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「ムーンシャイン」

絶賛ヘビーローテーション中。

何を冒頭に言ってまんねや?

そうお思いになるのはごもっとも。

「懲役二秒」

冗談言ってはりますわ~。

いやいや、アルバムのタイトルでございまして。

ブギ連二枚目「懲役二秒」

ええ。

甲本ヒロトさんと内田勘太郎さんからなるブルース・グループですね。

ブルースのリズムに日本語をのっけて歌う…。

これ多分よく言われてる事だと思われるが、ロックのリズムやブルースのリズムに日本語のっけるのって中々どうして…って議論が昔からありましたよね。

今はそんなのないか。

ロックを日本語で歌うか
それとも英語で歌うか…。

ジョー山中さんがボーカルを務めたバンド、「フラワー・トラベリン・バンド」のプロデューサーをしていた内田裕也さん。

ロックは英語で歌うべし!
っと裕也さんは決断してフラワー・トラベリン・バンドは英語で歌うと決めた…。

そんなことをどっかで見たな。

せっかくなので「フラワー・トラベリン・バンド」の「SATORI」を。

まあ昔の話なんで、今に至ってはそんなことないのかと思われる。

ただブルースのリズムに日本語のっけるのって難しいなと個人的に思ってしまう。

ええ、あくまでも個人的な意見ですよ。

歌詞を多くするのか。
歌詞を少なくするのか。

余白を大切にするのか。
びっしりと埋め込み余白を意識させるのか。

そんなことを考えていると妙にブギ連二枚目の「懲役二秒」がしっくりときてしまう。

良いんですよね~。

ヒロトの歌と勘太郎さんのギターの絡み具合が。

そして何かよく分からんけど、よく分かるような世界感が。

Bluesに日本語をのっける…。

聴いていてクセになってしまう。

さて、ブギ連「懲役二秒」の一曲目である「懲役二秒」。

ウイスキー呑みてえよと、歌っているこの曲。

勘太郎さんのボトルネック奏法がムッチャカッコええんすよね。

まるでウイスキーを吞みたくなるようなブルージ―さが…。

甲本さんの歌も実にブルージーで。

よく聴いている。

んで、聴いていると一つのことに気づく。

歌詞カードにある「干上がった 砂漠にウイスキー」って部分。

どうも砂漠のあとに続く「ウイスキー」の部分を甲本さんは「ムーンシャイン」と歌っていることに気づく。

ん?

って思って歌詞カードをみるとそこには「ウイスキー」って表記されているので、歌い間違っているのかなんて思ったが…。

オマージュを捧げているんですよね。

Bluesに。

「ムーンシャイン」

「干上がった砂漠にムーンシャイン」ってこと。

良いですね。

砂漠の夜空に煌々と輝くムーンシャイン。

ググってみると分かるのだが、「ムーンシャイン」って昔の密造酒のことなんですよね。

その昔、高い税金を逃れるため月明りを頼りに「密造」したことから由来する名前だそうで。

「ムーンシャイン」

特にアメリカではウイスキーの密造をさすことが多いとか。

なので「ウイスキー」を「ムーンシャイン」と歌っているのでしょう。

きっと。

味わい深いですね。

Bluesと密造酒。

以前こんなことを書いた。

ちょいと長めの記事です。

ご興味が湧いたら読んでみて下さい。

「禁酒法」とブルースのこと。

メンフィス・ミニーの記事。

法律的にお酒を製造することを禁じられていた時代のこと。

「ムーンシャイン」

密造酒が世に出回ってたんでしょう。

きっと。

「トウモロコシ」

とうもろこしは料理に使われるだけでなく、「お酒」の原料としても利用される。

「バーボンウイスキー」

アメリカはケンタッキー州バーボンで生まれたウイスキー。

「原料の穀物中にトウモロコシを51%以上含み、80度以下で蒸留し、さらに内面を焦がしたホワイトオークの新樽で、アルコール度数62.5度以下で熟成したもの」というのがアメリカの法律に定めるバーボンの定義です。

Suntory.CO.jpより

「ジムビーム」などで有名なウイスキー。

定義として明確に51%以上と規定されているわけだ。

厳密なルールがあるわけなんですね。

ちなみに「スコッチウイスキー」も原料の半分以上がトウモロコシで作られたウイスキーだ。

スコッチは、スコットランドで作られたウイスキー。
バーボンはアメリカで作られたウイスキー。

その名を名乗るためには厳密なルールをクリアしないといけない。

奥が深いですね。

そしてウイスキーは「蒸留酒」である。

お酒を言い表わすのに「リカー」という単語がある。

取り分けアルコール度数の高いラムや、ウイスキー、ブランデーやコニャックなどの蒸留酒を指す言葉だそうだ。

「リカマン」って言ったら通じるのかな。

あれ確か全国で展開していますよね。

ええ、お酒買えるお店ですね。

多分その「リカー」の語源は、ここからきてるんでしょうね。

予想ですけど。

話がそれた。

度数の高い蒸留酒類を表すのに、「リカー」という言葉があるわけで。

「コーン・ウイスキー」

原料の80%以上がトウモロコシで、アルコール度数80パーセント以下で蒸留したものであることが条件となります。
なお、熟成期間については決まりがなく、一切樽熟成しなくても出荷できます。

tanoshiosake.jpより

このコーン・ウイスキー。

またの名を「コーン・リカー」とも言うそうだ。

「リカー」は、アルコール度数の高い蒸留酒などに使われる言葉なので、ニュアンスが伝わってきますね。

調べてみると味わいとしては荒々しいアルコール感の後に、甘いコーンの味わいが残るのが特徴だそうで。

コーン・ウイスキーの特徴である、ほとんど熟成しないことも味わいの一つの要因になっているんでしょうね。

そしてコーン・ウイスキーは禁酒法時代には「密造酒」として人気だったそうだ。

熟成させることなく効率よく出荷できるからなんでしょうね。

「ムーンシャイン」ですね。

まさに月明りの下で…。

ですね。

歌詞にはウイスキーと記しているのに、聴いてみると「ムーンシャイン」と言葉を放っている。

表上では
だが実は…。

そのニュアンスが「懲役二秒」の「ムーンシャイン」なんでしょうね。

禁酒法が解かれたのは1933年12月5日。

翌1934年は大手を振って酒が飲めた時代。

メンフィス・ミニーの記事でも書いたが…。

「リロイ・カー」


リロイ・カー
画像引用元:Wikipediaより

リロイ・カーの代表曲「ハウロング・ハウロング・ブルース」

1905年生まれ。

1935年に亡くなる。

ブルース・ピアニストで後世に影響を与えた人で知られているそうだ。

「都会的なブルース」 「アーバン・ブルース」

そんなジャンルの草分け的なシンガー。

その影響力は、かのロバート・ジョンソンにも及ぼしていたそうで。

聴いた話ですけど。

ロバート・ジョンソンの歌い方が何となくリロイ・カーに似ている…。

聴いているとちょっとそうなのかなと思う部分も。

想像するに、それだけリロイ・カーって方の影響力って凄かったんでしょうね。

知りませんけどね。

リロイ・カーはアルコール依存症を患っていたそうだ。

それが体に負担をかけていたんでしょうね。

30歳の時に腎炎で亡くなられた。

早い…!

まあ、お酒はほどほどには今も昔も変わらないですね。

ほどほどに。

さて、リロイ・カーが生きた1920年代や1930年代前半。

禁酒法の時代でもありますね。

きっと世に出ていた「密造酒」も口にしていたのでは。

「ムーンシャイン」。

1934年に発表されたリロイ・カーの楽曲。

禁酒法が廃止された翌年ですね。

「コーン・リカー・ブルース」

いや、もうド直球なタイトルですね。

トウモロコシウイスキー・ブルースみたいな?

いかにお酒が待ち望まれていたのか。

何かそんなことが想像できる。

歌詞を見ていると何となくではあるが、いかにリロイ・カーがお酒が好きなのかが分かる気がする。

「気持ちがとても和むんだ」

「だからもっと飲ませてくれよ、酔っぱらったら送って頂戴。」

「もう一杯くれよ、そしたら家に帰るからさ…。」

おいおい、しっかりしろよと突っ込みたくなる。

まあ、そのヘベレケ加減を現すような演奏が良い具合に出ていてリラックスしてますよね。

良い意味で。

「トウモロコシウイスキー・ブルース」

自分の酔っ払いスタイルを歌うと同時に、過ぎた時代…

禁酒法へのオマージュを捧げていると言えるのかも。

リロイ・カー流に。

「ムーンシャイン」として人気のあった「トウモロコシウイスキー」。

きっとリロイ・カーは相当お世話になっていたんでしょうね。

なので一つの皮肉ともとれる時代の狭間で作られた楽曲は、何とも味わい深いもので。

やっとこさ普通に美味い酒が吞めるさ…。

そんなオマージュをこの歌で捧げているのかも。

知らんけど。

何にせよ、その楽曲は月夜の晩にひっそり聴くとより味わい深いBluesなのかもしれない。

さあ、どうなんでしょうね。








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