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#ep3「Change the future 母」
#ep2「Change the future 母」からのつづきです。
私たち3人は、とにかく家に行ってみることにした。行ってどうする?そんなこと分からない。でも行動しなければ何も始まらない。とりあえず車は路地裏に隠したまま、バスで向かうことにした。
12年前か。バスに揺られながら見る風景はやっぱりちょっとだけ古い。建物も服装も。
しばらく緑地を通り過ぎたあと、青空団地が見えてきた。この団地の一世帯に私たち家族は住んでいたのだ。
バスを降りて団地の下まできた。「C-3」と団地の側面に大きく書かれた棟の番号が見えた。この棟の5階だ。1階にある共同の小さな入口。その脇には集合ポスト。私たちの部屋である「503」にはしっかりと「相沢」の名字が書いてある。懐かしい夫の字。私は深呼吸をして上を見上げてみた。5階の窓。誰かいるのだろうか。まぁ、いたとしても私自身か子供たちだろう。夫は仕事に行っているだろうし。この変な状況につい笑いそうになった。
「お母さん、ここ覚えてるよー。ここの前でよく遊んだわー」
康太が懐かしそうに入口前の広場を歩いてる。
「だれか来たよ!」
健司が言った。別に悪いことをしてるわけではないので、私は堂々と振り返った。
「あっ、あれ私たちだ!隠れてっ!」
本通からこっちへ向かってくる3人は、当時の私と2人の息子である。その頃来ていた服や背格好で遠くからでもすぐに分かった。幸い向こうにはばれてないようだ。私たちは物置の陰に隠れてこっそり様子をうかがった。
楽しそうに3人は歩いている。そうだ思い出した。いつもこの時間は夫をバス停まで送っていたのだ。そのあと3人で家に戻る時の光景だ。私と健司は手をつないで、まだ赤ちゃんの康太は背中におんぶされている。詳しくは聞こえないが、札幌の雪まつりについて何か話しているようだ。3人は入口に入っていった。
ふぅー。危なかった。何が危ないかはよく分からないが、昨日見た「バックと何か」という映画でも言ってたわ、タイムトラベルした時は人と会わないこと。会うことで未来に影響が出てしまうから。確かそんな理由だったような気がする。
これで確信したわ。過去に来てしまったことは間違いないようね。そして当時の私たち家族はここに住んでいる。しかしどうしたら明日起きる夫の事故を避けることができるのだろうか。
つづきはまた。