アクセル
ガソリンスタンドを後にして
車は無機質な車線の上
考え事なんかしてアクセルを踏む
何も考えてやしないけど
フロントガラスに映る男は
厚化粧したように硬い表情(かお)をして
喜怒哀楽を落っことしたらしい
廊下ではしゃげば叱られたあの頃は
少しの好奇心が僕を突き動かした
錆びたエンジン引っ提げて
無理矢理生きてる今日この頃
このまま流れに任せれば
目的地にたどり着けるんだって
でも目的ってなんだろう
何が僕を動かすのだろう
ナビなんてありゃしないけど
まぁ 行けるとこまで行ってみよう
止まってるよりはずっとましだろ
いつしか僕は 僕ではない何かに
身体を乗っ取られていたのかも知れない
少し休ませてみよう
代わりにハンドルを握っていた男を
考えてるフリをしてきた空っぽの心を
なんて できるのかな?
川のように流れていく僕を
どうか連れていってくれ
僕を動かすガソリンスタンドに
僕の望んだ未来に
ナビなんてありゃしないけど
さぁ 行けるとこまで行ってみよう
止まってるよりはずっとましさ
もう一度 強くアクセルを踏んでみる