さっちゃんはね
さっちゃんはね
電気に似ている
ほんとはね
さっちゃんの
熱い吐息がうなじにかかると
体じゅうの細胞のひとつひとつが
細かくふるえだし
さざ波が駆けめぐる
さっちゃんの短い髪の毛が蛍光を発する
さっちゃんの光る体が
太陽の熱で僕をいだきかえす
熱量をもったエネルギーが昂まり
蓄積されてくると
ものみな輝きはじめる
道ばたの一木一草
子犬
小川
山の稜線
空
みな透明に耀いて
光に満ちあふれる
ああ お腹の中に
太陽を孕んでいるようだ
エネルギーが身にあふれ
背骨に沿って上昇する
あふれかえる光の洪水
いつしかふたりの寄り添う体は
指先から霧のように
吹き零れる
七色の粒子になって
風にながれ
十方微塵に広がっていく
跡に残された
こまやかな無数の光の粒子が
公園のベンチの上で
それでもなお
なんとか人の形を保ったまま
不思議そうに首をかしげ
宇宙について
考えている
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