見出し画像

保険の仕組みと必要性について

第二回目は『保険の仕組みと必要性』についてご案内いたします。
このnote内にも多くの保険関連の記事が掲載されていますが、「保険はわかりにくい」「保険とはいったい何なんだろう」という記事を見かけることがあります。

  • 保険の仕組みがわからない

  • 保険とは日常生活の中や企業活動の中でどのように関わっているのか

  • なぜ保険料は毎年のように高くなるのか

  • そもそも保険は必要なものなのか

  • 保険をつかわないと損なのか

  • 保険に入る必要性がわかない 等

保険を活用している、今後検討している皆様に、少しでも保険をより身近に感じていただき、その必要性や大切さを、できるだけわかりやすい言葉でご案内いたします。

保険の世界への道案内

1.「保険」のおさらい

前記事で、「保険」そのものについてご案内いたしました。
あらためて「保険」とは、【損害保険】と【生命保険】があり、損害保険は、偶然のリスクによって生じた損害をカバーするための商品で、生命保険は、一定額を支払う(死亡したら〇〇万円支払う/入院したら〇〇円支払う等)商品であり、実際の損害額を支払う損害保険とは異なりますが、こちらもまた代表的な保険商品です。
すなわち「保険」とは
① 何らかの事故等により生じる経済的損失等を補填する
生活水準の維持/企業の継続的活動の継続・維持する
という、人々の日常に非常に大切な機能を持ち合わせた商品です。 

近年では変額保険等、金融商品的な位置づけの保険商品も販売されており、“NISAか保険か”といった記事や生命保険を活用した相続対策の記事も多く見かけます。
これも保険の活用の一部ですが、保険の本来のあり方がどこかへ置き去りにされた感じがしています。

下記の図は保険の機能を現した一例ですが、個人でも企業でも、元の経済的な水準に戻り、元の経済的な水準を維持するためには、保険が必要です。

保険の役割・機能

2.保険の基本的な仕組みについて

例えばある100人の集団があり、1年で死亡する人が1名いたとします。
この〈死亡した家族に100万円を支払う〉という決まりを作った場合、一人当たり1万円を拠出してプールすると100万円が貯まります。
この〈貯まった100万円を死亡した家族に支払う〉ことが、保険の大まかな仕組みです。
この場合、保険料1万円、死亡保険金100万円・死亡の確率=1/100(1%)とまります。ただしこの集団の利益は「0」になります。
実際の保険会社は慈善事業ではありませんので、100万円を支払ったあとも事務費がまかなわれ、かつ利益もでるように保険料が設定されています。

つまり保険の基本的な仕組みは、

  • 保険事故の起こる確率(生命保険の場合における死亡率等や自動車保険における自動車の事故率など)に基づいて契約者一人当たりの拠出金(すなわち保険料)が決まる

  • 保険事故が生じた場合に、プールされた拠出金(保険料)をもとに、契約者に契約内容に基づく保険金を支払らう

これが保険です。
相互扶助のような仕組みですが、経費や利益を考慮したものが保険料になります。

3.保険料の内訳

保険はリスクを金銭に置き換える商品であることから、保険料の内訳は下記の通りとなります。

  • 【危険保険料】  純粋にリスクに対する保険料

  • 付加保険料】  保険会社の事務経費や利益にあたる保険料

例えば、ある保険商品の保険料がを100,000円の場合、
〈【危険保険料】60,000円+【付加保険料】40,000円 〉
となります。
つまり、【危険保険料】60,000円で保険事故が生じた場合が、保険会社が支払う保険金の原資、となります。
一方【付加保険料】40,000円は事務経費などに当てはまりますが、さらに大まかな内容でみると下記のような費用が含まれています。

  • 保険代理店に支払う代理店手数料:20,000円

  • 保険会社の事務経費および利益 :20,000円

仮に保険事故が多くなり損害率が大きくなると、上記の例であれば、保険の原資が60,000円の枠に収まらず、保険会社の収益の圧迫につながってきます。このような状況になると保険料の改定、すなわち保険料がアップするという結果につながってきます。

4.保険の必要性

もの(物)があるところ・人がいるところには必ず保険が介在し、また裏側で支えているのが現代社会です。
保険は、日常生活のみならず企業活動には欠かすことのできないものであり、人々の生活の安定経済の健全な発展に不可欠な経済的な補償機能を提供しています。

建物があれば〈火災保険〉があり、工事現場であれば〈建設工事保険〉や〈請負賠償責任保険〉等の保険があり、工事現場で働く人がいれば〈業務災害のケガ等に備える保険〉があり、商品を運んでいるトラックがあれば〈運送保険〉や〈運送業者賠償責任保険〉など、それぞれの業務を支えている保険がそこにあります。

日々のニュースで災害や事故の映像が報道されますが、“その映し出される映像の奥には保険が必ず介在している”という視点でニュースも見ていくと、保険に対する意識も深くなっていくかもしれませんね。

(1)リスクへの備えと諸対策

日常生活のリスクに備えるための基本的な考え方において、保険はその一部にすぎません。リスクに対する備えとして、以下のような方法があります。

  • リスクを移転する 

    • 保険という機能を活用することで、自らが持っているリスクを”保険”に移す、つまり保険に加入すること

  • リスクを保有する

    • 保険等に頼らずに、事故等が生じた場合には、自己資金でその損失を補うこと

  • リスクが起こることをやめる

    • 起こりうる事象を根本的に取りやめること

    • つまりリスクを回避(さける)すること

保険の加入はリスクに備える選択肢のひとつにすぎませんが、安いコストで大きな補償が得られる、非常に有効なリスクヘッジの手段です。
保険に入る、入らないに関係なく、〈 リスク保有 〉や〈 リスク回避 〉は日常生活の中で無意識にやっている選択(行動)かもしれません。
水たまりをよける・さける・ほかの道を探すなど。水たまりの上でも歩きやすいように、木で道をつくることが保険でしょうか。

(2)保険は必要なのか

では本題の保険は必要か否かについて。
「無駄」や「損」などという声が実は非常に多いです。
保険業界に勤めてきた身としては、とても気になる部分です。

事故等が起きなければ保険料に対する見返りはありません。
しかし、
保険に入らずして自動車に乗れますか?
保険に入らずして自宅を火災や災害から守ることができますか?
自分自身に万が一の事故があった場合、残された家族のこれからの生活はどうなるのでしょうか?

そもそも保険は、「損する」「無駄だから」という次元の話ではなく、万が一の時の補償機能として存在するという保険商品の特性上、身近にあるべきものではないのでしょうか。
リスク保有という考え方もありますので、保険は絶対的に必要ということはありませんが、下記のような事故もあります。

例えば、個人賠償責任保険
日常生活における賠償事故(自動車運転中は対象外)を補償する保険ですが、第三者を死傷させてしまった(例えば自転車で通行人とぶつかってしまった)場合、損害賠償額が億単位になることがあります。
1億円も2億円も自己資金で大丈夫」と考える人はまずいないですよね。

だからこそ、少ない保険料で、経済的な損失に対して備えるため、社会を支えていくため、「保険」という機能は欠かせません。

5.保険の正しい活用を

保険は、個人のみならず企業に対しても必要不可欠な商品であり、業種問わずどの業界でも各種保険が存在しています。
メーカーからサービス業、大手企業から中小企業、保険という商品を媒体として、業種の垣根を超えて様々な業界の隅々で保険を見聞きすることがでます。
日々過ごしていく行動の中には、保険があちらこちらに介在しているのです。

昨今、保険を販売する側の問題が損害保険業界、生命保険業界で問われています。
一方、保険を購入する側も、保険の内容を確認しないまま保険に加入してしまっているため、必要とする補償がなかった・不要な補償が多くある保険に加入している、などのケースも多々あります。
保険は、個人の人生や企業の業務、その存続にはなくてはならない機能のある商品ですので、どの保険をどのように活用していくのか、契約者側も一歩ステップアップした意識や認識が必要です。

保険を売る側の保険会社や代理店、保険を買う側の契約者、双方がより一歩段階を上がることにより、保険が正しく広がっていくものと考えます。

最後までお読みいただきありがとうございます。
保険の伴奏者として活動を行っていきますので、気軽にコメントをいただけましたら幸いです。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?