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【旅日記】奈良・般若寺その2~おばあちゃんの”コスモス寺誕生秘話”~
さて。
思い付きで市内中心部から自転車を走らせること20…いや、体感だと30分。
坂を上り、下って、こんどはもっとキツイ坂を上り、
このままでは山を一つ越えてしまうのではないかと思い始めたときに…
「般若寺」という看板がみつかります。
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入り口にはたくさんの鉢植え。
中に入っても鉢植えの列が続いていました。
そのうちの一つに「紫陽花」とあったので受付をしてくれたおばあちゃんに聞いてみると…
「これ全部、あじさいなんです!6月くらいになると色とりどりになりますよ~」とのこと!
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整然と並べられています
「6月は紫陽花、9月はコスモス。住職の家族だけで、毎年育てて植えてるんです~」
…毎年?!
「コスモスなんかはね、育つと2メートルにもなるんで、『いっしょにきた友達、どこいった?』なんて言って迷子にならる方もいらっしゃるくらいんなんですよぉ!」
2メートルっ!!!
聞けば始まりは、山口百恵の『秋桜』が流行した1970年代後半…
もとはどこからか飛んできた種が花を咲かせて、”雑草🌸コスモス”が咲き乱れる境内だった。
でも『秋桜』が流行した当時、コスモスの咲く長閑なお寺をぜひ見たいと、全国からたくさんの人がいらっしゃったんだって。
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水仙のお花でいっぱいでした♪
「せっかく遠くからも来てくださるもんですから、ちょっとでも楽しんでもらえたらと思って、お寺の境内で秋桜を育て始めたんです。」
以来50年間、ご家族と、たまにボランティアの方と一緒に、毎年大切にコスモスを育てるようになったとのこと。
「最初はなんもわかりませんでしたから、見ごろになる前に台風で倒れちゃったりすると、ぜんぶ竹串で支えてなんとか起こしたりしてました」
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冬の西日が差すお堂は、どこまでも穏やかです
「でもある時、農家さんに勉強さしてもろて、ネット使うて風から守れるようになって、最近はだいぶ変わりましたわ!」
「お米そだててはる農家さんとおんなじですわ。倒れたまんまにしとくとだめになってしまいますから」
そういうおばあちゃん…否、おばあさまは、おひさまのまんまのような、ぴかぴかした笑顔でお話ししてくれます。
「咲いてる時よりそうじゃない時期の方が多いですけど、毎日毎日、何かがちがうんです。だから楽しい。」
「苗を置くときもね、『ここから見たら、花は見えないけど葉っぱの緑はきれいにみえるかしら』とかね、いろいろと想像するんですわ!」
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江戸時代、病で巡礼が困難な者の為に、西国札所の観音様を石像にして
奉納なさった方がいらっしゃるそうです
「それから、こうやっていっぱい花が咲いてない時にいらっしゃる方にも、『ここのお寺大丈夫かしら』て思ってもらいながら
花が全部咲いたらどんなふうになるんだろって、ワクワクしてもらうにはどうしたらいいかなぁとか!
いろいろ工夫する日々です」
そんな工夫の中で、水仙の球根を植えたり、6月になれば紫陽花の鉢を並べたり…たくさん工夫を重ねて今に至るという。
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水仙の2月にはこんな試みも❤
本堂の前が水仙でいっぱいになります
たくさんたくさん工夫を重ねているから、
毎月違う。
毎日ちがう。
「お客さんでもたまに『あれ?ここだっけ?』って驚かれる方もいらっしゃいます!あんまり季節ごとに違うから」
相違ってうれしそうに笑うおばあちゃまの手は、土とたくさん戯れて、土とたくさん対話している手でした。
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どれも胸がいっぱいになるような
みずみずしい香りがあふれています
「でも、毎回違うからこそ、来てくださるごとに、何かしら皆さん感じていかれるみたいです。
お花でいっぱいの寺ですけど、ただ写真撮るだけじゃなくって、いろいろと感じて、お祈りしていかれる方もいらっしゃるんです」
般若寺のお話、あと1回続きます。