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AI翻訳と外国語学習 〜実際にAI翻訳を使ってみる実験 まとめ〜

自分の夏休みの課題の一つとして、「複言語が飛び交う現場で、AI翻訳をとことん使ってみる」活動を、いよいよまとめようと思います。

現在、世界各地にいる18の言語の人たちとオンラインでライブにつながり、チームで協働作業を行なっております。これまでの流れはこちらです。

多言語の環境は、地球の自転を痛感する

まず、今回の実験を行なっての率直な感想です。
アジアのメンバーが目覚める頃、アフリカとヨーロッパの友人は眠りにつき、アメリカ大陸の友人は仕事から帰路につきます。私(日本)が昼食を食べる頃、中東やヨーロッパの友人たちが起き始め、アメリカ大陸の友人たちは眠りにつきます。

ですから、まずログインした時の最初の挨拶はこんな感じです。

みなさん、おはようございます。こんにちは。こんばんは。おやすみなさい。

そして、私が覚えた挨拶です。helloの他にも

hallo / salut / hola / pagi / chao / 你好...

これを相手の言語に合わせて素早く挨拶しています。日本語はアルファベットと漢字を使えるので、これらの言語は挨拶が簡単ですが、アラビア語、タイ語、韓国語はその都度AI翻訳を起動させないと文字を入力できません。

またドイツ語などのウムラウトやベトナム語の音調記号(文字についている小さな記号)も出せませんが、アルファベット文字だけでもある程度は相手に通じます。

チーム全体で活動する時、時間設定が鍵になります。つまり、全員が起きていられる時間。私の印象では日本時間の午後1時だなぁ、と感じています。ヨーロッパの早朝、アメリカ大陸の深夜に当たります。

DeepLとGoogle翻訳の使い分け

基本、日本語 ⇄ 英語への変換はDeepLを使用します。
DeepLで訳すのはドイツ語、オランダ語、デンマーク語、ルーマニア語、フランス語、スペイン語、ポルトガル語、イタリア語、ロシア語、中国語(簡体字)です。

DeepLは主にヨーロッパの言語ですが、日本語と中国語にも対応しているので、日本語話者にとっては便利です。

これらの言語は、DeepLのアプリで日本語入力→対象言語に変換→再び訳した文を日本語に変換して意味を再確認、という流れです。ただ、再確認で日本語に訳したときに意味が変わってきた場合、対象言語→英語に変換して単語を確認します。

Google翻訳で訳すのはインドネシア語、アラビア語、トルコ語、韓国語、ベトナム語、タイ語です。まずDeepLのアプリで日本語入力→英語に変換→英語の文章をGoogle翻訳にコピー→対象言語に変換→訳した文を日本語で再確認。

ここでも、再確認で日本語に訳したときに意味が変わってきた場合、対象言語→英語に変換して単語を確認しています。韓国語だけは英語を介さずに日本語→韓国語の方が自然な印象です。

Google翻訳は表現できる文字の数が多いので非常に便利です。

意味確認:2つの言語が使えると便利

AI翻訳はかなり進化しているとはいえ、日本語に戻した時に意味が「あれ?」となることも多くあります。特にDeepLで気になるのが「あまりにも自然な日本語」の表現です。

DeepLは訳がとても自然でいいのですが、あまりにも自然なため、日本語で曖昧な表現になる複数や主語も省略して訳すことがあります。対象言語で表現している「複数」「代名詞」が日本語の訳に現れてこない、というとわかりやすいでしょうか。

例えば、a stone も stones も、日本語では「石」と訳されます。また I, we, you  もこちらの意図と異なる場合が多いです。この場合、いくら表現を変えて日本語を入れても、また意味が異なってしまうこともよくあります。その場合は、英語で入力した方が正確な表現につながることが多いです。

また日本語の語順は多くの言語と異なるため、対象言語のどれがどの単語を表しているのかわかりにくいのですが、英語だと語順で合わせていき、一つ一つの単語の意味を確認できます。そして、ドイツ語などでは英語と若干語順が違うことがあるのだ、とよく感じます。

特に意味の正確性を確認したい場合は、日本語 ⇄ 対象言語だけでは(まだ現時点では)不安が残ります。対象言語を日本語ともう一つの言語で確認できる、というのは強みだと思います。

音声の確認もかなり楽しい

DeepLもGoogle翻訳も、対象言語を音声で聞くことができます。これがとても楽しいです。こちらはDeepLの画面です。

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チャットでは文字でしかやりとりがありませんが、こうして時々音声を再現すると、その言葉を入力した相手の「声」を聞いたような気がして、とても嬉しくなります。

言語によっては文字から音を想像できるものもあれば、違ったものもあります。インドネシア語は文字の通りの発音だなぁと思いましたが、ベトナム語はかなり柔らかい印象でした。私のチームのベトナム語の人たちはとてもおしゃべりが多いので、そのイメージも合わさったのかもしれません。

私にとってはタイ語とアラビア語が文字の印象と音の印象がずいぶん違うのだなぁ、と思ったのが大きな発見でした。普段の生活でなかなかタイ語もアラビア語を聞く機会がありませんので、今回のこの実験でグッと身近になった気がします。

各国の状況

今回、AI翻訳をうまく利用しているなぁ、と思ったのはフランスに住むアメリカ人とインドネシアに住むスペイン人でした。おそらく日常でも翻訳を使っている機会が多いのだと思いますが、私を含めてこの三人が様々な言語で掲示板で発言すると「いくつ言葉を使えるの?」と驚かれます。

また、どの人も自分の言語で話しかけられるととても嬉しい、特に相手が頑張って自分の言語を使っているとわかると、とても喜んでくれます。日本語を勉強している人たちがチームにいて、一生懸命ひらがなを打ってくれているのを見ると、私もとても嬉しくなりました。

一方で、あまりに様々な言語でやりとりをしていると、掲示板で他の言語の人たちから「通訳してほしい」と頼まれることもよくありました。中には非常に込み入った内容があって、これは私の訳次第では大問題になりかねない…というものもあり、変な緊張をしました。

中国に住んでいる人たちは、DeepLもGoogle翻訳も使えない、ということを知りました。だから彼らは言語によってはゲーム機能の翻訳では全く意味がわからないので、私が中国語に訳して渡しています。DeepLは中国語(簡体語)にも対応しているのに、実際には中国内では使用できないみたいですね。とても不便しているのだなぁ、と思いました。

アメリカ西部の山火事はかなり深刻で、屋外での活動が制限されているようです。アメリカに住む人たちの会話の中でよく「AQI」というワードを目にしました。空気質指数(Air Quality Index)のことで、大気汚染の程度を示す指標だそうです。

AQIが100を超えるとあまり綺麗とは言えず、150を超える有害となるそうです。AQI 51からは敏感な人の一部には健康に影響が出始め、151からは誰もが影響を受けるとのことですが、日によってはこの数字が200にいくこともあるそうで、下がっても100とのこと。

毎日会話で「今日はAQIが__だった。」という感じ。綺麗な空気を求めて海沿いへ短期旅行するケースも多いそうで、週末は海岸沿いはかなり混雑しているみたいですね。

まとめ

今回、1ヶ月近く多言語が飛び交う現場で、AI翻訳をとことん使ってみる活動に取り組んでみましたが、非常に面白かったです。今ではチームメンバーが使う18言語は、見れば何語かある程度わかるようになりました。

チャットだと文字情報が主流なので、何よりもまず「早く何語かわかる」「早く読む」スキルが必要だと感じました。日本語以外にももう一つ言語ができると、意味確認でより正確なものを目指すことができます。

これまでは「英語は世界共通語」だと思ってきましたが、参加者は英語がわからない人が多い、特にアジアとヨーロッパでは英語で書いてあると「読まない」人も多くて、これは驚きでした。でも、英語が苦手な人が読もうとしないのは日本人でも同じですね。

どこかで「外国の人は英語ができる」という変な先入観があったのかもしれません。今は、最初から英語で書くのではなく、まずは相手の言語で書く。そして確認をしてからお互いにわかる英語で書く、という順番で物事を進めています。

以上、この夏休みの自由研究についての報告でした。

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