約束の島 長澤靖浩
(詩文集『生存権はどうなった』コールサック社 所収)
この島は約束の地
誰もが
雨風をしのぐ屋根のしたで
仲間とともに
豊かな実りを口にし
肌にやさしい服を着て
好きな歌をうたい
読みたい本をよみ
躍りつかれて眠る
病のときは手当をうけ
仕事をうしなえばさがしてもらえる
どうしても働けなくなったら
あなたが人らしく生きるために
必要なものすべて
皆があなたにとどけてくれる
この島は約束の地
足がなえた人は
車椅子で
目の見えないひとは
愛すべき犬と一緒に
好きな場所へ出かけ
会いたいひとに会う
一番困っている人がお先にどうぞ
力あるものは
それをささえる
きれいな水
おいしい空気
樹々は風に梢を揺らし
やさしい人たちと一緒に笑う
この約束はすべて
国があなたに誓ったもの
この島は約束の島
無謀で残虐な戦争に敗け
焦土と化した島の上で
皆でともに交わした約束
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