)に計上し、普通交付税においてガバメントクラウドへの移行状況に応じた措置を講ずることとしていること。
このほか、標準準拠システムへの移行に伴うシステム運用経費の増加分について、地方交付税措置を講ずることとしていること。
総合行政ネットワーク(LGWAN)については、令和6年10月から第5次LGWANの運用が開始されているが、各団体において適切にネットワークの切り替えを行っていただきたいこと。なお、LGWANに接続する都道府県ノードやアクセス回線等の経費について、引き続き地方交付税措置を講ずることとしていること。
地方公共団体におけるテレワーク
地方公共団体におけるテレワークについては、働き方改革や業務効率化、行政機能維持のための有効な手段であることから、「市町村におけるテレワーク導入事例集」(令和5年4月総務省公表)等を参考に、テレワークの導入・活用に取り組んでいただきたいこと。なお、テレワーク環境の構築に要する経費について、引き続き特別交付税措置を講ずることとしていること。
デジタル人材の確保
小規模市町村を中心にデジタル人材の確保が困難な状況であることから、「デジタル社会の実現に向けた重点計画」等において、令和7年度中に全ての都道府県が市町村と連携したDX推進体制(以下「推進体制」という。)を構築し、その中で、市町村のDX支援のために必要な人材の広域的な確保を進めていくこととしている。
このため、各地方公共団体においては、以下の点に留意し、着実に取組を進めていただきたい。
都道府県が一定のスキル・経験を有し、市町村支援業務を行うデジタル人材を常勤職員として雇用する場合、当該職員の人件費について、職員数に応じて地方交付税措置を講ずることとしていること。
また、デジタル人材の募集経費について、特別交付税措置の上限を引き上げることとしていること。
CIO補佐官等
市町村がCIO補佐官等として外部人材の任用等を行うための経費や、地方公共団体におけるデジタル化の取組の中核を担う職員(DX推進リーダー)の育成に要する経費について、引き続き特別交付税措置を講ずることとしていること。
推進体制においては、都道府県と市町村が連携した取組として、特にシステムの共同調達を積極的に推進していただきたいこと。なお、都道府県と市町村が連携した共同調達によるシステム導入経費については、デジタル活用推進事業債(仮称)の対象とすることとしていること。
地域活性化起業人
都市部の企業の社員を即戦力として活用する「地域活性化起業人」については、企業退職後のシニア層の活用も可能とする「地域活性化シニア起業人」を創設するとともに、三大都市圏外の指定都市・中核市・県庁所在市に所在する企業の社員等の活用についても、新たに特別交付税措置を講ずることとしている。また、企業派遣型地域活性化起業人の受入れに要する経費について、特別交付税措置の上限を引き上げることとしている。
人口減少が進む中で、地域産業や地域の課題解決の担い手を確保・育成することが重要であり、地域のニーズや時代の変化に対応した高校教育を推進するため、次のとおり地方交付税措置の創設・見直しを行うこととしている。
公立高校を中核として産業界等と連携して実施する人材育成の取組に対し、次の経費について新たに特別交付税措置を講ずることとしていること。
地方行政サービス改革
「地方行政サービス改革の推進に関する留意事項について」(平成27年8月28日付け総務大臣通知)を踏まえ、各地方公共団体において又は複数の地方公共団体が連携して積極的に地方行政サービス改革の推進に努めること。
「自治体フロントヤード改革」については、令和5年度補正予算(第1号)及び令和6年度補正予算(第1号)において実施している「自治体フロントヤード改革支援事業」を通じて、住民の利便性向上・業務効率化に関する効果を示しつつ、円滑なデジタル実装が可能となるような手順書を作成するとともに、取組状況の見える化を推進し、地方公共団体の自主的な改革を促進することとしていること。これらを踏まえ、各地方公共団体において「自治体フロントヤード改革」を推進するよう努めること。その際、地方公共団体が負担する住民サービスの提供に必要なシステム導入費等について、デジタル活用推進事業債(仮称)の対象とすることとしていること。
また、上記取組のほか民間委託や申請等関係事務処理法人の活用等により、更なる窓口業務改革の推進に努めること。
経営・財務マネジメント強化事業
地方公共団体等の経営・財務マネジメントを強化し、財政運営の質の向上を図るためにアドバイザーを派遣する「経営・財務マネジメント強化事業」については、令和7年度も引き続き実施することとし、「公営企業・第三セクター等の経営改革」、「公営企業会計の適用」、「地方公会計の整備・活用」、「公共施設等総合管理計画の見直し・実行」、「地方公共団体のDX」、「地方公共団体のGX」及び「首長・管理者向けトップセミナー」に加え、新たに「地方公共団体間の広域連携(公共施設の集約化等、専門人材の確保、事務の共同実施)」についてアドバイザーを派遣(派遣経費は地方公共団体金融機構が負担)することとしている。このうち、「地方公共団体のDX」については、「消防防災DX」などにも活用が可能であり、各地方公共団体においては、本事業を積極的に活用していただきたい。
また、事業の実施に当たり、都道府県の市区町村担当課においては、派遣先市区町村に係る調整やフォローアップなど主体的に関与いただきたい。
普通交付税
基準財政需要額
標準準拠システムの利用に伴うガバメントクラウドの利用料及び関連する費用について、ガバメントクラウドへの移行状況に応じて算定することとしていること。
地方公共団体が地域社会の維持・再生に向けた幅広い施策に自主的・主体的に取り組むための経費を算定する「地域社会再生事業費」については、引き続き4,200億円程度を算定することとしていること。
また、都道府県が一定のスキル・経験を有し、市町村支援業務を行うデジタル人材を常勤職員として雇用する場合、当該人件費について職員数に応じて算定することとしていること。
地方公共団体が地域社会のデジタル化を推進するために必要となる取組に要する経費を算定する「地域デジタル社会推進費」については、マイナンバーカードの保有枚数率を活用した算定について終了することとし、従来分の2,000億円程度を前年度と同様の算定方法により算定することとしていること。
地方債
地方公共団体が、デジタル技術を活用した行政運営の効率化・地域の課題解決等を加速するための情報システムや情報通信機器等の整備に取り組んでいけるよう、デジタル活用推進事業(仮称)を創設(「地方財政法」の改正を予定)することとし、900億円を見込んでいること。