大企業からベンチャー企業への転職(その3)
本日は、自分がベンチャー企業に転職するにあたって考えた事を述べたいと思います。
ベンチャー企業とは
そもそもベンチャー企業はとはどのような会社でしょうか。
いろいろな考え方があるとは思いますが、私は新しいテクノロジーやアイディアを使ってこれまでになかった方法で社会の課題を解決する企業ではないかと思います。
このような企業の特徴として、①比較的社歴が浅い、②勢いに乗って急成長している(あるいはその見込みがある)というところがあると思います。
ベンチャー企業に転職するタイミング
ではベンチャー企業に転職するタイミングにはどのような特徴があるのでしょうか。
シード
まず、シード期と言われる事業が生まれたばかりの頃というのは、まだまだ利益を出せておらず赤字を掘っている状態の会社が多いでしょう。投資家からの資金の多くの部分が従業員の給与に回っているというような状態です。この時期は社長の知り合い、友達などを集めて事業を回していると言うケースが多いと思います。お互いのことをよく知っている状態で一緒に働きますので、社内ルール等がなくてもあまりトラブルが起きず何とか回していっていると言う状況です。
アーリー、ミドル
その後、事業が動き始めると営業部門やお客様サポートなど収益を直接支える部門に配置する人員を増やさなければならなくなってきます。また少しずつバックオフィス業務を担当する人も増やしていかなければなりません。この頃はまだ従業員の伝(つて)や知り合いを通じて人を採用するケースが多いのではないかと思います。そして、会社の事業が軌道に乗ってくると、だんだんと知り合いをたどっての採用が難しくなってきます。会社のホームページに採用情報を出しそれを見て面談の申し込みをしてくる人や、転職エージェントを通じて転職してくる人が増えてきます。会社が急拡大する時期に入るのです。そうしますと、ほとんど知らない人が事業に参画してくることになりますので、今まではあまり必要性を感じていなかった社内ルールをしっかりと整備していかなければなりません。やはりルールがないとみんなどのように動いていいかわからないし、トラブルの元になるからです。経理、人事、総務、ITのようなコーポレート部門のポジションを強化していかなければならなくなります。
レーター、IPO準備段階
そして、上場を目指すようになると必要となってくるのが法務や内部統制、内部監査部門です。顧問弁護士頼みだった法務業務もだんだんと外部任せにはできない状況になってきます。また、上場を目指すのであれば内部管理体制をしっかりと構築し、社内規程を整備していく必要が出てきます。会社の規模が大きくなり、社会に対する影響力も大きくなってくるので、それなりに法令や規則に従った体制を整えていく必要があるのです。ベンチャー企業がはじめての法務担当者を必要とするのはこのようなタイミングが多いのではないかと思います。
IPO後
ついに上場を果たすと会社の規模も雰囲気も創業当時とは随分変わってきます。各部門に複数の人員が存在することになり、毎日が文化祭前夜のような盛り上がりを見せていた企業文化もだんだんと落ち着いたものになっていくでしょう。昔からいる社員の中には、昔の仲良し同士で楽しく仕事をしていた時代を懐かしむ人も出てくるのではないでしょうか。
転職の際に留意すべき事
このような全体的な傾向理解した上で、どの時期に自分が参画するのが最も良いのかを考えて、ベンチャー企業に転職するのが良いと思います。私は、従業員として会社で勤務する場合、自分が身につけたいスキルを身に付けられるかどうかと言うことを大切にしています。生活できるだけのお金をもらいながらスキルを磨く場所を探すという意識で職場を選ぶのが良いと思います。ですから、自分がどのようなタイプの人間か、仕事を通じてどのようなスキルを身に付けたいのか、などを考えながら、転職した場合の自分の働き方のイメージを良く持つことが重要です。そういった意味では、カジュアル面談などをやっているベンチャー企業は多いでしょうから、そういった機会を積極的に活用しなるべくたくさんの人と会って転職することが重要だと思います。特に大企業とは異なり、人数が少ないですから人間関係は非常に大事になってくると思います。
ベンチャー企業に転職する際に考えておくべきこと
社長の考え方や、会社の事業内容に共感できるかということも大変重要です。大企業と違って社長の思いが直に伝わってくるからです。そして、大企業と1番大きく異なるのは権限と裁量の大きさです。やはりベンチャー企業になりますと人数が少ない分、一人一人が持つ裁量は大きくなります。自分で考えて決定していかなければならないことが多いのです。このようなことが好きでない場合には、ベンチャー企業でのお仕事は向かないかもしれません。逆に言えば、これらはベンチャー企業で働く醍醐味であり、1番の動機付になるのではないかと思います。
私はこのような環境の方が、自分の成長につながるし、決められた仕事をやるだけではないので飽きることがなく、楽しく様々なことを勉強させてもらいながらお金もいただける、と思って転職を決めました。
もちろんベンチャー企業にも良くないところはあります。それは、やはり何と言っても事業が安定していないというところです。ベンチャー企業は最初はどこも赤字を掘っている状態です。そこから収益を安定的に出す状態に持っていくには相当な労力が必要です。会社がどうなってしまうのか先行きが不安になることもあるでしょう。しかし、前述したように、ベンチャー企業においては一人ひとりの裁量が広く、学ぶことが多いので、圧倒的な速さで様々なスキルを学ぶことができます。このようなスキルをつけておけば、また別の会社で仕事を見つけることもそんなに難しくは無いのではないかと思います。そんな風に割り切れる人には向いている職場ではないかと思います。
それでは、また!