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「あびら教育プランとわたし」Vol.8〜安平町で見つけた社会教育・学校教育と私のこれから〜

あびら教育プラン」に何かしらの形で関わってくれた方々の想いを聞く連載企画、「あびら教育プランとわたし」。
7月から約1ヶ月「地域おこしインターン生」として「あびら教育プラン」に関わってくれた、”つるちゃん”こと鶴田響月(つるた ひびき)さんに、インタビューを行いました!

教員採用試験中の貴重な時間を使い、1ヶ月関わってくれたつるちゃん。最初は学校視点での“教育”との違いに戸惑いがありましたが、意見を伝えてくれたり、企画づくりにも挑戦をしてくれました!学校教育の勉強をしてきた彼が、社会教育(あびら教育プラン)に関わりどのようなことを感じた1ヶ月だったのか。ぜひご覧ください(^^)
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自己紹介をお願いします。

東京学芸大学 教育学部 4年の鶴田響月です。大学では、理科教育や初等教育を中心に、教員を目指して、勉強しています。
東京都の教員採用試験の1次試験と2次試験の間、5週間、インターンに来ました。
生まれも育ちも東京だったので、初めての長期の地方生活、ワクワクドキドキでした。

今回のインターンに参加したきっかけを教えてください。

インターン参加のきっかけは、安平町役場のHPにあった、インターン募集のページを見つけたことです。
昨年の秋ごろ(私が大学3年生のころ)に、大学の掲示板にあった、北海道の他の町の地域おこし協力隊×教育の募集を見て、初めて「地域おこし協力隊」の存在を知りました。その募集は、休学が条件だったので、なくなく断念したのですが、そのときから、頭の片隅に、地域おこし協力隊×教育が引っかかっていました。その後、大学4年生になるときに、
「このまま教員になっていいのか?」
という感情がふと高まりました。
そこで、頭に引っかかっていた、地域おこし協力隊×教育をキーワードに、ネットサーフィンしていたところ、募集のページを見つけた。
という感じです。

主にどのような活動をしましたか?

あびら教育プランのスタッフとして、前半3週間はあびらぼや遊育の補助スタッフを行いました。後半2週間は、プレーパークであるガンケ山での虫採取企画を考えつつ、様々な業務を行いました。


あびらぼや遊育の活動は、大学でうけた学校教育の知見を活かしたり、疑ったりしながら、「社会教育とは?」を考え続けていました。
ガンケ山の虫採取企画は、子どものプレーパークでの遊び方が固定化しているという先輩方の問題提起から生まれた企画でした。
企画の骨子は先輩方から頂いたのですが、企画の詳細や運営はゼロから考えました。企画を考えるときに意識したのは、どうすれば順調に虫捕りができるか、ではなく、どうすれば子どもが主体的に遊び出すか、ということでした。これに頭を悩ませながら、企画を組み立てていきました。

いざやってみると…
虫捕り当日やトラップの回収は、想定外のことが多かったです…。
しかし、子どもたちの、楽しそうにトラップをつくってガンケ山にしかけに行く様子や、あくる日にビビりながらも虫がいるか確認する様子を見れて、嬉しかったです。

企画の詳しい様子は公式Instagramを見ていただければと思います。

活動してみてどうでしたか?

総じて難しかったです!!!
教員養成系の大学で、教育実習を2度経験してきましたが、あびら教育プランの教育方針や方法論を体現できるような立ち振る舞いをするのが大変でした。
学校教育は、「学習指導要領」で全国一律で学習しなければならない学習内容が定められているのに対して、あびら教育プランは、子どもの思考の先が学習内容でした。そのため、子どもの興味がどこに向かうのか、興味を向ける対象が準備されているのか、興味を他のものに向けたり広げたりする足場架けはできているのか、など、これまで感じてこなかった子どもとの関わりを知れました。
知ったはいいもののそれを体現するのが、物凄く大変でした。子どもの興味がどこを向いているのかを掴むことや、興味を他のものに向けたり広げたりする方法が特に難しかったです。
インターンを終えた今も、正直、あびら教育プランの真髄を理解できたかといえば、そうではないし、体現できたかと聞かれても、深く頷ける自信はありません。ただ、子どもたちは、私が思っている以上に、いろんなことに興味があるし、できる・できないの行動基準をあまり使わない、ということは、確かに分かりました。
けん玉はできないけど、けん玉遊びに挑戦する子。
突発的な言葉遊びから、自分なりの遊びをつくり、ずーーーとその遊びを続ける子。
自分と同じような体格の子どもができているのだから自分もできると信じて、大人の心配をよそに、高いところに登りだす子。
そんな子どもたちに対しては、「何かする」のではなくて「何でもできるようにする」という教育態度が大事になることを、5週間で学びました。
そして「何でもできるようにする」というのは、『受動的な態度で子どもが何かしらに興味を持つのを待つ』のではなく、『能動的に子どもを知って、その子どもがしそうなことを仕掛けたうえで待つ』ということなんだと、あびら教育フォーラムの講演やその後の虫捕り企画、ゆういくマルシェで感じ取りました。

約1カ月間、安平町の教育や社会教育に関わってみて、学校教育との違いなど、何か得るものはありましたか?


違いはたくさんありました。
安平町には、学校教育の面では、学校と地域の垣根を極力減らした先進的な学校があり、社会教育の面では、私有地の山を丸々切り開いてつくったプレイパークがあります。
東京にはないものばかりでした。
違いよりも、同じ部分に気づけたことの方が、得るものは大きかったです。
それは、東京だろうが、安平町だろうが、「子どもには予測不可能な時代であっても、自分らしさを保ちながら、自由に生きて欲しい」という教育思想は同じだということです。
インターンに来る前は、地方には地方独自の教育があるのだと思っていました。だからこそ、インターンに行けば、見えなかったものが見えるようになったり、新鮮な教育思想を浴びられるんじゃないかと思って、インターンに応募をしました。
でも、安平町に来て、確かに施設などのハードの面は東京とは違いますが、子どもを第一に思うところや、教育の目指す先など、根本の教育思想は同じなんだと、分かりました。

話は少し変わるのですが、インターンの間、学校教育と社会教育とのつながりを考える中で、
「学校が社会を知らないのと同じくらい、社会も学校を知らない」
ということに気づきました。
インターンに来て、しばらくの間は、安平の教育を知るとき、自分がもっている薄っぺらい学校教育の考え方や知識のフィルターを通してモノを見ていました。
そんな薄っぺらい考え方や知識を踏まえたフィードバックを、教育プランのスタッフの方々に伝えたとき、お世辞だったのかも知れませんが、新鮮に私の話しを聞いてくださいました。
また、町内の様々な人に会って話しをしているとき、町内の方々から、
「安平町の教育ってすごいことになっているんでしょ?」
と質問されることがありました。
そんな経験をしている中で、
社会は学校のことをよく知らない、知らされていない
ということに気づかされました。
安平町に来て、社会教育や地域の方と接することがなければ、この気づきは得られなかったと思います。


今回の経験をどう活かしていきたいですか?

今回、約1カ月来て、方法的なことも、思想的なことも、実情的なことも、様々体験することができました。
この先、私が学校教育の世界に行くのか、別の世界に行くのか、東京で暮らすのか、地方で暮らすのかは正直、分かりません。
ただ、今回気づいた、東京と地方の相違点や共通点、学校教育と社会・社会教育のつながりは、最大でも人生の羅針盤のような役割を、最低でも体を支える杖のような役割をはたすと思います。
とりあえず、半年後(大学卒業後)の進路が何も決まっていないので、今回のインターンの経験をもとに、じっくり考えたいと思います!


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つるちゃん、ありがとうございました!
私たちスタッフも、学校教育の観点からのつるちゃんの意見がとても参考になりました!この経験が、つるちゃんの未来にも意味あるものとして影響する経験になったら嬉しいです^^

あびら教育プランでは、今年度も地域おこしインターン生を募集中です!
ご興味ある方や、話を聞いてみたい方はWEBサイトのお問い合わせフォームより受け付けております!


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