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企業・団体献金完全禁止の危険性について

最近、野党を中心に、政治資金規正法改革の議論が成されております。

そして、最大の争点となるのが、"企業・団体献金を完全に禁止するか否か"という点になる事が予想されます。

なので、今回は、企業・団体献金の完全廃止を含め、政治資金規正法を改革する上で、個人的に、論点にすべきであると思う点について、手短に、ご説明させていただきます。


1.ポピュリズム政治が、更に蔓延る可能性がある

まず、企業・団体献金に限らず、献金制度というのは、資本主義に基き、正常で健全な社会運営が実施されるため、必要であるような、資本家の意見を、より優先的に、政治に反映させるための仕組みである訳です。

そして、そういった仕組みが欠如してしまった場合は、大抵の国であれば、富裕層に比べ、貧困層に属する国民が多いわけですから、結果として、貧困層の国民が喜ぶような政治ばかりが、行われるようになってしまう危険性が高まります


例えば、仮に、献金制度が、完全に廃止されてしまった場合、"大企業の内部留保を強制的に取り上げる!"とか、"富裕層の持つ全ての預貯金や土地を全て取り上げる!"というような、大衆迎合の政策を掲げる政治家ばかりが当選し、力を持ってしまうでしょう。

そして、そうなった場合、大企業や富裕層は、即座に国外に退去してしまうでしょうし、事実上、社会の正常な運営が、行えなくなってしまう危険性がある訳です。


更に言えば、現状、巨額の企業・団体献金を受け取っている自民党ですら、ポピュリズム政策を連発している状況ですから、仮に、企業・団体献金が完全禁止となってしまった場合は、これまで以上に、与野党間で、ポピュリズム政策合戦が加速してしまう可能性があると言えるでしょう。

特に、財政赤字について、全く問題視をしていない政党も存在するため、財政赤字が無意味に拡大されるような政策が続き、後々、預金封鎖等、国民生活に、多大なる悪影響が生じてしまう可能性は、一段と、高いと思っております。


2.政治資金規正の規制が緩い事も、大いに問題がある

しかし、その一方で、政治資金規正に関する規制が緩い事も、大いに問題がある訳です。

例えば、アメリカは、比較的、政治資金に関する規制が緩い国であるとされております。

そして、直近で行われたアメリカ大統領選を一見しても、表向きは、共和党vs民主党の戦いでありましたが、実際の所は、"金持ちvs金持ち"の戦いに終始してしまっており、全く、貧困層のつけ入る隙が無いと思えるような選挙戦でしかなかった訳です。

当然、そうなってしまうと、二大政党とも、貧困層を鑑みず、常に、富裕層のみが得するような政策ばかりを実施するようになってしまう危険性が高まります


なので、今後も、政治資金法をザル法のままに放置しておいたり、国民の政治資金の不正への関心が薄かったりすると、"俺達も、自民党と同じように、企業・団体献金をかき集めるしかない!"と考える野党が登場し、最終的には、アメリカのように、富裕層以外誰も得をしないような政治のみが行われるようになってしまう事も考えられます。

ですから、政治資金規正法を、緩くし過ぎる事も、一般庶民にとって、政治が、コントロール不能になってしまうという危険性がある訳です。


3.議員歳費や政党交付金が、更に増額される可能性がある

また、自民党には、国庫から支給される公金のみでは、経費を賄い切れない事から、企業・団体献金を率先して受け取っているという実情があります。

なので、企業・団体献金が廃止された場合は、当然、議員歳費政党交付金の増額等、国庫からの支給を更に増額するような改革が成される可能性が高いと言えるでしょう。


まとめ.

政治資金の問題は、一見、単純であり、尚且つ、国民には無関係のように見えてしまう訳ですが、実際には、今後の政治の在り方を大きく左右し得る問題であり、更には、政治を超えて、国家の在り方そのものも変えてしまう危険性を含んだ重要な問題であると思っております。

なので、読者の皆様を含め、国民の皆様方には、"政治資金の話等どうでもいい!"と思うのではなく、各党の動きを見守りながら、政治参加を行っていただければと思います。


私見.

私個人の意見としては、政治資金規正法を厳格にする事を条件に、企業・団体献金は維持しても良いのではないかと思っております。


また、それと同時に、政党や議員個人の資金力を高めるような改革も行った方が良いのではないかと思っております。

例えば、議員定数を大幅に削減したり、あるいは、議員歳費や政党交付金を増額する事等が、それに当たります。

そして、何故、私がそう考えているかと申しますと、現状の議員達の日々の活動を鑑みて、"議員の活動の質が、余りにも、低すぎる"と感じているからです。


例えば、私から見て、現在の日本の国会議員というのは、日々の活動のほぼ全てが、選挙活動に終始しており、勉強や政策研究等の政治活動を全く行っていないのではないかと、客観的に見えてしまっている訳です。

そして、公的に支給される補助金の額が、少なすぎる事が、その一因になってしまっているのではないかと考えられる訳です。


それに加え、日々の自民党議員の活動を注視してみると、何か新しい改革を行う際、大学教授や各有識者等を改革メンバーに加えておらず、何を行うにも、"議員だけで、何とかしよう"と考えているような節があるのではないかと思ってしまう所があります。

結局、国会議員というのは、ただのニワカであり、各分野に精通した専門家ではないため、改革を行うにあたっては、国内外から、その分野に精通した専門家をチームに招いて、共に改革を行う必要がある訳です。

しかし、実際の所、大半の場合、改革チームに所属しているのは、国会議員のみである場合が殆どで、その点も相まって、政治主導の改革というのは、中央官僚が関わる場合を除き、総じて頓挫してきたのではないかと考えております。

ですから、新しい改革を行う場合は、そういった、各分野の専門家を改革チームに引き込んだ上で、共に改革を実施するような体制を作る必要がある訳で、そのためにも、大抵の場合は、それなりの報酬を支払う必要があると思われますから、その点についても、更なる国庫負担が必要なのではないかと考えている理由の一つとなります。

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