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家と店 #4

(家と店#3 の続き)

一目惚れ物件に縁がなかったことに落胆したのは、ほんの一瞬だった。
砂漠の世界から半日ほどで立ち直って、もしかしたら前より軽くなったかもしれない。

縁は、未来のどこかにつながる約束がなされている。なんの根拠もなくそう信じられる自分がいた。

あの物件を好きになって良かった。
出会いと別れから、得たものは大きい。

実在と同じくらいリアルに想像できた店は、物件が消えたにもかかわらず、すでにここに息づいている。
景色として、ビジュアルが映画のように見えている。本当にあるとしか思えないくらいに。

ヒプノセラピー(退行睡眠療法)って知ってますか。
過去の記憶を癒すことにより、現在の心身を癒すセラピーであります。受けると、過去の記憶を(ときには前世までも)思い出したりする。

そんなヒプノセラピーで、
人によっては、忘れていた過去が、映像として鮮やかに蘇ることもあるのです。



あの物件は、過去ではなくて、未来の記憶を呼び覚ましたのだと思う。
未来の記憶。逆ヒプノである。
そんなのあったら面白いよね。
あるのかな?
あると思うよー。

「想像」を「創造」に変え「実存」にしてしまうスイッチ。そんな出会いだったのだと思ってる。
だって、あれ本当に気にいってたもの。でなかったら、あんなに情熱的になれなかったし、未来の記憶を呼び覚ますエネルギーも生まれなかった。と思うんだ。



土曜日。

「宇宙行拳」というフシギ気持ちいい太極拳をならいに行った。
先生は、人間界を超えてる(と感じさせる)人だ。
体のかたちを「ほれほれこうするんだ」とばかりに見せて、わかるまでじっとこっちを見る。その目は、遊びを教えるときの小学4年生みたい。そんな教え方がたまらない。

一般的な太極拳と大きくちがうのは、音楽。
ピンクフロイドとか昔のサンタナなんかで舞う。
先生は音を体に受けながら、空気を作る。その中にいると、動きながら瞑想状態になる。

終わってから、先生に今週のできごとを話してみた。


「あわてちゃいけないよ。本当にここだっていう場所に出会ったとき、必ずわかるから。」

そうだよ。そうなんだよ。

物件探しって、恋人探しとか、結婚相手との出会いと似ていると思う。
お見合いだ。向こうもこちらを気に入ってくれないとだめなのだ。
大家さんとの相性とか、立地とか家賃とか、そういう具体的なことも大切だけれど、

最後はきっと、場所が私たちを気に入ってくれるんだろう。

今日のテーマソングは・・・あみんの「待つわ」です。
(ここでイントロ)


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