してあげたことを数えていたら、してもらったことを数えていた

今日は、息子のリクエストで、カツカレーを作った。
どうやら本かなにかで見て食べたくなったらしい。
カレーライスは、作り慣れているけど、
実は、これまでにとんかつを揚げた記憶はない。
多分、今日が初めてだったんじゃないかと思う。

鍋にカレーを作ってから、インターネットでとんかつのレシピを調べて、
恐る恐る揚げ物用の鍋に油を注ぎ、小麦粉を付けて、
溶き卵をくぐらせて、パン粉をまぶした豚肉を入れる。
少しばかり衣が剥がれたところがあったり、
下味をつけ忘れて薄味だったりしたけど、
とんかつのお肉は柔らかく、とても好評だった。

息子はゆっくり食べるので、二人分のドリップコーヒーを淹れて、
妻と一緒に息子の食べる様子を眺める。

私は、コーヒーの味に特別なこだわりがあるわけではないけど、
ドリップコーヒーの特別感がとても好きだ。
ドリップコーヒーは、時間にゆとりがないと入れられないし、
いつも飲むインスタントコーヒーよりも若干割高だ。
そして、実は、飲むことそのものよりも、
机の上にコーヒーを置いて、冷ましている時間がよいのだ。
猫舌なので、急いで飲むときはミルクを多めに入れて、
ぐいぐいと飲んでしまうのだが、
今日は、ミルクを少な目にして、冷めるのをゆっくり待って、
一息、二息入れながら、ゆっくり飲む。

それから、大量の洗い物との格闘が始まった。
カレーを作った鍋、とんかつを揚げた油の処理、カツカレーのお皿に、
サラダのボール、そして、コーヒーカップ。

黙々と、目の前の鍋や皿を洗っているとき、
そういえば、私も子どもの頃、本やテレビで見た料理が食べたくて
リクエストしたことがあったことを思い出した。

リクエストしたその日じゃなかったかもしれないけど、
母や祖母は、リクエストしたメニューを用意してくれていた。
子どもの頃は、食べたいものが食べられて嬉しかっただけだったけど、
親の立場になってみて、初めて、親の気持ちを知ることができた気がする。
きっと、母も祖母を、私や兄弟を喜ばせようとしてくれたんだと思う。

そこからは、いろんな記憶が爆発して、
「ありがとう」が止まらなくなった。

妻子から見れば、
洗い物をしながら感極まっているおかしなパパだったことだろう。
今日、幸福を噛みしめている私は、間違いなく幸せ者だ。



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Accent and Idea
お読み頂いありがとうございます。記事が役に立てばうれしいです。このエリアまで読んで頂いた方が、これまでもこれからも幸せでありますように。