「幻のお店」〜子供の頃の思い出〜

今でも時々思い出すお店がある。それはなんとも言えない不思議な空気に包まれた思い出として、私の頭の中に不定期でやってくる。今日はその話をしたい。

小学校2年生頃の私はよく足を捻挫していた。遊ぶ時の激しい動きのせいだ。そのつど母が運転する車で接骨院に通っていた。その道のりは国道ではあるが左右は畑か草原が永遠に続くようなところである。これぞ北海道と言う風景のなか40分程車で走るのである。

その道のりの途中に気になる建物があった。それは国道から少し奥に入った草原の中にポツンとある八角形の白い小屋。屋根は中央を指でつまんだようにトンガっており小さなサーカス小屋のようにも見えた。

私は何度もその存在に気づきながらも、毎回窓から目で追うだけであった。でも今日はいつもより少し勇気があった

「お母さん、あの小屋を見てみたい」

「ん?あー、あれ?行ってみるかい?」

めちゃくちゃノリのいい母である。

ここから先は

1,076字
この記事のみ ¥ 100

この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?