明日は我が身の「アスミー」②「八島家を救おう」プロジェクト
昨日書いたnote「①仲間が被災した」の続きです。
「八島家を救おうプロジェクト」始動
台風19号で被災した宮城県丸森町の八島さん。
八島さんもそのご家族も大変なはずなのでみんなで助けに行こう!というプロジェクトを全国の公務員仲間で起こしました。
災害時は公務員の家族が困る
災害の最前線で対応しないといけない自治体職員なので、「八島さんが大変」なのは当然ですね。でも、「八島さんの家族が大変」というのはなかなか気付かないものなんです。
なぜ困るのか?
1つは、災害は24時間ずっと対応が続くので全く家に帰ってこないこと。八島家の場合は旦那さんが町役場に努めており、災害の対応が途切れることなく押し寄せてくるので、役場に泊まったり、うまく帰宅できたとしても寝に帰るのみということが多いです。
なので、家の復旧作業に当たることが出来ず、実際、八島家では奥様が作業に当たっていましたが、当時3歳の息子さんが居たので目が離せず、作業はほぼできなかったと聞きました。
2つ目は、役所に苦情が言えないことです。例えばボランティアセンターが立ち上がり、被災した各家にボランティアが配備されることになりますが、その時に「ボランティアが全く手配されない」とか、「家の前の道路や側溝の土砂がまったく撤去されず身動き取れない」など、いろんな問題が発生します。普通の住民なら役所に電話でもかけて意見やお願いをするところですが、「自分が公務員の家族」ということもあり、役所に負担をかける恐れがあるようなことは言いにくいのです。
こういったことが重なり、結果、公務員の家族は引きこもってしまいます。そしてその事情を分かっている公務員自身も、そこを気付かないふりをして公務に当たっているわけです。
統計を取ったわけではないですが、阪神淡路大震災の時にも、市役所に出所したまま全く帰れず、家族との仲が悪くなったり、時には離婚などで家庭が崩壊してしまったという話をよく聞きました。
(写真:八島家は1階が水没。3歳の息子さんと奥様)
家族を救うことがその町の復旧を早める
これは、東日本大震災の際に、災害復旧のお手伝いに仙台市に行った時に思ったことがあります。それは、いくら同じ公務員でも、例えば私の場合は土木職なので技術系の専門職ではありますが、知らない街では即戦力になれないということです。
派遣先の仙台市の地名、組織構成、地域のコミュニティなど、神戸と同じ政令指定都市であっても異なるものが多く、訪れた回数が少ないと地図を読み取るのすら時間がかかってしまいます。
(仙台市での災害調査、道路のひび割れの深さを測って図面作ってる)
そんな経験から、災害時の復旧は、その町の自治体職員が頑張ることが最善と思っています。でも被災地の自治体職員は、その職員自体も家族も被災している可能性が高いというジレンマがあります。
なので、被災した自治体職員の家族と家を、同じ公務員という立場を理解できる被災地以外の公務員が助けに行くことで、安心してもらい、全力でまちの復旧に当たってもらうのが有効な手だと考えました。
実はこれは公務員以外にも当てはまるのではと思っています。私たちは公務員というレイヤーで互助のシステムを立ち上げているのですが、農家は農家同志、介護職は介護職同志、全国のネットワークを構築して助け合いの仕組みが作れれば、復旧はもっと早くなります。
災害時のボランティアセンターは被災地の社会福祉協議会が運営し、そこに全国のボランティアが集い、被災した家にある意味配られることになります。
丸森町が被災する少し前に長野県で千曲川が氾濫し水害にあったエリアに復旧ボランティアとして現地入りしましたが、どんなに技術のある人でも、ボランティアセンターに行けば泥かきを依頼されていました。
災害時にいちいち個人の能力と被災者のニーズをマッチさせるなんてことは難しいのだと思うのですが、床はがしできる人、運転できる人、家財の仕分けができる人など、効率よくできればなあと思っています。
「八島家を救おうプロジェクト」の3つの仕掛け
被災した自治体で災害最前線で対応する公務員のプライベート(家族と家)を支えるプロジェクトとして、3つのことを大事にしました。
のちにこれが一般社団法人アスミーを設立・運営していくうえで重要な仕掛けになります。(続く)
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