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人類史を知ったら自己/他者への受容がしやすくなった という話
プロローグ
いきなりだが、私は陰謀論者が嫌いだ。
陰謀論自体は嫌いではない。陰謀論と一蹴されてしまうモノの中にも、検証してみれば正しいモノもあると思うし、「なるほど、そういう見方もあるのか」とある種感心することもある。
なぜ陰謀論者が好きではないのか と聞かれれば、彼らの振る舞いが理解できないからである。
なにか主張をするとき、まずは主張した側に挙証責任があり、論を尽くすべきである と私は考える。
しかし、彼らになぜそう主張するのか問いかけても、多くの場合返ってくるのは取ってつけたようなチグハグ論理や「自分で調べてみれば?」という回答になってない回答である。(Xを眺めて得た結論のため、偏っている可能性はある)
冒頭に記したように、私は陰謀論自体は嫌いではない。
今や当たり前となっている地動説も、当時は陰謀論として排されていたのだろうし、決して突飛な主張を「陰謀論」と突っ撥ねることはしないように心掛けている。
私は純粋に陰謀論を語る人々の論理を理解したいのである。
もし彼らの中に明確な論理がないのであれば、なぜそこまで自信満々に主張できるのか、なぜそこまで「自分は真実を分かっている」と尊大な態度を取れるのか。私には全く理解できなかった。
ここからが本題
少し知識オタクな友人と飲みに行き、いつも通りよく分からないテーマについて熱く議論しながら酒を交わしていると、彼が「サピエンス全史」という本をオススメしてきた。(ハラリ氏の名著らしい)
私は知的好奇心旺盛と自称しておきながら、学生時代から歴史科目が苦手で、そのような歴史に纏わる書籍/情報は避けてきた。(お恥ずかしい限り、、、)
ただ、そのときはなぜか「サピエンス全史」が気になり、その場でAmazonからポチってみた。酔っていたのかもしれない。
さすがAmazon、次の日すぐに書籍が届いた。(配達員さんいつもありがとう)
早速読んでみると単純な歴史解説に留まらず、昨今の複雑化した社会に対するインサイトを提供してくれる傑作であった。
詳細な内容や私個人の感想については割愛するが、当書では人類の歴史における3つの転換点を軸に整理がされており、そのうちの1つが約7万年前から約3万年前におきた「認知革命」である。
この「認知革命」で、ホモサピエンスは抽象的思考が可能になり、未来や他者心理への想像力を獲得したとされている。
更にこの能力は現実に存在しない「虚構」を信じる力(端的に言うと神を信じる力のようなもの)をホモサピエンスに与え、人類種が群れを維持できる上限とされるダンバー数(150人程度)を超えた集団を形成することで、地球上においてホモサピエンスが支配的となる要因となったと言われている。
私がこれを読んだとき、すぐに「陰謀論」のワードが頭をよぎった。
そのとき考えたのは、「陰謀論者は現人類の外れ値のような存在などではなく、むしろ標準値なのでは」と言うことである。
上記は少し極端な表現かもしれないが、以来私は陰謀論者に対する嫌悪感を感じにくくなった。「まあ人類がそう進化したんだったら、そういう人がいるのは仕方ないよね」と。
これはいろんなことに応用できる。
私はINTPの性質なのかADHD傾向があるのか分からないが、注意力が散漫なところがあり、それによって大小問わずミスをすることが多々あった。
20代前半の頃は「どうしてこんなしょうもないミスをしちゃうんだろう」と悩むことも多かった。
しかし、今なら言える。「僕みたいな人間が昔は木の実とか動物の巣を見つけてたんじゃね」と。それ以来、反省はしてもなやむことはなくなった。
もしなにか自分の欠点に悩んでいる人がいたら、同じように考えてみてほしい。「私みたいな人間が活躍してた時代もあるでしょ」と。
気楽に生きていきましょう。(でもたまには反省もしてね。笑)