特別天然記念物で始まる2024年
明けましておめでとうございます。
新春らしくおめでたい話でも。
この正月休みに実家に帰省しておりました。コロナの影響もあり実に数年ぶりの帰省です。
実家は岐阜県の山間部にありましてそれはもう自然豊かないわゆる古き良き田舎。
そんな自然に囲まれる実家なんですが、近年野生動物が増えてきているそう。
私が実家にいた30年くらい前はイノシシとかタヌキとかシカくらいしか聞かなかったけれど、10年ほど前からサルが出没して畑を荒らしたり柿や柚子の実を取っていくようになってきた、という話は以前より聞いていました。
そして今回帰省したらなんとニホンカモシカを一昨年あたりから見かけるようになったとのこと!
ニホンカモシカ!
それって特別天然記念物じゃないの!
サルはまだしもニホンカモシカがこの辺りにいるなんて今まで一度も聞いたことがなかったのでめちゃくちゃ驚きましたよ。
昔、三重県の御在所岳に行った時にカモシカセンターというカモシカ保護施設でニホンカモシカを見たことはあるけれど、そんな貴重な動物がこんな所にいるの?ホント?シカじゃなくて?
ちょっと調べて見ると岐阜県内には結構ニホンカモシカは生息しているみたいで、県内随一の都市である岐阜市でも近年は目撃が増えてきているようです。
なるほど。それならさらに山間部の実家辺りにカモシカがいてもおかしくない。
実家に住む父母や弟に話を聞いてみると、カモシカは田んぼの畦や水路の脇でのんびりと草を食んでいたりただ座っているだけらしい。人間が近くを通ってもちょっと距離をとるために移動するだけで逃げようとせずジッとこちらを見つめているだけなんだそう。
父親は「脚が悪いんやろか」と言っていたが、調べて見るとそもそもニホンカモシカはそういう性質らしい。
ウシの仲間で反芻しているから食事後は急に走ったりは出来ないという。好奇心も旺盛で人間をジッと見るクセもあるという。それが絶滅の危機に瀕することになった原因でもあるのだろうが。
しかし天敵だったニホンオオカミが先に絶滅してしまった上に天然記念物にも指定されてしまったので実はニホンカモシカは増える一方なのだとか。だから今まで見られなかった所にも生息域を広げてきたのだろうね。
ともかく近くにいるならぜひ見てみたい!
なんせ野生動物なのに人が近付いても逃げないのだ。
見たいなぁと母親に言うと、残念ながらこの数ヶ月は見かけていないとのこと。気まぐれでこの辺りに迷い込んで居付いたけどまた別の地域へ行ったんじゃないの、と。
そうか残念だなと思いながら、母親の毎日恒例のウォーキングにお供することにした。もしかしたらカモシカを見られるかもしれないし。
私の実家は山のすぐ麓にあって、家の前には山に囲われた10面ほどの田んぼや荒地ばかり。
その10面ほどの田んぼをグルっと囲うように舗装された道路がありそれが農地と山との境界線となっている。その道を歩くのが母親のウォーキングコースとなっている。
歩いて10分しない内に母親が言う。
「あっ、おるがね」
エッ!?と思って前方をよく見ると道の脇に何か茶色い生き物が!これが噂のニホンカモシカ!?
こちらにはお尻を向けているのでよく分からないがとにかく動物なのはたしか。
もう少し近付いてみる。
「あれー、久しぶりにおったがね」と母。
我々に気付いて俊敏にピョンという感じに移動する動物。その動きはシカっぽいけど。
「カモちゃん!」と呼びかける母。
名前付けとったんかい。
取り敢えずその動物がいた辺りまで歩を進めて移動した先を見る。すると…
いたー!ニホンカモシカだ!
おーちゃんとツノ生えてるー。目の下の黒い線もカモシカの特徴だ。
サイズは大型犬くらいだけど昔カモシカセンターで見たのよりは小柄な気がする。
さすがに特別天然記念物なので刺激しないようそっと離れないといけない。写真を撮ったらすぐ通り過ぎそのままウォーキングを続けました。
こうして幸運にも1日で野生のニホンカモシカに出会うことができました。毎日歩いている母親もここしばらく見かけていないと言っていたのに。本当にラッキーでした。初詣でおみくじ大吉だったからね!ここで運を使い果たした気もするけど。
これからもずっとこの辺りに住み着いてくれるといいな、農作物は荒らさなければ…ね。
正直家の周りでも農業をやってる家が減ってきてるから米づくりをやめた田んぼも多い。そういう所は草むらになってるし畦道とか水路脇とか農道脇の草を刈って手入れをする人も少なくなっていると聞いた。写真を見たら分かるように冬なのに草ぼうぼうでちゃんと手入れされていないことが分かる。
だからこうしてカモシカのように草を食べてくれる分には大歓迎なんだけどね。サルやイノシシは草を食べずに農作物ばかり狙うから困ったもんだけど。
最後に一昨年まだガラケーだった母親が撮影したカモちゃん(毛の色からして今回のと同じ個体ではないと母は言うが)
では今年もよろしくお願いします。