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日本のトランプ教徒への処方箋

日本時間で21日の今日、ジョー・バイデンが正式に大統領に就任した。大接戦となった大統領選から連邦議会襲撃事件まで話題に事欠かなかったが、これらはあくまでアメリカの内政問題なので私がとやかく言うことではない。しかし、一つだけどうしても看過できないことがあるので、この際けりを付けてしまいたいと思う。

日本のトランプ支持者たちへ

ドナルド・トランプは選挙戦での敗北が明らかになると、選挙で不正があったと根拠の無い申し立てを繰り返し、連邦議会襲撃事件にまで発展してしまった。ここまでは米国の内政問題だが、見過ごせないのは日本のトランプ支持者たちだ。

彼らもまた出所の怪しい情報を鵜呑みにして、トランプ応援デモまでやる始末。日本で国会襲撃のような暴挙はよもや起きまいとは思うが、放置すると取り返しのつかないことになりかねないので、彼らにはこれから言う事をよく聞いてもらいたい。

根も葉もない陰謀論を一つ一つ取り上げては切りがないので、彼らの根本的な誤解である「トランプの方が日本にとって好ましい」という間違いを訂正することにする。

彼の対中強硬路線を買ってるなら、それは見込み違いだ。北朝鮮とはあわや軍事衝突かと懸念されたが、今では金正恩とはマブダチだ。どうして中国ともその二の舞になると思わないのだろうか?

中国の高官たちは口先では何と言っていようと、内心ではトランプに再選してほしかったはずだ。彼は金で動いてくれる物分かりのいい男だ。アジアの同盟諸国と大豆の輸入枠拡大が彼の天秤に掛かれば、前者に勝てる見込みは万に一つもない。

アメリカはアジアの同盟諸国を見捨てるか?

誰であれ忘れてほしくないのは、「そもそもアメリカは日本や台湾のために本当に中国と戦争をするのか?」ということだ。

航行の自由作戦などの牽制は今度も続けるだろうが、いざ中国が事を起こせばアメリカはアジアの同盟諸国を見捨てるかもしれない。譲れない一線はあるにせよ、その線の内側に日本や台湾が含まれている保証はない。

アメリカの政策決定者たちはそれも選択肢には入れてるはずだ。そして極めて残念なことに、それはプランBではないかもしれない。

「中国の全面衝突はあまりにも代償が高くつく。直接対決は避けて時間と戦わせればいい。そうすれば少子化で勝手に滅んでくれる。アジアの支配権を一時的に譲ることになっても構わない、いずれは必ず取り返せるから。今莫大なリソースを費やしてアジアへの関与を続ける必要は果たしてあるだろうか?」現代のベスト&ブライテストたちはそう判断するかもしれない。

中国との頭越し外交をやられたニクソンショックの再来とも言える米国のアジアからの撤退は、決して多くの人たちが思うほど荒唐無稽なシナリオとは言えない。ちなみに、トランプはニクソンのブレーンを務めたキッシンジャーの大ファンだそうだ。これは日本にとって不吉ではないだろうか?

アメリカファーストを突き詰めて行けば行くほど、ワシントンはアジアへの関心を失ってしまうだろう。アメリカ頼みのアジアの同盟諸国がアメリカファーストの権化たるトランプを支持するなんて自殺行為だ。日本にはトランプを恐るべき十分な理由がある。

西側諸国は結束を

日本のトランプ支持者たちに悪気が無いのは分かってる。恐らく彼らを駆り立てるのは純然たる愛国心なのだろう。

だが考えてみてほしい。真偽不明の情報に踊らされ、バイデン政権の不信感を招きかねない様な言動を繰り返すことが果たして日本の国益になるだろうか?日本とアメリカが相互不信に陥った場合、得をするのはどこの国だろうか?

信頼は築き難く壊れやすいものだ。トランプに露骨な肩入れをすれば何十年もかけて培ってきた日米同盟の結束が傷付きかねない。幸いにして、現段階ならたとえ傷が入っていようとまだ修復は可能だ。もっとも、日本のトランプ症候群の流行がいつ終息するかにもよるが。

私が習近平やプーチンなら日本のトランプ教徒全員にありったけの勲章を授与してやりたい気分だろう。実にいい働きをしてくれている。あなたたちが今やっていることは最も警戒すべき相手を喜ばせる行為だ。

あの二人が恐れているのは西側諸国が一致団結して自分たちに挑んでくることだろう。だからこそ、意図的にフェイクニュースを流して西側の分断を煽り続けているのだ。むざむざその術中にはまる必要があるだろうか?

今こそ西側諸国は結束すべき時だ。あの破廉恥な独裁者たちに民主主義の強さを教えてやればいい。トランプとの決別はそのための重要な第一歩だ。








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トリカブト
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