【要約】本:マンガでやさしくわかる マーケティング 著:安田貴志
※こちらはあくまで私の解釈で編集したものですので、著者が本来表現したかったことや言いたかったことを100%要約したものではございませんので、その点をご了承していただいた上でご覧ください。
題 :マンガでやさしくわかるマーケティング
著者:安田貴志
出版:日本能率協会マネジメントセンター
【本書の立ち位置】
マーケティングは仕事にもプライベートにも応用できるものであり、マーケティングを理解して活用することで人生のクオリティを上げてほしいという意図の本。本書はマンガと解説によって構成されており、マーケティングの考え方をより実戦に近い形でイメージできる初心者に優しいマーケティング本。
全7項目
Part1:マーケティングってなんだろう?
Part2:即効性のマーケティングを使うメリット・デメリット
Part3:商品を買う人を理解する
Part4:自社と競合の関係を整理する
Part5:そもそも誰に売るのかを考える
Part6:4Pを決める
Part7:お客様との長期的な関係作り
【Part1 :マーケティングってなんだろう?】
そもそもマーケティングとはなんなのか?
・本書におけるマーケティングの定義
「人とのコミュニケーションの中で商品やサービスを提案し、買って満足していただくためのツール」
・マーケティングはエモーション(感情)とロジック(論理的思考)
エモーション(感情)は、相手の思考を考えて相手が何を思っているのかを想像する要素。ロジック(論理的思考)は、購入へ導く戦略や状況に応じた判断をするために論理的に考える要素で、互いの要素が合わさってマーケティングとしての効果を生む。
・マーケティングは買い手のニーズと売り手の商品のすり合わせる作業
買い手を3つの視点で見ることで理解しやすくなる
①売り手の立場(何を売りたいか)
②買い手の立場(何が欲しいか)
③第三者の立場(①,②のギャップをすり合わせる視点)
・商売に対する考え方の時代変化
①生産思考(作れば売れる時代)
②製品思考(品質重視で差別化)
③販売思考(販売戦略で差別化)
④マーケティング思考(消費者の立場を考慮しニーズを見つめる)※現在の考え方
⑤社会的思考(自分でけでなく社会にとっても利益になる)※近い未来の考え方
【Part2: 即効性のマーケティングを使うメリット・デメリット】
口コミの性質と機能について
・口コミは偉大で強力なもの
店側が発信する宣伝は身構えてしまうのに対して、知人の話などの口コミは受け入れやすい。その情報が正しいかどうかは置いといて、宣伝よりも口コミの方が信頼できる情報として受け取ってしまう。
また、口コミの影響力は凄まじく良い口コミは1人から5人へ伝達される一方で悪い口コミは1人から10人へ伝達される調査結果がある。この調査はネットが普及する前に実施されたものなので、現代ではその影響力は計り知れない。すなわち、口コミの観点から言えば普段のおこないもプロモーション活動の一環と言える。
・そんな口コミを生むコツ
期間限定や数量限定など、口コミになりやすい話題性のあるネタを仕込む。このようなネタを仕込むことでテレビや雑誌のメディアも紹介しやすいので、誘発的に口コミを発生させやすくする効果がある。もしくは、発信力・影響力のある人に宣伝を頼むことで認知度を上げることもできる。企業の依頼でYoutuberが自身のチャンネルで商品を紹介する動画などはこれの良い例だろう。
・メディアを活用して口コミをあおる宣伝方法のメリット・デメリット
メリットは、今まで商品を知らなかった人へ認知され、短期間で高い効果を得られる点が挙げられる。
一方でデメリットは、ブームとして一時的に効果は得られるが一過性で終わりやすい。そして使い方次第で評判を落とすこともある。例えば、わざとらしい広告の表現や口コミの捏造、炎上商法などは顧客の信頼を失いかねない。
【Part3:商品を買う人を理解する】
様々な視点で顧客を分析して、それぞれのアプローチを考える
・AIDMA(生活者が商品購入するまでの5ステップ)を理解して改善点を探る
AIDMA(通称:アイドマ)
①Attention・・・注意を引かれる
②Interest ・・・興味を持つ
③Desire ・・・欲求が生じる
④Memory・・・商品に関する情報を記憶する
⑤Action ・・・購入する
このAIDMAの段階を意識して考えてみると、「興味を持ってくれた人を欲求へ繋げるアプローチが弱い」のように改善すべき点が見えてくる。
・流行に先駆けて買う人、遅れて買う人の波を理解する
商品が発売されると同時にみんな興味を持って購入してくれるわけではない、商品の価値や機能が徐々に広まって波状になるのが普通。まず感度の高いイノベーター(2.5%)が反応し、その後に流行に敏感で情報取集をしているアーリーアダプター(13.5%)が反応する。続いて、慎重だが比較的早いタイミングで採用するアーリーマジョリティー(34%)、その後に周囲の評価が確定してから採用するレイトマジョリティー(34%)、そして最後に変化を好まないラガード(16%)へと波は推移する。
この理論によって、イノベーターやアーリーアダプターがポジティブな反応をすると波は大きくなって商品の売れる可能性が高まる。
(また、Part2の内容と重複するが、影響力を持った人に商品の紹介を依頼して口コミを誘発する手法は言わばイノベーターやアーリーアダプター達に強制的に波を発生させる装置とも言える。)
【Part4: 自社と競合の関係を整理する】
様々な分析方法を活用して、自社と他社を含む周りの環境の現状把握や新たな戦略づくりに活用する
・3C分析
Customer(顧客分析)
年齢、職業、ライフスタイルなど自社の顧客の情報を分析。
Competitor(競合分析)
競合する企業の分析。必ずしも同業種の企業とは限らず、雑誌社なら他の雑誌社だけではなく、スマホのコンテンツなど代替えできてしまう商品も競合分析に加える。
Company(自社分析)
資金力、技術力、ノウハウなど自社が持つリソースの分析。
・SWOT分析(クロスSWOT分析)
Strength(自社の強み)
内部的なポジティブ面
例:素材へのこだわり、職人による手作り
Weakness(自社の弱み)
内部的なマイナス面
例:原価が高い、生産力が弱い
Opportunity(機会)
外部的なポジティブ面
例:本物志向、安心安全な食べ物へのニーズ
Threat(脅威)
外部的なマイナス面
例:原材料の高騰、競合店の進出
クロスSWOT分析
SWとOTのそれぞれの内部的要素と外部的要素を掛け合わせることで戦略を練る。
例えば、「自社の強みと機会を組み合わせて、自社の強みを好機に便乗させた戦略を練る」、「自社の弱みと脅威を組み合わせて、脅威に対して弱みのダメージを最小限にする防衛的戦略を練る」などのように組み合わせて戦略を立てることができる。
【Part5:そもそも誰に売るのかを考える】
STP(セグメンテーション、ターゲティング、ポジショニング)で商品とお客様をつなぐ戦略を立てる
・その企画は「市場ありき?」or「商品ありき?」
「市場ありき」とは市場がすでに決まっていてその市場に向けてヒットする商品をこれから考える状態のことで、「商品ありき」はその逆で売りたい商品が前提にあってそれを売れるように市場を模索する状態。
それによってSTPにおける力を入れるべきポイントが変わってくる。
・S:セグメンテーション(お客様の分類やカテゴライズ)
誰に売れば喜んでもらえるのかを考え、市場(顧客)を分類する作業。
年齢が肝になるのなら、10代以下、20代〜30代、40代〜60代、60代以上などのセグメントに分ける。
・T:ターゲティング(対象を絞る)
セグメンテーションの結果から具体的に対象を定める。商品ありきの場合はこの作業でターゲットを仮設定し、ターゲットが好むように商品の調整をかけていく。
・P:ポジショニング(商品の位置付け)
顧客が自社の商品を競合他社と比べたときに、どのような位置付けにできるかを考える。市場ありきの場合はこの作業でまだニーズが満たされていない市場を発見して調整をかけていく。
・互いの整合性
ターゲットが変わればそれに合わせて、商品の位置付けや商品のコンセプトも変化する。互いに整合性をもたせながら調整することが大事。
【Part6:4Pを決める】
商品を企画・提案するときに必要になる4つの要素、4Pについて
・4Pとは
生活者に対して企業が提案する全てが含まれており、4つの各要素の整合性がとれなければ上手く機能しない。
・Product:商品戦略
品質、デザイン、特徴、アフターサービス、保証など商品やサービスで差別化を図る戦略。
商品差別化の3つのポイント
①物理的な工夫
素材、性能など商品そのもので差別化
②イメージ上の工夫
ブランドイメージ、パーケージ、広告など商品に対する印象で差別化
③サービス上の工夫
保証やアフターサービスなど商品の周辺に位置するもので差別化
・Promotion:プロモーション戦略
メディアの広告だけでなく、イベントやコンテストなどの実施なども含まれ、それぞれのプロモーション手段の特性を理解して使いこなすことが重要。
・Price:価格戦略
価格の代表的な決め方
①原価志向型
原価を考慮して利益を得られるような値段設定
②競争志向型
競合他社の値段設定に対抗した値段設定
③需要志向型
需要に合わせた値段設定、今までにない新商品などの場合に用いられる
場の心理を活かした値段設定
同じ商品でもコンビニに置いてある場合と百貨店に置いてある場合だと違って思える心理。この心理を活かして、高級志向なブランドイメージを与えるためにあえて高めに設定するなどとして戦略に落とし込める。
・Place:流通戦略
商品を売る場所に関わるものを決定する。お客様を集めることができるエリアの人口、ライフスタイルなどを考慮して品揃えを変えるなど商圏の特性に合わせる視点が重要になる。
【Part7:お客様との長期的な関係作り】
顧客満足度にこだわる
・ライフタイムバリューの最大化を測る
ライフタイム・バリューとは一人の顧客が生涯を通じて利用してくれる金額で、マーケティングの重要課題はこのライフタイム・バリューを最大化すること。
・顧客満足度の重要性
顧客満足を高めれば、満足した顧客から良い口コミが広まり、長期的な顧客獲得へつながる。逆に悪い口コミが広まれば悪影響になる。
また、既存顧客を維持する方が新規顧客を獲得するよりも低コストで済む。既存顧客を維持するコストを1とすると新規顧客を獲得するコストは広告やPRできっかけをつくるために5倍のコストがかかるという1対5の法則がある。
そしてさらに、既存顧客は売り上げにも大きく影響している。売上の80%は上位20%の顧客が占める80対20の法則があり、裏を返せば上位20%の顧客を失うと売上の80%を失うことになる。
このように利用頻度や利用金額が多いお客様との関係を続けることは売上を維持する上でとても重要だとわかる。
・顧客満足度が高まるメカニズムを理解する
商品が与える機能には2種類ある。まずは受けられて当然だと思う本質機能、そして顧客が期待していなかった表層機能の2種類。本質機能は過剰に高めても影響力が少ない、それでいて一定の水準に満たないと悪影響になる。一方で表層機能はあれば満足度が高くなり、なくても悪影響にはならない。すなわち、期待されているものを確実に提供しつつ、期待を超えるものを提供できれば顧客満足度を高められる。「期待を超えるサービス」とよく言われているのはこの原理。
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