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山本大斗選手(シドニー/千葉ロッテ)インタビュー

「ABLでの第1号本塁打は、自分としてもいいバッティング。帰国後は少ないチャンスから一軍定着への道を拓く」

マリーンズファンの間では、「ダイナマイト山本」と呼ばれ、近い将来の和製大砲として期待される、山本選手。ABL第1号となった、流し打ちの本塁打は豪日のファンだけでなく、ベンチのチームメイトをも驚かせた。その本塁打をはじめ、ABLでの経験、現地で感じたことを聞いた。


はっきり分かった一軍での課題


――まずは日本での今シーズンを振り返って。ご自分の目標に対する結果としては、どうでしたか。

今年は一軍でプレーして、 結果を残すことが目標でした。だから、二軍で(イースタン・リーグの本塁打王〈19本〉、打点王〈66〉の二冠という)結果を残すことはできましたが、それよりも一軍で結果を残せなかった悔しい思いの方が強いシーズンでしたね。

――そんな中でABLへ派遣すると球団から告げられたときは、どう思いましたか?

今シーズン少し一軍に出て、僕の来季への課題は分かっているので、それを日本のシーズンオフの間に、このオーストラリアでしっかり実戦を積んで、克服していきたいと思いました。だから、ここに来られることはとても嬉しかったですし、楽しみにしていました。

――今季、一軍出場の中で見えた課題はなんだったのですか?

技術面ですね。自分もそんなに多くはチャンスをもらえない。去年もそうでしたが、その少ない打席の中でできる限り多く結果を残して、そこから一軍に残っていくことが必要なので。その与えられた打席で、まずは甘い球を逃さないこと。浮いてきた変化球を1発で仕留める練習をここで行ないたいと思いましたし、来季までの課題にもしています。

――今のところ(取材は12月6日)、その課題についてはどうですか?

まだできたりできなかったり、です。いいときもあれば、すぐファウルになってしまうときもあります。そこはこの、今の実戦でしかできないことなので、残り試合で克服していければと思っています。

――シドニーではずっと四番を任されていますね(※編集部注・終盤は三番を打つことも)。いかがですか?

僕は元々、打順は意識しないというか。意識しすぎるといろいろ考えてしまうので、「四番目の打者」という感じで、そこは特に意識していません。それは日本でもオーストラリアでも同じです。

――対戦していて、ABLのピッチャーにはどんな特徴を感じていますか?

日本人のピッチャーはストレートが綺麗ですが、外国人のピッチャーはストレートが少し動くので、ツーシームも含め、そういった球は結構打ちづらいなと思いました。

――そこはおそらくNPBに戻っても外国人投手対策になると思いますが、どういう意識や狙いで対応していますか?

外国人投手が相手だからといって、バッティングの考え自体は変わらないですね。ただ、ABLでは初対戦のピッチャーが多いので、情報もないし、やはり打席に立って感じて、そこで感じたことを元に次の打席で修正するという形です。

――12月1日のメルボルン戦では初回、先制点を取られた直後に同点弾。役割を果たしましたね。第1打席でしたが、相手先発投手の他の選手へのピッチングを見ていて、何か感じたところがあったのでしょうか。

ずっと外の真っすぐとスライダー中心のピッチャーだったので、そのスライダーをケアしながら。もちろん真っすぐのタイミングで入ったんですが、外の真っすぐに逆らわず(右方向へ)、しっかり自分のバッティングで対応できたのが良かったと思います。自分の中でも、あれはかなりいいバッティングでした。

Photo: Baseball Australia


レシピなし料理と気合の英会話


――このオーストラリア生活の中で、野球にしても、生活にしても、何か学びはありましたか?

やはり自炊が結構難しいですね。寺地(隆成捕手)と2人で担当しているんですが、レシピなしで、センスだけで(笑)作っています。

――今後の一人暮らしのいい練習ですね。センスといえば、野球選手の方は耳がいいし、勘も度胸も優れているからか、英語も上達が早い気がします。

最初は、本当に全く分からなかったけれども、なんかその、流れみたいな雰囲気で分かるようになってきました。あとは気合の英会話で、なんとかしています(笑)。

――誰か仲のいい選手はできましたか?

チームメイトは、誰って感じじゃなく、ほんとにみんな仲がいいんですよ。ずっと首位で来ていますし、雰囲気もメチャクチャいいと思います。だから残り試合も、チームのためにもしっかり頑張っていきたいです。

――来年はどんなふうにアピールして、チャンスを掴みたいですか?

ここで積み上げてきたもの、できてきたことを、しっかり春のキャンプインからできるようにすること。春先、とにかく打ってアピールして開幕を一軍で迎え、そのまま一軍で活躍できるようにしたいです。

――日本に戻ったら、外野のどのポジションを守りたいですか?

いやいや、もう全然。試合に出られるなら、正直どこでもいいです。

――でもZOZOマリンスタジアムのライトスタンドの応援を背中に守るのは、最高かなと思います。

ああ、それは本当にいいですね。楽しみです。ライトも守りたいです。

――ちなみにABLの、素朴な応援はいかがですか?

日本みたいに声を揃えての応援とか鳴り物とかがないじゃないですか。だけど、一つひとつのプレーで、特にいいプレーがあると、球場中が盛り上がるのがいいですね。名前以外は、何を叫ばれているのかよく分からなかったけど(笑)。そういう、海外ならではの雰囲気も楽しかったです。

Profile
やまもと・だいと●2002年8月9日生まれ、鳥取県出身。開星高から21年、育成ドラフト3位で千葉ロッテ入団。180cm90kg。右投右打。外野手。プロ入り2年目の7月に、支配下選手契約を結び、
初の一軍昇格。プロ初ヒットは23年5月24日の西武戦で、青山美南人投手から。24年は一軍5試合に出場、打率.111。イースタンでは本塁打、打点の二冠、打率.279。ABLでは22試合に出場、
打率.284、打点8、本塁打1(数字は12月21日現在)。

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