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シスコが質問ツールのslidoを買収。Webexでの"インタラクティブ"なコミュニケーションを強化する

自分の領域で大きなニュースがあったので、まとめてみる。今後はこういう真面目noteを増やしていきたい。。。


要点 ↓

・Webex強化が目的
・買収金額は非公開
・slidoはこれまで同様に使える(Webexに取り込まれることはない)


シスコが、slidoを買収することを決定し発表した。来年5月までに完了予定。

slidoとは、イベントや会議で使われるツールだ。

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↑ 質問機能


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↑ 投票機能

質問をスマホで受け付けて画面に表示する機能やリアルタイム投票機能で、場を盛り上げたりオーディエンスの理解を深めたりするのに使える。

一方通行のコミュニケーションではなく、双方向(インタラクティブ)なコミュニケーションになる。

結果的にはイベントの参加者エンゲージメント向上、会議等の議論のパフォーマンス向上につながるものである。



打倒ZoomのWeb会議ツール「Webex」の強化が目的

WebexというWeb会議ツールをご存知だろうか。Zoomのド競合である。Zoom創業時「シスコのWebexがあるのに、なんでZoomなんか要るんだ?」と言われていたらしいので、実はこの領域ではWebexのほうが老舗。

Webexとしては、Zoom(更にはTeams, Google Meet)に対して巻き返しを図りたい。そこでslidoの買収を決定したということだ。


slidoはこれまで約300万円の調達のみで8年間運営され、今や100名以上の従業員

slidoは2012年に創業し、翌年2013年にエンジェルなのか友人なのか3万ユーロの調達をして、これまで運営してきた。

買収金額は非公開だ。あまり資金調達していない(少なくとも公開されていない)が、従業員100名以上のSaaS企業をProfitableに運営しているということは、なかなかの価値が付いてると予想される。一般的にSaaS企業は長く運営することで利益を大きくあげられ、企業価値が大きく上がるものだからだ。

しかも、slidoはコロナ感染拡大によってユーザーが2倍以上に増えているという。



買収後も、slidoは特に変わらない。Webexに対応するだけ

slidoはシスコグループに入っても、とくに何も変わらないらしい。Webexとの連携は強化されるが、Zoom, Teams等との連携を廃止することはないそうだ。


地味なWebexだが、実は3億人のユーザーがいる

Webex、日本ではあまり利用されていない(コロナ初期はちょっと見かけた気がするが、全部Teams/Zoomに持っていかれてる気がする。)が、全世界では月間で3億ユーザーもいるそうだ。

ちなみにZoomは20億ユーザーなので差は大きいが、それでも3億ユーザーはなかなかのボリューム。


slidoの外部インテグレーションにWebexが無視されていたことが、買収理由の本音か?

slidoでは、Zoom, Teams, Google Meetとのインテグレーション(統合)が提供されている。

このインテグレーションは、具体的にはZoom等のツールの中にslidoを埋め込んで配信できるというものだ。この機能は、かなり人気のようだ。

Webexはユーザー数が上記の巨大サービスに比べると少ないので、slidoとしてはユーザー数の多いツールから先に対応していたのだろう。もしかしたら開発の予定も無かったかもしれない。


ここが、今回の買収理由の本当の理由なのではないか?と考えられる。

そうでなければ買収する意味がない。もしZoomを締め出したいのならZoomとの連携を廃止するように言うだろう(もちろん反発は大きいだろうが)。

そうしないということは、以下の理由が考えられる。

1. 買収でもしないとWebexに連携してくれそうになかったから

2. Webexだけ"強固な"連携をし、Zoom連携はまずまずのレベルにしておくという予定なのかもしれない。一見Zoom等を締め出しているようには見えない取引だが実際は締め出すようにする的な

3. もしslidoがZoomに買収されたらWebex的にはツライ(=Webexが締め出される)なので、これを阻止するため


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ちなみに、slidoは日本でもたまに使われているが、日本語未対応だったりして使いづらいという方がいるかもしれない。

そんなときには、LiveQを触ってみてほしい。(自社PR)