架空の劇団第26回公演「スケッチブック-供養絵をめぐる物語-」当日パンフレットの文章
「スケッチブック-供養絵をめぐる物語-」を読んで、素直に感動した。と同時に「これは芝居になる」という直感が走った。その直感に従ってここまでたどり着いた。
恐らく、旧知でなければ手に取ることはなかったかも知れない作品だ。児童文学とは、わたしにとって、子どもの教科書や絵本の世界で、インスピレーションの一助や、劇中のパーツとして一部を拝借したりはするものの、原作として舞台化することがあるとは想像していなかった。
それが「芝居になる」という直感を得てしまったもんだから、しかも見ず知らずではなく、お話しもしやすいというのだからこれを逃す手はない。
出版が2018年11月29日だから、舞台化したいと話をしたのはその翌年あたりだったと思う。それから基本的にはトントン拍子に話は進んだが、コロナ禍があった。コロナの渦中では、観客動員ものぞめないし、上演にもいろいろと規制がかかりそうだったので、できる限りゆっくり進めることにした。
何しろ初めての原作ものである。大切に大切に育てたかった。
そんな中でも、原作者のちばさんと遠野に取材に行ってみたり、台本を作るにあたっての相談にも乗っていただいたりして、なんとかコロナ禍をやり過ごしつつ、準備は着々と階段を上っていた。
登場人物を女性のみにすることや、主人公の年齢設定を原作の原作に戻すこと、新たな登場人物を付け加えることなども快諾いただいた。
供養絵をテーマとしているので、出来ればそれを見せたい。また、スケッチブックに鉛筆を走らせるところも見せたい。そして、回想は紙芝居のようにしたい。などと妄想が膨らみ、今回はかなり映像を使ってみることになった。それが上手い具合に舞台とフィットしてくれていることを願っている。
今回もいろんなところでいろんな人に支えてもらった。そんなたくさんの人に支えられた芝居が幕を開ける。まあ、タウンホールで幕は開けないのだが。そんなわけで関係者の皆さん本当にありがとうございます。観客の皆さんとともに、良い時間を過ごせますように。