血圧~ブラッド・プレッシャーズ~
2000年代UKロック
2000年代。
20世紀が終り、21世紀が産声を上げて間もない頃。
当時世界の音楽でザ・ストロークスやホワイト・ストライプスの登場により、ガレージロック・リバイバル、ロックン・ロール・リバイバルなるムーブメントが起きた。
その動きに触発されて様々なバンドが登場したのが大体2000年代初頭。
世代的にタイムリーだったので、登場した色々なバンドをよく聴いていた。
特にUK発のバンドに注目していたな~。
そのカテゴリーに当てはまるか分からないが、名前を挙げていくと…
リバティーンズ、コールド・プレイ、ザ・コーラル、ザ・ミュージック、カイザーチーフス、ハード・ファイ、レイザー・ライト、フランツ・フェルディナンド、クークス、カサビアン、アークティック・モンキーズ…などなど。
うわ~、懐かしい!
本当にたくさんバンドが出てきたんだよな~。
綺羅星の如く登場してきたバンドは現在では、世界的に活躍していたり活動を継続していたり、解散していたりと様々だ。
レイザー・ライトとか好きだったんだが、気付いたらメンバーがヴォーカルのジョニー・ボーレル以外脱退していたりなどして今現在活動をしていないバンドの一つでもある。(2018年に10年ぶり位にアルバムを出したのが最後かな?)
世代がタイムリーなだけに、そのバンドのリアルタイムを伺いしれて思い入れも深くなるんですよね。
特にアークティック・モンキーズとカサビアンは同世代で一番好きなバンドだ。
そしてその二つのバンドのファースト・アルバムの頃からの変遷を知っているだけに、アルバム一枚ずつが当時の自分の生活とリンクして妙に思い入れが深くなったりする。
そういえばカサビアンは今年新作を発表するとか。
新作を発表するたびに割と来日してくれるイメージがあるカサビアン。
今年もソニック・マニア辺りに出演して、大阪のみサマソニパターンで来日したりして。
それは良いとして、本当にたくさんのバンドが登場した2000年代UKロックシーン。
ザ・キルズ
「ザ・キルズ」(The Kills)
Uk音楽シーンから生まれたロック・デュオ。
イギリス人のジェイミーと、アメリカ人のアリソンの二人編成の男女デュオでライブの時などにドラムのサポートなどが入る。
アリソンが所属していたディスカウントというバンドの公演でイギリスを訪れていた際、泊まったホテルの部屋の上がジェイミーの部屋だったらしく、ジェイミーの部屋から聴こえる音楽に興味を持ったアリソンが部屋を訪ねたことが交流のきっかけになり、そこからザ・キルズの結成につながっていく。
2002年にインディペンデント・レーベル「ドミノ・レコーズ」からEPを発売しデビュー。
そこからジェイミーが怪我をしてギターを弾けなくなったりするなど紆余曲折を経たが、2024年現在も活動をしている。
2023年にも7年ぶりに新作を発表するなどして、その健在ぶりを示している。
好きなバンドなので末永く活動をしてほしい。
ちなみにザ・キルズは2008年のサマソニで一度見たことがあるが、その年自分の暑さ対策不足で昼間にヘロヘロになってしまい、あまりキルズのライブの記憶が残っていない(笑)。
本当に当時の自分を叱りつけてやりたい。
この時に暑さ対策と紫外線対策はしっかりせんとあかんと勉強できたから良かったが…。
体調が万全だったら!
今でも悔しい思い出の一つだ。
コマメな水分補給(ポカリ)、帽子を被るなどの紫外線対策、メリハリをつけて休む時は休む、日陰を大切に、しっかり睡眠をとっておくこと…。
当たり前かもしれませんが、重要ですよね。
さて、キルズの話に戻ると2008年当時は丁度3枚目のアルバムを出していた頃で、翌2009年にホワイト・ストライプスのフロント・マン、ジャック・ホワイトを中心としたスーパー・グループ「ザ・デッド・ウェザー」にヴォーカルとしてアリソンが参加している。
そして2011年キルズが4枚目のアルバムとして発表したのが「ブラッド・プレッシャーズ」だ。
「ブラッド・プレッシャーズ」
ブルースや、ガレージ・ロック、ポスト・パンクやテクノロジーを駆使したダンサンブルな曲調の作品を披露して「一筋縄ではいかない」ロック・サウンドを展開してきたキルズ。
だからこそのインディペンデント・レーベルかなと思ったり。
「血圧」というタイトルからして、聴く者の想像性を刺激するようなタイトルである。
ダークな雰囲気、真っ先に思い浮かぶ言葉かもしれない。
ジェイミ―の鳴らすギターが、暗闇の奥底から響くようにして”機械的なざらつき”を感じさせ、アリソンのヴォーカルがロックの熱狂性や幻想的な部分を表現しているかのような感じだ。
曲にフックがあり、強く耳にそしてクセになる部分を作りリズムは反復的に繰り返し、その音楽に慣れると病みつきになる側面を併せ持つ。
聴いていてここが明確なサビ(コーラス)の部分だという曲の起承転結を重視した展開ではなく、例えが違うかもしれないがブルースのように3コード、もしくは1コードで曲が進んでいくかのような曲進行を見せる。
ジェイミーもアリソンも歌詞を書くが、取り分けブルースに影響を受けているアリソンは、ブルースにインスピレーションを受け、歌詞にも昔のブルースに使われる比喩表現を参考にしているそうだ。
同じリズムを反復し、モーン(呻き声)や抑揚でブリッジのような箇所を作りそれがこのアルバムの特徴ともいえる。
レコーディングでジェイミーは色んな種類のドラムの音をサンプリングし、ドラムのプログラミングから始めたりしてリズムの部分に徹底的にこだわったそうだ。
そのビートに乗ったジェイミーの”加工”を施したギター・サウンドは強烈な印象を刻む。
古いエフェクターや、別の部屋で様々なアンプを使用しアプローチを加えたジェイミーのギターは頑固な職人のような気質を孕み、前衛的なアーティスティックな面も垣間見せる。
そのダークな地響きのするようなテクノロジー・ロックサウンドに乗った、アリソンの声の音域が上手くマッチしていてそれが聴きやすさも生んでいる気がする。
何よりアリソンのヴォーカルってカッコイイんですよ。
ロックン・ロールの力強さをまとい、しなやかさもあって、ブルージ―な感じもして。
そしてジェイミーとアリソンのコーラスもまた一つの魅力。
バラード調の曲もあり、低く重心を落としたサウンドは聴き応えがある。
「血圧」(ブラッド・プレッシャーズ)
好きなアルバムだ。
聴いてて興奮して血圧が上がらないように…
スミマセン。
簡単な曲紹介
アルバムオープニング・ナンバーの「Future starts Slow」。
地響きがするかのようなドラムの音から始まり、ジェイミーの遠くから聴こえるようなギター音が絡んできて、アリソンとジェイミーのコーラスが主軸となってくる。
このダークな世界感がひたすら同じトーンで続いていき、より一層サビの部分でのコーラスが力強く感じる。
「喚けばいい 叫べばいい
残った常識なんて 吹っ飛ばしてくれていい」
歌詞と同様に力強いビートを刻んだオープニング・ナンバー。
ひたすらカッコイイ。
②の「Sateraite」
強烈に加工された電子ノコギリのようなギター音から始まる。
「ガッガッガ…!」
っみたいな。
ひたすらジェイミーのギター音が暴れて、遊んでいるかのような印象だ。
このノイズにも似た雰囲気が「サテライト=衛星」を意識したようなものであって、宇宙の暗闇を彷徨っているかのようなダークな憂いを潜めているんでしょうね。
途中少しギターソロが入ったりするが、やはり二人のゴシック的なコーラスの余韻が深い。
好きな曲だ。
⑧曲目の「The Last Goodbye」
オプティガンという70年代初期のメロトロン・スタイルのキーボードをフィーチャーしていて、そのドリーミーさはアルバムの中で一番の曲。
アリソンが考えた感傷的な歌詞が、彼女の独白のような歌い方でより切なさを生む。
アリソンの歌声は次第に熱をおびてゆき、それは恋人と別れ自分一人で生きていくという力強さを表現しているのだろうか。
いずれにせよ、アルバムの中で最も美しく、アリソン・モシャートの多様な面を感じさせる深いバラードだ。
⑪曲目のラストナンバー。
弾き語り動画で。
後ろでチックタックと鳴るメトロノームの音が味わい深い雰囲気をかもす。
ひたすらにジェイミーの弾くギターは、優しくそしてアリソンの歌声はただただ美しい。
その雰囲気にピタリとハマるようなメローなナンバーで「ブラッド・プレッシャーズ」は幕を引く。
本当に味わい深く、そして心地良いサウンドだ。
少しアルバムの中の曲を振り返ってみました。
テクノロジーを駆使し、ジェイミーの独創的なギター・サウンドと、アリソンの表現力豊かで、力強さもしなやかさも内包した声を組み合わせた「キルズ」は何物にも代え難い。
調べてみれば2017年を最後に来日していないそうだ。
前回見た時は暑さにやられ、フラフラであった自分。
今度は万全の体調でそのライブを間近で体験してみたい。
好きなバンドです。
記事を最後まで読んで頂き誠にありがとうございます!
この記事が参加している募集
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?