法とは、何か？

1.法とは、先人達の知恵である

世の中には、"法とは何か？"という問いに対し、様々な答えが存在しておりますが、私は、法とは、先人達の知恵であり、教えであると考えております。

憲法なるものが制定される以前の人間社会においては、キリスト教等、宗教が、根本規範としての役割を果たしてきた訳ですが、極論、宗教も、先人達が、"これが正しい"と考えたようなルールや思想に他ならないと思っております。

ですから、本質的には、憲法や法律も、宗教と同様に、先人達が、正しい事であると考えたルールや思想であると見做す事が出来ると思っております。

2.国家とは何か？

次に、"国家とは何か？"という事を考えれば、ジョン・ロックによる社会契約説は、現代憲法の基になっている思想である事からも、通説として、世界各国で、普遍的に正しいと考えられております。

そして、社会契約説を簡単に説明すると、全ての人間は、本来自由であり、国家とは、その国民全員の合意によって、形成されるという思想になります。

更に、そこから、法とは何か？という事を再度考えるならば、日本で言うなら、日本人全員が、正しいと考えたルールや思想を指し、共通の価値観でもあるという事になる訳です。

3.立法には、正義が求められる

そして、前述のような内容を踏まえると、立法というのは、先人達の教えに背く行為であり、尚且つ、日本人全員の合意を翻す行為に等しい訳ですから、それなりの正義が必要とされるという事になります。

なので、立法を行う際には、"何故、このようなルールが存在するのか？"という事を考え、その法が出来上がるまでの過程や歴史を振り返る事が重要ですし、"本当に、日本国民の合意は得られるのか？"という事を考える事は、必要不可欠であるという事にもなると思っております。

4.法を破る時にも、正義が必要である

世の中には、"罰せられないなら、いくら法を破っても良い"とか、"バレなきゃ、問題無い"という考えの下に、罰則を受けたり、訴訟を起こされたりしないのであれば、好き放題やっても問題無いと考える人々は、数多く存在いたします。

しかし、年寄りの言うことと牛の鞦は外れそうで外れないということわざも存在するように、解らない事があったら、年長者の言う事に従った方が良いという事は、誰もが、身に染みて実感している事であると思います。

そして、法こそが、先人達の教えである訳ですから、罰せられないからと言って、法を破ってしまうと、何かしらの痛い目を見る可能性があると、個人的には考えております。

また、法を破ると言う行為は、日本国家への裏切りであり、日本人全体に対する裏切り行為でもある訳です。

なので、私は、立法の場合と同様に、法を破る際にも、それなりの正義が求められると考えております。

まとめ.

たまに、"日本国憲法は、GHQが勝手に作ったものだ"と日本国憲法を貶す人々が存在致します。

しかし、今の日本国憲法というのは、世界史を見ても解る通り、フランス革命等、多くの先人達が犠牲の上で、初めて成り立っている理念であり、見方によっては、太平洋戦争で亡くなってしまった多くの日本の先人達の犠牲によって、ようやく、日本人が手にした宝であるという事も言えると思います。

実際、今の憲法が制定される以前の世界では、恣意的な行政によって、非人道的な拷問が、日常的に行われていたり、"働かない者は、悪だ"とされ、強制的に、過酷な長時間労働に従事させられ、職場から逃げ出した者には、焼印を施されたり、最悪の場合は、処刑されてしまうというような、一般庶民にとっては、地獄のような社会であった訳です。

なので、単に、"憲法や法律の条文が気に入らない"と、突発的に考えるのではなく、"何故、そのようなルールは存在するのか？"という事を考え、様々な観点から、吟味する事が重要ではないかと思っております。

最後に、私は、基本的人権という思想に、特に感銘を受け、個人的な信条にもしております。

それ以前は、他人のやる事成す事に気に入らず、愚痴を溢す事もあった訳ですが、"全ての人間には、自己決定権がある"という基本的人権の一理念に出会ってからは、自分にも自由に生きる権利はあるし、他人にもその権利があるのだと割り切って生きるようになりました。

ですから、憲法や法律というのは、単に、社会を構成するための決まりであると捉える事も出来る訳ですが、私のように、個人の信条として使う事も出来る訳で、むしろ、その方が、結果的に、良い人生を送る事が出来るのではないかと思っております。

参考文献.

・社会学史 (講談社現代新書)

社会学史 (講談社現代新書)

・増補新版　法とは何か (河出ブックス)

増補新版　法とは何か (河出ブックス)