狐火
深夜の帰り道
人々が眠りについた静かな闇の中
突然の寒風が耳元でごぉっと音を立て
その冷たさに思わず身震いしながら両腕を抱く
通り沿いの家の灯りは何処も消え
この世に1人取り残されたような気持ちで
街灯も無い細い蛇のような道を歩く
唯一の灯りである月が流れる雲に隠れ
辺りがさらに深い闇に包まれると同時に
近くで大きなカラスの鳴き声
左側の視界の隅にチラリと何かが見え
そちら側の竹林を見ると
薄ぼんやりと青白い炎が
ゆらりゆらりと揺れながら
見えたり見えなくなったりを繰り返し
徐々にこちらへと近づいて来ている
あれはまさか
狐火…?
と思った瞬間
寒さとは違うゾクリとした震えが止まらず
月がすっぽり雲に覆われた漆黒の夜気の中
叫びたいのをこらえながら
二度と振り返らず
家へと向かい
足音を響かせ懸命に走り出す
するりとほどけたマフラーが夜風に舞って
蛇のような暗い細道に
落ちていった…
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本当にありがとうございます!
読書が大好きで
気がつけば自分でも数え切れない程
詩や短編を
書き続けてきました
いつか
本を出したいです!
これからも自分ペースで
書き溜めたものを載せていきますので
お時間がある時には
また是非
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