見出し画像

みる

「おーーぅい、みているかい?」
「ええ、みていますよ。」
「本当に、いや疑ってるわけじゃねぇが、みているかい?」
「みていますよ、本当に。」
「良かった‥。みてくれているのか。ただ、今はみてくれているかもしれねぇが‥これからもみてくれるかい?」
「ええ、みていますよ。ずっと。」
「嘘つくんじゃねよ!ずっとなんてみていられるか!ずっというとあれだぞ!?あのー、長い時間ずっと俺をみているっていうことなんだぞ?」
「ええ、だからみていますって。ずっと、ずっと。」
「なんだ、わかってたのか。」
「ええ。」
「わかってたなら良かったよ。これで心置きなくみられることができる。」
「‥‥‥。」
「それにしてもお前も物好きだよな?俺のことをずーーーっとみてくれているなんてよ。」
「‥‥‥。」
「まああれだ、退屈になったら早めに言ってくれよ?またみていてくれるやつを探さねえといけねぇからよ。」
「‥‥‥。」
「ウソだよ、ウソ。ウソに決まってんじゃねえか!だってお前、ずっと俺のことをみてくれるって言ってたじゃねぇか!なぁ?他のやつなんて探す必要ねぇよ!」
「‥‥‥。」
「まあでも、助かってるってのは本当だ。ずっとみてくれているもんな。」
「‥‥‥。」
「誰かにみてもらってねぇと気が狂っちまうからよ。」

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?