架空の劇団が初の原作モノに挑む!
その作品は第26回小川未明文学賞受賞作「スケッチブック~供養絵をめぐる物語」。作者のちばるりこさんは、盛岡在住の童話作家で、原作を読んだくらもちが、舞台化を切望し、快諾いただきました。
出版された作品の主人公は、小学6年生という設定でした。かなり大人びているなとの感想を持ち、作者に話を伺うと、読者ターゲットを小学生まで広げる都合で、書き直したとのことでした。そこで、原作の原作、受賞作を読ませてもらうと、主人公の設定は中3となっていて、なるほどそちらの方が納得させられる話だなと感じました。
そこで、舞台化に当たっては、主人公の設定を中3に戻すことにしました。
サブタイトルにもある通り、この作品のテーマは、遠野地方でお寺に奉納された供養絵です。死後の幸せな姿を描いた供養絵に出会うことによって、主人公は傷ついた心と孤独を快復させてゆきます。それは、死者と出会うことによって逆説的に生きるエネルギーを得ることなのだと思います。
ものがたり
小学6年生の時に起こったある出来事がきっかけで、大好きな絵を描くことに臆病になってしまった紗理奈。中3になり、祖母の体調が悪くなったのをきっかけに、手伝いをするため、夏休み1人で遠野にやって来た。
母を早くに亡くした紗理奈は、寂しくなるとスケッチブックに母の絵を描いた。遠野で母の友人高木と出会い、若かりし母の姿を知る。
死者の幸せな死後を描く「供養絵」と出会い、紗理奈は自分の書いていた母の絵が「供養絵」だったことを悟る。そして母もまた「供養絵」を描いていたことを知り、亡き母とのつながりを実感していく。
死者と出会い、死者を描く、そうして心の傷と孤独が癒やされていく。少女が遠野で経験した、ひと夏の再生の物語。
架空の劇団第26回公演「スケッチブック-供養絵をめぐる物語-」原作/ちばるりこ 脚色・演出/くらもちひろゆき チラシ裏に書いた文章