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長澤靖浩
2019年5月16日 09:42
(ロスアンジェルス 羅府新報 新春文芸コンクール 小説部門一席) 午後から急に重苦しい雲が空を覆い始め、やがてじとじと嫌な雨が降り始めた。雨具を持って来ていなかった私は、小学校の名前が大きく印刷してある黄色い傘を借りて、運動靴をまだ浅い水たまりに湿らせながら、帰宅してきた。 玄関先で音をたてて、雨の滴に揺れる金木犀の厚い葉をふと見た。どの葉もそれぞれ、 雨の落ちる衝撃に上下して、 交響楽