
現代の通貨は、株と同一視する事が出来る
私は、最近、現代の通貨は、もはや株と変わらないのではないかと思い至りました。
何故なら、現代の通貨も株も、究極的には、"信用"こそが、全ての担保となっており、他に明確に裏付けされた担保は存在しないからです。
つまり、通貨を保有している人々は、全員債権者であると見なせる訳です。
ですから、通貨の価値が失墜するのは、国の借金が増え続けた場合ではなく、"大口債権者に対し、不義理を行った時"であると考えております。
本noteにおいては、日本の増え続ける政府債務と日本円の価値の関連性を改めて考え、更に、"どうすれば、日本円の価値を維持し続ける事が出来るのか?"という点についても、考察していきたいと思います。
1.通貨と株の共通点

私は、政府が債務を増やすという事は、株で考えた場合の、株式分割や新株発行に当たると考えております。
例えば、会社が、株式分割や新株発行等を実施した場合、確かに、一株当たりの価値は下がりますが、"将来持ち続ければ、価値が上がる"と思い続けるからこそ、そのまま保有し続ける株主が数多く存在致します。
ですから、同様に、政府債務が増え続け、日本円の価値が下落したとしても、"日本国内で暮らしたい"とか、"日本の商品・サービスを購入したい"と考え続ける限りは、変わらず円を持ち続ける日本人が大半であると思います。
2.債権者に対する不義理とは、何を指すか?
例えば、"貧困層に対し、毎月10万円を給付する"という政策が、それに当たります。
そういった政策ように、正当な経済活動に基づかず、合理的な理由も無いまま、通貨を配ってしまえば、大口債権者の信用を損ない、通貨の価値は無くなるという事です。
つまり、簡単に言い換えれば、大口債権者、すなわち、円建ての預金を大量に保有している富裕層が納得しないような通貨の配り方はしてはならないという事です。
3.日本円の価値を維持するためには、需要を喚起する商品・サービスを産み出し続ける事が重要
やはり、いくら日本円を持っていたとしても、日本円と交換可能な商品・サービスが無い限り、日本円を持ち続けるメリットが無いと言えるでしょう。
ですから、"日本に住み続けたい"と思えるような社会サービスを国家が提供し続けたり、企業や個人が、需要を喚起するような商品・サービスを生み出し続ける事が重要な訳です。
今の日本においては、消費税を増税した方が良い
まず、本noteにおいては、"どうすれば、日本円の価値を高め続けられるか?"という事に焦点を当てさせていただきますが、その場合、個人的には、消費税の増税自体には、日本円の価値を下げる効果は無いと考えております。
何故なら、消費税を増税したとしても、需要を喚起する商品・サービスを産み出せるような予算の使い方をすれば良いだけだからです。
逆に、直近の衆院選で、全ての国政政党が、"消費税は増税しない"とか、"消費税は減税する"との主張を行っておりますが、"消費税減税が、景気を活性化したり、通貨価値を高める作用を持つか?"というのは、国の風土・国民感情・時代背景等、あらゆる影響を考慮しなければ、肯定できないと思っております。
そして、私は、個人的に、今の日本の風土や国民感情を考慮した場合、このまま消費税減税等を行ってしまえば、大企業や富裕層の貯蓄が増えるだけであると思っております。
ですから、そうなる位なら、消費税を増税し、需要を喚起する商品・サービスを生み出すような方向に予算を投じるべきであると思っております。
その例を挙げれば切りがありませんが、例えば、20代~40代のサラリーマンの社会保険料を大幅に引き下げたり、年金支給額が少ない高齢者の年金を増やす等が、それに当たるのではないでしょうか。
4.今の野党に足りていない点
やはり、現代の通貨の性質上、日本円の信用は、政治への信用、あるいは、政治家や政党への信用に直結する訳です。
ですから、野党の議席が全く伸びない事の主な理由は、常日頃から、国民から好感を得られないような事を行っていたり、いい加減で出鱈目なマニフェストを掲げてしまう等、債権者達の信用が得られないような行動を取っているからであると考えております。
まとめ.
しかし、そうであるからと言って、現実世界に立ち返れば、日本の借金を無作為に増やし続ければ、当然海外政府から経済制裁を受ける可能性があります。
そうなってしまえば、当然、それ自体が円の信用を大幅に削ぐ事に繋がる事から、外交面での配慮は必須です。
ですが、その一方で、そういった外的要因の影響が完全に無かったとするならば、改めて、一概に、"国の借金が増える事は悪である"とか、"財政規律(プライマリーバランス)は維持しなければならない"と断言する事は到底出来ないと言えるのではないでしょうか。
参考文献.
・「通貨」の正体 (集英社新書)
いいなと思ったら応援しよう!
