【読めば痩せるダイエット】第5章:するだけダイエット 編
01.高地に住む
ベセスダ軍事健康科学大学のジェイムソン・ボス氏が、学術誌「国際肥満ジャーナル」に、酸素濃度の低い高地に住んでいる人々は、低地に住んでいる人々よりも肥満になる可能性が低いことを示す研究を発表しています。 アメリカの研究者チームも、海岸など低地に住んでいる人々は、コロラド州など高地に住んでいる人々より肥満になる可能性が四~五倍も高いことを突き止めたのです。
高地トレーニングルームは、標高約三千メートルの高地環境を再現したものですが、平地環境よりも酸素濃度が低いため、体内の酸素濃度も低下します。すると体内システムが異常を感知し、酸素が少なくても体が機能するように順応させようとします。
高地トレーニングルームで三〇~四五分間軽い運動をしていると、体内でこれらの反応が起こり、酸素濃度の低下に徐々に適応していきます。 低酸素状態への順応とは、酸素を取り込む能力の増加を意味します。
こうした有酸素運動により脂肪の燃焼能力が高まります。 そのため、週に二回程度の高地トレーニングルームでの有酸素運動と屋外での有酸素運動を組み合わせることで、効率よく脂肪を燃焼させることができます。
これに加え、平地での有酸素運動もミトコンドリアの数を増やしますが、高地のトレーニングルームでの「低酸素刺激」が弱ったミトコンドリアを活性化し、ミトコンドリアの数をさらに増やすことがわかっています。
ただし、時間のかかるダイエット法である低酸素トレーニングが面倒臭いと感じる方もいるでしょう。そういう人は実際に高地に住むことをお勧めします。これは二〇一七年の米国の肥満分布図です。BM一三〇以上が肥満とみなされますが、肥満率が二五%を下回っているのはワシントンDC、ハワイ州、そしてコロラド州だけです。
ワシントンDCは特別な狭いエリアですし、ハワイ州はセレブが住む世界的な保養地ですが、コロラド州は普通の一般アメリカ人が住んでいるのになぜ?
そのヒントはコロラド州の標高にあります。コロラド州は最も低い場所でも、なんと標高一、〇一一メートルもあるんです。凄いですね。ですからすべての住民は、これより高い土地(一五〇〇メートルとか)に住んでいることになるのですね。酸素濃度に換算すると約一八・五%以下(平地では二一%)に相当し、住民は日々普通に生活しながら低酸素トレーニングを行っていることになります。
あなたも標高一、六五五メートルのボルダー市に住んでみてはいかがですか? 日本で言うと、軽井沢みたいな素敵な場所です。
02.レコーディング・ダイエット
「レコーディング・ダイエット」とは、毎日食べたものや体重を記録するダイエット方法です。『いつまでもデブだと思うなよ』の著者である作家の岡田斗司夫さんが考案したもので、商標登録もされています。
食事の内容やその時の体重を記録し続けることで、自分の嗜好や生活習慣を見直し、痩せやすい生活習慣へと改善することを目指すものです。糖尿病の改善を目的にこの方法を取り入れている病院もあり、自己管理へのステップとしても推奨されています。
ノートに必要な情報を記録するだけなので、比較的簡単にスタートできるのも良いですね
最近では、スマホ向けの「食べたものや体重を記録するアプリ」や「カロリーを自動で計算してくれるアプリ」なども登場しているので便利です。
「食事と体重を記録するだけで、どうしてダイエット効果が上がるの?」と疑問に思う人もいるかもしれません。もちろん、ただ記録するだけで痩せるわけではありません。
毎日の食事や体重の変化を記録し、自分自身の食習慣や生活習慣、体重の変化と向き合うことで、食習慣を見直し、悪い習慣を断ち切ることができるようになるからです。その結果、痩せやすい食習慣を自分で考案していくことで、顕著なダイエット効果があるという次第です。
03.振動マシーン
図のように関節を曲げたり伸ばしたりしてみてください。骨に付いている筋肉も伸びたり縮んだりしますよね。
筋肉は伸ばしたり縮めたりすることで強化することができますが、ここで考えてみてください、人間の体は振動を受けても、筋肉はブルブルと動き、「伸びたり縮んだり」しますよね!
筋トレがダイエットに効果的であることは皆さんもご存知かと思います。しかし、関節を曲げ伸ばししたりして筋肉を収縮させる、この「筋トレ」は激しい運動なので、体力を消耗し、多くの人は長続きしません。
激しい筋トレ=ウエイト・トレーニング以外に筋肉を伸ばしたり縮めたりする革命的方法が、先ほどの、ブルブル、すなわち「振動」なのです。
振動によって筋肉が揺さぶられると、無意識のうちに脳は筋肉が「伸びている!」と勘違いし、反射的に「縮めろ!」と命令を下します。
これが続くと、筋肉は無意識のうちに「伸びたり縮んだり」を繰り返すようになります。
その結果、あなたは激しい「エクササイズ」を繰り返したのと同じ効果を得て、体重を減らすことができるのです。
04.フレッチャリズム(徹底咀嚼主義)
時は一九世紀アメリカ。ホーレス・フレッチャーという名のとても裕福な男がいました。
またお金持ち? はい。このダイエット・シリーズに登場する人は全員アメリカの大富豪です。
わたしのような貧しい日本人、芋虫を掘り起こして焼いて食べているような売れない作家は、このシリーズには決して登場しません。なぜ? それは簡単です。食べるものが何もないのだから、太ることはできません。
貧困は最良のダイエットであります。
この真実を、私はアメリカの超富裕層に是非とも教えてあげたい!
「ダイエット」という言葉は、「生き方」を意味するギリシャ語「ディアティア」に由来しています。ご存じの通り、お金持ちの多くは自己中心的で、卑劣な生き方をしていますよね。
ま、それはさておき、一世を風靡したフレッチャーさんのダイエット法「フレッチャリズム」をご紹介させてください。今では「フレッチャリズム」がかつて日本に輸入され、一時期大人気になったことを知る日本人はほとんどおりません。
「フレッチャリズム」のやり方は単純です。食事をするとき、口の中で食べ物を何度も何度も咀嚼し、食べ物からすべての栄養素を絞り出し、繊維質の残りを口から吐き出すだけです。
フレッチャー氏は、それぞれの食べ物について人が噛むべき回数を慎重に割り出し、例えば、リンゴなら七〇〇回噛む必要があることを突き止めました。
このちょっと信じられないダイエット法は、しかし、爆発的に人気となり、ヘンリー・ジェイムズやフランツ・カフカなどの著名作家もその信奉者に名を連ね、世界中に広まりました。
質問:フレッチャーさんのダイエット法でなぜ痩せられるのですか?
答え:どんなものでも七〇〇回も噛み続けると、誰もが食べ飽きて、日が沈んでしまうからです。
「その通り!」と言いたいところですが、正確な答えは「よく噛んでゆっくり食べることで、血糖値が上昇する時間が確保され、その時間の間に満腹中枢が刺激され、過食や肥満が予防できる」からです。
食べ終わる前にお腹がいっぱいになってしまいますからね。さらに、最近の科学により、フレッチャリズムについて、多くの良い効果があることが明らかになりました。
一.唾液にはペルオキシダーゼ(過酸化酵素)と呼ばれる成分が含まれており、発がん性物質を無毒化する働きがあります。
二.よく噛むと耳下腺からパロチンという若返りホルモンが分泌されます。
三.よく噛むと、イライラを抑え、気分を安定させる消化管ホルモン、コレチストキニンの分泌が促進され、ストレスの予防・改善に役立ちます。
四. よく噛むことで脳の視床下部からヒスタミンが放出されて活性化し、食欲が抑制されるとともに、体脂肪の分解も促進されます。
食事の時は、必ず七〇〇回噛むことを忘れずに!
05.片足食べダイエット
ある日本の有名タレントが、「画期的なダイエット」方法で大幅に体重を減らして話題になっています。
彼のアイデアは、利き手ではない手だけを使って食事をするというものでした。
彼はこの方法でダイエットに一時成功しました。しかし、数か月たつ頃には利き手ではない左手で器用に食事ができるようになり、体重もリバウンドしてしまったそうです。
この反省をもとに、わたしはより効果的で究極的なダイエット法を提案したいと思います。
それは「足を使って食べるダイエット」です。 右足でも左足でもどちらでも大丈夫です。ただし片足だけ。足を使って器用に食事ができるようになる人がいるとは思えませんから。
06.スカイダイビング・ダイエット
豚だって毎日一定時間、必死に苦しみながらスポーツをすれば体重を減らすことができるでしょう。とはいえ、スポーツクラブで必死に自転車をこいでいる姿は貧乏臭くて恥ずかしい。
そんなわたしの愛好するスポーツはスカイダイビングです。一回のセッションで二・七キロ体重を減らすことができるので、週に一回やればOKです。
一回五万円くらいなので、月額は二〇万。
あなたも、そのくらいのお金は持っておられますよね?
07.チャコールクレンズダイエット(食べる活性炭)
チャコールクレンズ・ダイエットとは、炭を食べたり、炭を溶かした液体を飲んだりするだけで痩せられるという方法です。
このダイエットには、私たちがよく目にする炭ではなく、活性炭を使います。適切な摂取量(液体に溶かした場合も)は、一日あたりわずか耳かき二杯(三・四グラム)程度です。
活性炭はヤシ殻、石炭、おがくずなどを炭化させたもので、表面には「細孔」と呼ばれる細かい穴が網目状にたくさんあります。痩せる秘密は、体内の老廃物や脂分を吸収するこの細孔にあります。
活性炭を食べるとデトックス効果があり、腸内環境がきれいになります。さらに、ミネラルが新陳代謝を活発化させ、健康的に痩せることができるのです。
このダイエット法は、燃えにくい脂肪を吸収してくれるので、カロリーバランスは気になるけれどなかなか痩せられないという人にお勧めです。
08.フリーダイビング・ダイエット
腹式呼吸やロングブレスなど、ダイエットに適した呼吸法はたくさんありますが、酸素ボンベを必要としないフリーダイビングは非常にユニーク且つ理想的な呼吸法です。
そう、ダイエットに呼吸法は欠かせません。
この呼吸法で最も重要なポイントは「パッキング」です。これは、もうこれ以上息が続かないと感じるレベルを超えて、より多くの空気を肺に吸い込むことを可能にするテクニックです。
高度な技術と集中力を必要としますが、他の呼吸法と比べて、ダイエットに極めて効果的だと言えるでしょう。
09.酵素風呂ダイエット
茶色の砂から顔だけ出して気持ちよさそうに横たわる美女…もしや南国の砂蒸し風呂?あれっ、よく見れば砂ではありません。これはおがくずと米ぬかを発酵させた「酵素風呂」なのです。
抗菌作用を持つヒノキのおがくずと米ぬかに有用微生物を加えて発酵させると、その過程で熱が生み出されます。その「発酵熱」で体を温める発酵温浴法が「酵素風呂」です。ガスや電気などを使わず、自然の力で発熱し、体感温度は約四〇℃。最大で約七〇℃まで発熱させることが可能です。
酵素風呂ダイエットの秘密は、基礎代謝をあげてくれることです。
それって、本当にやせられるの?
やせます‼ 何キロくらいらいやせられるの?もちろん個人差はありますが、体験者によると「1か月で二・八キロ」「三か月で七キロ」「半年で一〇キロ」など、人によってさまざま。
酵素風呂はどのくらいの頻度で入浴すれば良いかといえば、最初の三か月間は週に一、二回入りましょう。この期間は基礎代謝が上がります。四か月目以降は、基礎代謝の高い状態を維持するため、一か月に二、三回酵素風呂に入浴をするのが理想的です。
酵素風呂体験者に感想を聞いてみました。
「山奥のド田舎にものすごい本格的な酵素風呂があると聞いたんで、入りに行ったんですよ。茅葺き屋根みたいなところで、服を脱いで裸で頭にシャワーキャップをかぶってガラガラっと開き戸を開けたらもわっという熱気と共に、強烈なにおい。そう、ぬか床そっくりの。かっぽう着のおばあさんが『はい、ここに寝て』って、シャベルでどんどん酵素風呂をかけてくれるんですけど、めちゃくちゃあったかい。『これって、電熱か何かであたためてるんですか?』と聞くと『いんにゃ。発酵してるだけだべ』、いやーびっくりでしたね。じわじわ汗が出て来て…そしてぬか床の匂い。なんだかぬか漬けのキュウリになった気分です。いや、丸茄子か…。時間が来て起き上がると身体中茶色い酵素風呂だらけで「どーもくん」みたい。『そこ立ってな』っておばあさんがホースで水かけて洗い流そうとしてたら、横の戸口がそーっと開いて、三助みたいな爺さんがニコニコしながらのぞくんですよ。おばあさんが『コラーッ!またのぞき見しやがって』って爺さんにホースで水かけて追っ払うと『えへへへへっ』って裏の畑の方へ走って逃げて行きました。でも洗い流してもらって体を拭くと、肌がぴっかぴか!艶々してるんです。そして体が軽いし、鏡を見るとウエストが引き締まった気が。ぬか漬けも漬ける前より細くなるからなーと感心しながらも、次からは都市部のおしゃれな酵素風呂サロンにしようと思いました…」。
10.糖質制限ダイエット
宮本美智子氏は、著書『世にも美しいダイエット』(講談社・一九九四)で、「米や小麦は摂らない」「パンやパスタなど炭水化物は1食三〇グラム程度にする」「エネルギー源は小松菜と紅花油」「緑黄色野菜であればOKNG(キャベツはNG)」「夜寝る前に〇・五%の食塩水を一リットル程度飲む」など、低糖質食を提唱し、実践しました。
この本はベストセラーになり、多くの追随者を生みました。
しかし、一九九七年、彼女は脳出血で倒れ、多臓器不全で五一歳の若さで亡くなりました。
彼女の死から四半世紀が経ち、過度な糖質制限は身体に害を及ぼし、死に至ることもあるということは、ある意味では常識となったのです。