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3年ぶりのリアル開催 -カーティス教授の政治シリーズ-
コロンビア大学名誉教授のジェラルド・カーティス教授には、2007年から年に3回の講演をライブラリーメンバー対象に行っていただいておりましたが、来日ができなかった2020年から2021年は、オンラインで4回ほど講演をしていただきました。堪能な日本語で分かりやすく、日本の政治や外交、国際情勢をお話くださいます。
カーティス先生は、博士を取得された1968年以降、日本とアメリカで半年ずつ生活をするスタイルを続けられていました。そのために3年間も日本に来日できなかったのは、50年以上ぶりとのことです。
改めて日本の良さを実感されたとのこと。
「安全」、「礼儀正しさ」、「食文化の豊かさ」は特筆すべきだ、というお話から3年ぶりのリアル開催のトークイベントはスタートしました。
日米関係はグランドバーゲンから戦略的パートナーへ
本題では、1951年のサンフランシスコ平和条約、1960年の日米安全保障条約の意味するところから紐解いてくださいました。
日米安保は、アメリカが日本の安全を守る一方で、日本国内にアメリカ軍基地を配置して、アメリカのアジア戦略の中心となったというグランドバーゲンが基本にあるとのことです。
そして、1991年のソビエト崩壊で2極体制から多極体制に変わり、不確実・不安定な新しい時代に入り、アメリカの抑止力が問われるようになりました。しかしカーティス先生は、「日米関係はより強くなっており、既にグランドバーゲンではなく、戦略的パートナー関係になっているのではないか。」とコメントされました。
日本はリーダーシップを発揮している!
日米安保のもと日本は受動的外交戦略を取ってきたが、今はリーダーシップを発揮する面はあると、カーティス先生は分析されます。
環太平洋パートナーシップ協定(TPP, CPTPP)や、日米豪印戦略対話(QUAD)では日本はリーダーシップを発揮しているし、アメリカとの同盟関係を堅持しながらもオーストラリア、東南アジア諸国などと安全保障関係を強めています。また、今年の6月にマドリードで開催された北大西洋条約機構(NATO)の会議に岸田首相が参加しました。
また、中国とアメリカの対立が強くなる中で、カーティス先生は「日本は中国とは長い歴史がありアメリカよりもよく分かっていることがあるから、アメリカのパートナーとして積極的に進言すべきだ」と言われました。
3年ぶりのリアル開催でしたが、日本の政治をよく理解されているカーティス先生が海外から日本を見るというユニークな視点が、参加したメンバーをドキッとさせる(例えば、日本がリーダーシップを発揮しているというカーティス先生の考え等)要因なのかもしれません。
次回は11月18日に、「変容する世界体制の中の日本とアメリカ」の後半を開催します。是非お楽しみに!
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カーティス先生のお話に集中する参加したメンバー達(右)
カーティス先生にニューヨークからオンラインでお話をいただいたときは、東京が19時、ニューヨークが朝の5時や6時でした。それでもカーティス先生は、「ニューヨークにいるからこそ分かる日本の課題について、お話をしたい!」と快く引き受けてくださっていました。本当に感謝しています!
アカデミーヒルズ 熊田ふみ子