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ゲーム業界でアートディレクターになりたい人へ【なるはやで】

というタイトルですが、本音を言うと「ゲーム業界でアートディレクターやりたいと思って欲しい」が正しいのかもしれない。
※コンシューマーゲームが対象の内容になっていますのでご注意

アートディレクターへの近道ランキング(私見)

■近道になりそうな部署を勝手にランキング

1位.:カットシーン
2位.:エフェクト
3位.:ライティング
4位.:エンバイロメント
5位: アート

※完全に主観です

アートディレクターと言えばアートチームでキャリアを積むもの。
だってアートディレクションだから。
と自分でも思っていた。
でも自分のキャリアを振り返ると実はそうでも無かった…

私見なので客観的な根拠は無いのですが、実体験と今の開発環境から感じたものです。

ランキングは、道のりの長さというよりアートディレクターになるための必要な栄養素が豊富に含まれているというニュアンスで見て欲しい。

何か偏見があるわけじゃ無く、筆者がアート、UI、エフェクト、カットシーンと一通り経験して来て思ったことです。
上の職に就くってよりは職能に目を向けてみて下さい。

※ここで言うアートは純粋に2Dのアートワークを担当する部署なので、会社規模や文化によって業務内容が違う場合も往々にしてあります。
ご気分害されたら申し訳ありません…あくまで、個人的な見解です。


ここ数年の変化

開発環境の変化
ゲームエンジンの普及により、絵作りがかなり効率的になった。フォトリアルであればMegascansマーケットプレイスを駆使してルック開発する場合もある。

クライアントさんも早い段階で最低限動くビルドを確認できれば、そりゃ進めやすかろう。


コンセプトアートでは分かってくれない

最近は、コンセプトアートではなかなか合意に至らず

動いてるの見ないと何とも言えない

そんなこと言わずにって思うが、こういう反応が多くなったように思う。
その感覚もゲームエンジンの影響が大きい。
どんなに精細に描いた絵も見る側にわずかながら想像力を要求するものだし。

絵では判断できないと言われちゃ仕方無い。

でもコンセプトアートは、開発者間でのイメージ共有に欠かせないのは変わらない。
いるいらないの話しではなく、コンセプトアートの果たす役割りや提案の形が変異してきたのだと思う。


見る側に想像力を要求しない提案力

となるとコンセプトアートで伝えられない物をどう提案するか?が重要になって来る。

エンジン上で仮データをかき集めて目指す絵に近いものを作る能力。
それに必要な手続きを知っている人が重宝されるようになって来ている。
その観点から言うとゲーム開発工程の後ろの方を担う人ほど、その素養が高いと言える。
ということは、今求められるコンセプトアートの形がモックに近いものになって来たのかもしれない。

もはやゲーム業界に入る前、想像してた流れと逆だな…


ランキングの順位とその理由

実は、後の工程ほど絵作りに対する知見が蓄積して行きやすい性質がある。
カットシーンエフェクトライティングは特に。

■アセットが集まって来る部署

↑の部署はマイルストーン毎、最後はマスターアップと大事な局面で最終データが集約するパート。

ゲームエンジンでシネマティック機能が強化されたことによりリアルタイムでカットシーンが動くようになったのがデカい。PS2くらいまでは主流だったムービーは映像制作会社の仕事だった。
それをリアルタイムでとなると逆に映像制作会社さんでは作れないケースも多い。そこで開発会社内にもシネマティック部門が作られるようになった。

カットシーンは、絵を構成する全てのデータを扱い、演出も付ける。カットシーンに限らず開発序盤のモックアップを作ることもある。

実装上、ダメなデータがあれば修正を依頼したり場合によってはデータの監視役を担う側面もある。
これは、アセット管理のハブでありデータ面でのディレクション業務がすでに発生しているとも言える。
そういう面で、周囲から頼られる場面も増えて来て‥アートディレクションどお?って流れもあり得ます。

筆者はそのパターンでした。

エフェクトやライティングにも同じような側面があり、処理負荷と戦いながら質を担保しなくてはいけない。変なデータを作ればクリティカルなバグを生みかねないヒリヒリ感もある。

■絵の最終ジャッジに立ち会う
いずれも最終的なルックを作る場面でディレクター、アートディレクターとのやり取りも多くパフォーマンスと質の高さのせめぎ合いを経験する。
バグ件数も多い…

■得られる知見の幅は関わり方で段違い
アートでデザインを作ったり監修するのも大変。個々のデザインの特性を除外するとある程度ルーチンに落とし込める。
その集積も知見としての深みがあり大変な専門職であり自分も経験していた。
だけどその後、エフェクト〜カットシーンに関わってガラッと視点が変わった。

■吸収できる知見の広さ(深さでは無い)に格差が生まれる
一言で言うとオーサリングなのだが、長い開発期間オーサリングをやるやらないでは得られる知識量が変わってくる。

効率的なアセットの作り、各種アセットの良し悪し、ライティング、ポスト処理など画面効果の力、処理負荷などなど色々見えて来る。工程の最後に近くなる程に。
オーサリングに消極的なタイプもいるけど怖がらずに絶対踏み込むべき。
ローカルでヘマする分には誰にも迷惑かけないし怖がらないで。


何だかんだ言っても肝心なところ

技術一辺倒でもやはりダメで、コンセプト建てして筋道建ててアートを進めて行く技術は必須。

そこは一朝一夕では身に付かないし、分かりやすいチュートリアルも無い。仮に教本なりがあったにせよ自分を取り巻く環境、人、プロジェクトの座組みなど変数が多過ぎて役に立たない可能性が高い。

自分流を模索したり身近にいる先人から学ぼう。
先輩が普段やってるフィードバックや会話の内容から吸収できることも多いはず。目を凝らしてみよう。

まとめ

また長くなった…

結局何が言いたいかというと、アーティストもとにかくオーサリングをやろう。データを触っている内に絵を描くのと同じ感覚になってくるから。
将来アートディレクションやってみたい人は特にカットシーン、エフェクトあたり注目してみましょう。

結局は、求められたら何でもやってみる貪欲さがある人(器用貧乏と言われるタイプ)ほど適してる。器用貧乏は器用な人へのヒガみだと思って。
絶対、器用な方が重宝されるに決まってるし。

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