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「日本国民のための憲法改正の提言」官僚から実権を取り上げよ!!
憲法改正と言えば、政治家や官僚のための憲法改正が取り上げられがちですが、国民のためになるような憲法改正もあるという事を、本noteでは述べさせていただこうと思います。
1.脱官僚制のための憲法改正こそ必要
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自民党の掲げる憲法草案の主題4項目を見ても、憲法改正を実現した所で、大して現在と変わらないような改正内容となっています。
ですが、本当に意義のある改憲は、本当の"脱官僚制"を憲法改正によって、成し得る事だと思います。
中央官僚が政治に関しての全ての実権を握る体制は、明治憲法の頃に確立されましたが、新日本国憲法に憲法が刷新された今でも、日本は官僚制から脱却出来ておりません。
以前のnoteでも申し上げましたが、現在の日本は、官僚が全ての政治実権を握っている中央集権体制によって、医療・保育・教育など、様々な分野で、数々の問題が引き起こされております。
その原因は、中央官僚が、昭和時代には通用したであろう"大きな行政"を無理矢理維持しようとしているためです。
現実問題、労働人口は縮小を続け、日本経済は海外に比べて縮小し、社会保障費は膨張し続けているので、年々予算も減り続けております。
そして、今後も、その傾向は継続するでしょう。
ですから、今必要とされるのは、"小さい行政"であり、現状に適ったレベルにまで、行政の質を落とす事なのです。
そして、"小さい行政"を実現するための、具体策が、地方分権になります。
2.地方分権が脱官僚制の鍵である
現在、政策の立案や行政の実行等、政治に関する全ての実務を中央官僚がやっております。
ですが、脱官僚制を考える上で大事な事は、"官僚の代わりに、誰が立法・行政を担当するのか?"と言う事です。
ですから、その答えとして、現在官僚が担当している大半の立法・行政の実務を、可能な限り地方自治体に移し、国の立法に関しては、国会議員が責任を持って行う事で、国会議員・地方自治体・各首長や地方議員が、それぞれ、官僚の代わりになれば良いという事です。
3.内閣総理大臣の権力を強めるような法改正も必要
明治憲法下の内閣は、現在の政治のように、幾度となく失敗を繰り返しておりましたが、その原因として、内閣総理大臣に権限が集約されておらず、各大臣や他の機関に、権力が分散されてしまっていた事が原因なのではないかと考えられております。
そして、現在においても、憲法上においては、明治憲法制定時に比べ、内閣の権限がかなり強化されましたが、内閣法やその他の法律によって、内閣総理大臣の権限が分散されるような仕組みになっており、実質的に、明治憲法の頃と変わりません。
ですから、法改正で、内閣総理大臣の権限を強められる場合は、そういった法改正も行う必要があります。
明治憲法下の仕組みで、政治はほとんど上手く行っていなかったにもかかわらず、それを踏襲し続けたとしても、今後も上手く行くはずが無い事は、考えるまでもありません。
4.官僚の力の源泉
官僚の力の源泉は、明治政府確立時から培ってきた、実務経験や知識であり、それに基づいた国民からの信頼だと思っております。
ですから、憲法や法律を変えたとしても、実務を担う新しい組織が、官僚の代わりと成り得なければ、元の官僚制は半恒久的に継続されるでしょう。
なので、国会議員や地方自治体の首長・地方議員・職員が、一体となって、官僚達の代わりに着実に行政を担い、国民からの信頼を得る事によって、本当の意味での脱官僚制が成し得られると思っております。
5.憲法改正具体案
※本章の内容につきましては、以前に投稿した下記noteのQ2. 完全地方分権の実現のため、憲法改正の必要あるか?項をご覧ください。
6.中央集権制と地方分権制では全く異なる
①競争原理が働く
中央集権体制では、官僚が実務を行い、地方分権制においては、地方自治体の職員が実務を行えば、一見、何の違いも起こらないように思います。
ですが、地域間の競争原理が働く点で、大きく違います。
今現在、官僚達が利権のために保持しているような規制は多々ありますから、地域間で競争させる事によって、国民にメリットの無い規制はドンドン撤廃され、必要な規制はドンドン導入されていくようになるでしょう。
現行の中央集権体制では、官僚達のライバルとなる存在が居ないため、無意味な規制を残したり、自分達の利権のための規制を、率先して残すような状況になっております。
②それぞれの地域に合った法令が作れる
例えば、LGBT法案であれば、人口の少ない地方であれば、軽めに行い、大都市であれば、重い規制を敷く事が考えらえるでしょう。
また、保育や介護における配置人数規制等においても、人口の少ない地方に対応した法整備が可能となるため、それぞれの地域の実情に沿った法令を作れる事は、地域毎の長所の創出に繋がるため、地方創生の面においても、役立ちます。
7.官僚の代替えは行いやすくなっている
例えば、条文の作成については、最近登場したチャットGPTが利用できると思います。
法律の条文は、一般国民については、とっつきにくいような文面になっておりますが、大量の条文を学習し、人間のような文章を書くことができるチャットGPTであれば、人力よりも、短時間で、条文作成を行えると思います。
また、法律の作成過程についても、今や、ZOOM等、オンライン上で、対面しなくとも、法律の専門家(法学研究者)や各種関係者と会ったり、国民や企業からの意見をホームページを使ってオンラインで入手したり、IT技術を積極的に使えば、今よりもより良い法律作りの体制を確保できるはずです。
8.職階制導入で政治は変わるか?
戦後、GHQは、日本の強固な官僚機構を打破するため、職階制という官僚の人事制度を導入しようといたしました。
しかし、結局、戦後の官僚達が、激しく抵抗した事で、政治任用制(職階制)が導入されることはありませんでした。
ですので、現在の日本においては、戦前から続く、資格任用制という制度によって、官僚を採用しています。
資格任用制とは、官僚の下級ポストから最上級ポストまで、全ての役職について、国家公務員試験を突破した人に限定する人事制度です。
一方、政治任用制とは、官僚の上級ポストの職務内容を明らかにし、公募をする事で、外部から人材を雇う制度です。
一般的に、政治任用制の方が民主的だと言われております。
何故なら、外部の人間が、下部の官僚を監督する事で、官僚が国民の利益にならないような行動をする事を阻む事が出来るからです。
つまり、第三者が各省庁の監査を行う事で、天下りや各省庁が余計な予算を確保する事を防ぐ事が出来ます。
以上を踏まえると、縦割り行政の打破や各省庁の予算削減を実現するためにも、政治任用制の導入は、有効と捉えることができます。
ですが、今日本で起こっている各種の問題についての根本的な原因は、地方政府が事実上の立法権を持っていない事であり、中央官僚の人事制度を改革した所で、各種の問題を解決すると言う観点においては、残念ながら、ほとんど意味が無いと考えております。
事務次官については、公選制にした方が良い
官僚組織というのは、基本的に、ボトムアップ式で、仕事を行っているので、階級が上がれば上がる程、仕事が無くなってしまうという構図になっているそうです。
ですので、事実上、官僚のトップ役職である事務次官は、実質的には、ただの名誉職になってしまっており、一説によると、ほとんど仕事をしていないとのことです。
実際、女性記者へのセクハラ問題で話題になったとある事務次官が、セクハラ騒動が原因で辞職する事になったそうですが、次の事務次官が決まるまでの空白期間が3ヵ月あったそうですが、何の問題も無く、その省は機能したという話があります。
また、事務次官の任期は無いそうですが、慣例的に、平均約1年でコロコロ変わっており、腰を据えて、業務を行う事も出来ていないそうです。
ですから、事務次官という職に意味を持たせる意味でも、事務次官の役職の人選に関しては、内閣総理大臣に人事権を持たせ、公選によって、外部から雇う形式に変えた方が良いと思います。
また、法改正で、任期も一年にして、会社の代表取締役のような委任制にすべきでしょう。
そうすれば、一度は官僚を辞めた人達が、別の業界で知識や経験を積んで戻ってきたり、カリスマ経営者が、事務次官ポストに就いて、各省庁を改革したりする事が可能となると思うので、現在よりはマシになると思います。
9.このままでは地方創生も進まない!!
基本的に、政治を主体的に担っている官僚達は、霞ヶ関近辺に住んでおり、出向などで一時的に地方に出向く事はあっても、長期的に地方に居座る事はありません。
そのせいで、日常的に見えている東京の事ばかりを考えてしまい、地方については無頓着になってしまっているとも考える事も出来ます。
普通に考えれば、地方の事情については、日常的にその土地に住んでいる地方公務員の方が詳しいですから、地方公務員が地方行政を主導出来ず、東京に住んでいる官僚達が、地方の行政を主導しまっていることが、地方の衰退を招き、東京一極集中を招いている要因の一つと言えるのではないでしょうか。
10.他にも、政治家に不利になる憲法改正案は山ほどある
例えば、国会議員への任期制の導入です。
アメリカの州議会では、長老やベテラン議員による政治の腐敗を防ぐため、州議員についても、多選の禁止規定を置いている州が多いです。
ですから、それを真似て、"連続当選出来るのは、2期8年まで"とすれば、1期退かなければ、再出馬する事が出来なくなるので、政治腐敗を防ぐためには有効です。
また、国会議員への定年制導入なども、憲法改正によって導入出来るため、国民にとって有益な憲法改正を考える事は、政治に参加する上で、重要だと思います。
11.政治家にこれ以上言い訳を許すな!!
明治憲法の頃に比べ、日本国憲法においては、内閣の権力が大幅に強化されているにもかかわらず、国会議員は改革を率先的に行おうとはしません。
ですが、官僚の力を削ぐ事は、国会議員を半場強制的に働かせられる事に繋がります。
国会議員達の仕事のしない事の唯一の言い訳が、"官僚制が悪い"ですので、これを取り除く事で、政治家にサボる口実を与えずに済みます。
これ以上、政治家達に、サボる口実を与えてはいけません。
まとめ.
GHQによって、新日本国憲法が導入され、明治憲法の頃に比べれば、強権的な行政の力が弱まり、より民主的な政治体制が行えるようになった事は事実です。
ですが、GHQを持ってしても、官僚から実権を奪い、政治家に実権を移す事に失敗いたしました。
現に、官僚制は残り、実質的に立法・行政・司法の全ての権利を官僚が支配しているかのような社会体制になっています。
そして、現在の日本は大きな岐路に立たされていると思っています。
その岐路とは、"社会保障を維持するか"、"官僚制を維持するか"の二択です。
官僚制を維持した場合は、国民皆保険等の手厚い社会保障を諦めなければなりません。
国の財政の観点上、これ以上の官僚制や手厚い社会保障の両立は現実的ではないからです。
ですから、日本国民のための社会保障を守るためにも、政治家や官僚のための憲法改正ではなく、日本国民のための憲法改正こそ、今の日本には必要と言えると思います。
最後に、日本の歴史上、中央集権体制が敷かれていたのは、明治維新が起こった1869年から現在までの約150年という短い期間に過ぎません。
当時は、海外列強に追いつけるように、軍事力と経済力を高めるため、中央集権体制に移行する事は合理的な選択であったと言えるでしょう。
しかし、現在は、軍事力・経済力共に、海外列強を追い越し、並んでいると言える程、日本は発展したと言えるのではないでしょうか。
ですから、地方分権が進んでいるアメリカや他の欧州の先進各国のように、地方自治体が実権持てる程に、日本は十分に熟したと、私は、考えております。
参考文献.
・国家と官僚 こうして、国民は「無視」される(祥伝社新書)
・職業としての官僚 (岩波新書)
・官僚制改革の条件: 新制度論による日英比較
・「脱・官僚政権」樹立宣言 霞が関と闘うふたりの政治家
・近代日本の官僚 - 維新官僚から学歴エリートへ (中公新書)
・日本の統治構造 官僚内閣制から議院内閣制へ
・事務次官という謎 霞が関の出世と人事 (中公新書ラクレ)
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