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さだまさしの案山子

さだまさしの

「案山子 ( かかし ) 」を聴いて

思い出したことがありました。

わたしの父 二郎のことです。

二郎は大工でした。

若い頃 千葉から上京して

渋谷区で大工見習いから始めて

一人前になりました。

25で同い年の母と結婚。

一生懸命働きましたが 暮らしはなかなか楽にならなかったそうです。

人間関係が苦手、コミュニケーションが苦手な二郎は

いまでいう 鬱になりました。

そんな時 優しい弟が

「兄貴 気晴らしに キックボクシングの試合を見に行こう!」と

誘ってくれました。

弟は田舎の母 ( わたしの祖母 ) に

「 リングサイドだから俺と兄貴が映るかもしれないよ。」と電話をしました。

母は楽しみにテレビをつけ

リングサイドの息子たちを探したそうです。

やがて キックボクサーの後方に

兄弟が並んで映し出されました。

その時の 二郎の顔が

暗く沈んでいたそうです。

田舎の母 ( わたしの祖母 ) は 「 なんだ、二郎。どっか体でも悪いんでねぇが。 」

そう思ったそうです。

案山子を聴くたびに

私はこのことを思い出して

涙が出てしまいます。

(T ^ T)

二郎は88才で母親の元に逝きました。

空にいる父に心配をかけずに暮らそうと

いつも、いつも思っています。

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