「しゃわっ」を求めて
『しゃわっ』
なんの音だろうか。
シャーベットの音?
髪の毛を掻き毟る音?
シャワーを捻る音?
いえ、ミルクレープを食べる音です。
ミルクレープといえば、クレープ生地と生クリームが何層も重なっているあのシンプルなケーキだ。
某回転寿司屋さんによくあるイメージ。
さておき、ここ最近妙にミルクレープが食べたい。
YouTubeでミルクレープを食べるASMRに遭遇して以降、
私はミルクレープ食べたい病にかかってしまっている。
(ちなみに動画はこちら
→https://youtu.be/CiXyoBLl8pk
私はASMRが好きなわけでも、神楽ひなこちゃんのファンというわけでもないが、
ミルクレープを豪快に食べ続ける美少女は見ていて飽きない)
ミルクレープが『しゃわっ』とか、『しゅわ~』とか、そんな音がするイメージは全くなかった。
今すぐに食べたい。
そう思ったのである。
ミルクレープはスーパーの生菓子コーナーにあるだろう。
隣にはモンテールのワッフル。(想像)
とにかく、私は食べたいと願えばすぐに手に入るものだと確信していた。
しかし現実は違った。
バイトから家までの帰り道にある最寄りのスーパーを2軒見たが無い。比較的大きなセブンにも寄った。
ない。
ないのだ。あの寿司屋にあるミルクレープが、スーパーの生菓子コーナーにすらないのだ!!!!!!!!
食べたいと思った時にミルクレープが食べられない苦しみ。
ここまでとは想像もしなかった。
Twitterでは『ミルクレープたべたい』と幾度となくツイートした。
絶望した私は、バイト先から家までの途中駅にあるコージーコーナーに行こうと企てた。
しかし面倒なことが起こり、断念。
涙目で滅多に行かない駅の反対側、ふらりとセブンに立寄った。
あった。
幸せはここにあった。
16層の幸せ。
素晴らしいネーミングセンスだと思う。
大急ぎで家に帰り、るんるんでお皿とフォーク、インスタントコーヒーを用意した。
美しい断面に惚れ惚れしながら手のひらを合わせた。
いただきます。
一人きりの至福の時間。
フォークを上から下に一気におろしたら、確かに聞こえた。
ケーキは『しゃおっ』と、奏でた。
確かに奏でたのだ。
あれほど探したミルクレープを口に運び味わえたことより、私はその音を聴けたことに感動した。
もう一度フォークを入れる。
聞こえた。生クリームが記事から剥がれる音なのか。
わからないけれど聴こえた。
本当ならば大きな口を開けて一気に食べたかった。
しかし私はゆっくり味わった。
というよりか、そうするしか無かった。
このケーキ、意外ともたれるのである。
いや、もたれるというほどまではいかないが、スイーツより油物が好きな女子大生の胃には予想外のダメージを負わせた。
それでもコーヒーと一緒に食べるミルクレープは素晴らしい。
これからも半年に一回ぐらいは食べたい。
あの音を求めて。
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