「宙ブラリンになっている出来事」
人は生きている間に実に様々な経験をする。そしてその都度「うれしかった」「悲しかった」「悔しかった」などと評価しながらその結果を一枚づつ脳に蓄積していく。
しかし時としてどうしてもカテゴリーしにくい出来事が起きてしまうことがある。自分の頭の理解を超えている出来事だ。それゆえ評価しようがないのである。つまり心の中で「宙ブラリンになっている出来事」である。今日はそれについて話したいと思う。
19歳の頃の私は札幌の専門学校に通うため、初めての一人暮らしをスタートさせていた。食事付きの下宿なのだが悪くない造りのワンルームマンションといったところ。5階の部屋の窓からは北海道大学のキャンパスが少し見えるところが気に入っていた。
少しづつ友達もでき始めてきた頃、部屋でひとりイラストを描いていると
「おーぃ」
窓の外でかすかな呼び声が聞こえたが、どこかの通行人の声だろうと無視した。
「おーい、おーい」
今度ははっきりと男性の呼び声が聞こえた。私が出てこないことに少しイラついたよう呼び方に聞こえた。なんだよ、友達の誰かが地上から俺の部屋の窓に向かって呼んでるのか?誰だよ、そう思って窓から顔を出して下を見てみた
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