あまりにも瑞々しく青い若者のすべて
仕事の疲れを隠せない黄昏どき。ランニングのBGMにこの大ヒット作を選んだ。中1のときにカセットテープに友達がダビングしてくれた、ポップ・ミュージックとの出会いの一作。
①Printing
プリンターの起動音が鳴らされる。中1には始まりとして驚かされた。今聴くと、とても録音がいい。
②Dance Dance Dance
ギターのワンフレーズをエフェクトしてサンプリングした音が響くなか、ナカケー氏のベースは次々に表情を変える。そのサンプリング音と低く重いうねるベースが牽引する。少し攻撃的な歌詞を歌う桜井さんのボーカルはセクシーで、サビの歌詞はこのダンサブルなロックンロールをスワンソングにしている。
③ラヴ コネクション
問答無用のセックスとしてのロックンロール!桜井氏のボーカルはやはりセクシーで、ここではエロティックですらある。「きゃぁーー!桜井さーーん!」と叫ぶ女子たちの声が聞こえてきそうだった。
④innocent world
イントロのギターは田原氏作。彼のギタープレイは私はあまり好きではないのだが、ここに関しては本当に素晴らしい。彼らしくもあり、自らの力を音が超えていっている。桜井氏の詩は私小説的でもあり、悩める若者たちの心を打つ。前シングルに続くミリオンセラーで、人気の爆発を決定づけた。
⑤クラスメイト
吹奏楽器が牽引するこの曲は、ボーカルのメロディの進行が個性的かつ完璧である。大人の恋を赤裸々に描き、中坊の俺は憧れたものだ。
⑥ CROSS ROAD
初のミリオンセラーとなったシングル。切なく力強い曲。ここまでのA面は全て名曲で、「えっ、日本のビートルズですか?」と言いたくなるほど凄い。
⑦ジェラシー
B面に来て初めて、マイナーコードの響きが強い曲。憂鬱な雰囲気に包まれているが、ポップだ。
⑧Asia(エイジア)
ミドルテンポのこの曲でランニングも終盤になり、ラストスパートをかける。その高揚感に曲調が寄り添ってくれる。
⑨Rain
しとやかな雨音のインタールード。
⑩雨のち晴れ
生楽器の音の多くが加工され、桜井さんのボーカルにコメディの要素がある。しかも、軽快。かなり野心的な音作りだが、良曲である。素晴らしい。
down↓Round About〜孤独の肖像〜
サックスが主旋律で、桜井氏の勇壮なボーカルが乗り、ランナーズハイの私はダッシュ&ウォーク。
down↓Over
恋の終わりの歌だが、叙情豊かで、甘っ酸っぱさで満たされる。大人の恋の終わりに中坊はここでも憧れた。
このアルバムが折檻するなか、次に待つのが、最大のヒット曲である"Tomoriow never knows"で、彼らは時代の覇者に登り詰める。多くのティーンのポップミュージックのゲートウェイになっただろう。私のポップ・ミュージックとの蜜月の始まりがこのアルバムだったのは、今でも嬉しい。今の彼らにはこのときほどの初々しさはないが、最新作に露悪さを込めるなど、子どもたちのミュージック・ジャーニーは続いていく。