秋の空時計 【毎週ショートショートnote】
「ママー今日学校休んだ方がいいみたい」
母親はナオの腕につけた秋の空時計を覗き込み
「あら本当だじゃあ今日は海でも見に行こうか」そう言ってウキウキと準備を始めた。
不登校や自殺者、精神的理由で休職する人が増え、政府の苦肉の策で導入されたのが秋の空時計だった。
目に見えないストレスを見えるようにしたもので、それは季節によって表される。心の状態は変わりやすい事を示す為、秋の空時計と名付けられた。
初めの頃こそ否定的な意見も多く見られたが、目にみえることから休む方も休ませる方も対策を取りやすくあっという間に普及していった。今では全ての希望者に腕時計型の秋の空時計が配られ利用されている。
学校でも時計が晩秋や冬を示した時には、体が元気でも休みリフレッシュすることが推奨されている。その場合は保護者も自動的に休むことができ、その日は交通機関や様々な施設を無料で利用することができる。
「おにぎりでも作っていこっか」
「うん、卵焼きも作ってね」
(412文字)
たらはかにさんの企画に参加させていただきます。