《戦争と平和》と《レ・ミゼラブル》
先日、ユゴーの《レ・ミゼラブル》を読み終わりました。新潮文庫で5分冊の長編小説です。
以前読んだ、トルストイの《戦争と平和》もかなりの長編小説でした。
ここでは、勝手な基準で両者の比較をしてみたいと思います。
(以下、興味本位の比較なので厳密な考証はしていません。ご参考程度にお願いします)
1.作品の長さ
戦争と平和…1225ページ(光文社文庫)
レ・ミゼラブル… 1462ページ(青空文庫)
《レ・ミゼラブル》の勝ち
2.登場人物の数
戦争と平和…559人(ネット情報)
レ・ミゼラブル…100~150人位?(情報見つかりませんでした)
《戦争と平和》の勝ち
3.感動の大きさ
壮大さスケール感は《戦争と平和》
ストーリーの奇抜さ面白さは《レ・ミゼラブル》
互角
4.読みやすさ
ストーリーに直接関係しない、著者の主義主張や思想が開陳される部分があります。トルストイ節(ぶし)がしつこい(笑)が、ほぼ戦争論だった。ユゴー節は、革命論・民主論をはじめパリの下水道の話まで多岐にわたって炸裂する。そしてトルストイに負けず劣らずくどい(笑)。知識がないとわかり難い。ただし、このような寄り道に我慢して著者に付き合ってコツコツ読んでこそ長編小説を深~く楽しむ醍醐味かもしれません。
《戦争と平和》の勝ち
5.ドキドキはらはら度
先が読めないのではらはらしたり、主人公の突飛な行動に驚いたりは、こっちです。(いいところなのに、突然ユゴー節がはさまったり…イラッ)
《レ・ミゼラブル》の勝ち
6.主要人物の魅力
戦争と平和 貴族たち
ピエール伯爵…カタブツ・意志が弱い(のちに良き家庭人)、アンドレイ公爵…勇敢・万能、ナターシャ…天真爛漫(結婚を機にへんし~ん)、マリヤ…信仰心・美しい瞳
レ・ミゼラブル 平民たち
ジャン・バルジャン…苦労人・破天荒、マリユス…真面目・一途、コゼット…超かわいい、ファンチーヌとエポニーヌ…かわいそう!
互角
7.主な舞台
戦争と平和 ロシア~モスクワ、ペテルブルクとアウステルリッツなど戦場
レ・ミゼラブル フランス~ワーテルロー、パリ近郊、パリ
8.時代背景
戦争と平和 1805年~1813年 ナポレオンのロシア侵攻と敗走
レ・ミゼラブル 1815年~1832年 ナポレオンのワーテルローの戦い~七月革命~六月暴動
9.発行年と作者の年齢
戦争と平和 1869年 40歳 新進
レ・ミゼラブル 1862年発行 60歳 円熟
トルストイは壮年期のはじめ、一方、ユゴーは老年期のはじめ。
10.トルストイとユゴーの関係
トルストイは1860年から61年、農民の教育問題解決のため西欧を訪れた際にユゴーを訪問し、新作『レ・ミゼラブル』を激賞したとのこと。
トルストイは、ユゴーから自著執筆に大きな刺激と影響を受けたと思います。
11.おすすめ度
戦争と平和 5
レ・ミゼラブル 4.5
12.まとめ
好きなのは、レ・ミゼラブルの方かも。
でも、ユゴー節が長すぎたかな…
※こじょりんさんの画像をお借りしました。ありがとうございます。