チームづくりを2つの意見が異なる本から振り返る
チームづくり、マネジメント、組織開発etc. 人に関わることに明確な正解はなく思考し続けることが大切だと思っています。
しかし、一方で考え続けるだけでなく組織で成果を出すために、マネージャーなどの立場の人は早急にチームづくりについて学ぶ必要が出てきます。
この重要かつ正解のないテーマは自分の経験だけを書いても偏ってしまう可能性があるので、
極力多角的に考えられるように組織コンサルティングの会社の方々が書いた本2冊から引用しながら書いていきます。
考え方の異なる2社
今回参考にさせていただくのは以下の本です。
THE TEAM 5つの法則
当時リンクアンドモチベーションの取締役をしていた麻野 耕司さんの本です。
識学の代表取締役社長の安藤 広大さんの本です。
日本の組織コンサルティングでまっさきに思い浮かぶ上場企業2社ですがモチベーションの必要・不要という点で真逆の考え方をしています。
多角的に考えるために両方読んだ上で自分が共感できるポイントに触れるのが良いと思いました。
理解してから理解される
THE TEAMで世界的ベストセラーの「7つの習慣」から引用されてることなので、
引用の引用になるのですが、それだけ「理解してから理解される」は超原則と言えると思っています。
人は自分のことを理解してくれている人のために何かをしたいと考えやすくなります。
THE TEAMでは『他のメンバーの「経験」「感覚」「思考」「能力」を理解する必要があります』と書いてあります。
理解できると何が良いかというと、仕事を頼む時にもその理由を伝えられるようになります。
理由を漏れなく伝えることで行動の確実性が高まります。
「伝わる」には度合いがあり、相手を理解して伝えるかどうかでその度合いが変わります。
実行力のないチームでは「メンバーを理解する→理由を伝える」というコミュニケーションが疎かになっている気がします。
私が売上成績が1番高いチームを創れた時は、メンバー個々の特性に合わせてどの顧客に注力するのかを伝えていました。
その時のチームメンバーの採用面接からコミュニケーションを取っていたのは私で、入社後もすぐに時間を取って会社のミッション・バリューについて伝える時間を取り、その後も定期的に1on1を実施していました。
どこまでいっても人を理解しきることは不可能ではありますが、
それを忘れずに理解しようとし続ければ、自ずと伝える時の言葉も出るようになるのではないかと思います。
己を晒して心理的安全性を作り出す
これは私がチーム創りにおいて最も意識していたことの1つでもあります。
「どうせ・しょせん・やっぱり」というネガティブな考え方が、改善活動を阻害します。
心理的安全性はGoogleから生まれた言葉ですが、積極的な発言や行動を引き出すために重要なのが心理的安全性です。
心理的安全性がないと閉塞感のある発展が遅い組織になってしまい、それは一番避けたいことでした。
THE TEAMによると心理的安全性を阻害する原因は「無知、無能、邪魔、批判的だと思われる不安」です。
そして、それを防ぐためにチームがつくり出すべき機会は「率直質問」「失敗共有」「発言促進」「反対意見」です。
リーダーはこれらの機会をつくり出し、その行動を肯定することが重要です。
例えメンバーが甘い考え方をしていても、そこにフィードバックするだけでなく、行動までできていた時には「行動できたのはいいね!」と伝えるように私は意識していました。
そして、ことあるごとに私もフィードバックするだけの立場ではなく、
フィードバックを受ける立場だということをメンバーに表明していて、
冗談でしょうが「しばき合いの精神?」という言葉も生まれてたくらいなので心理的安全性を確保した空気をつくることには成功していたのではないかと思います。
あとはプライドを持ち過ぎずに些細なこともメンバーにも率直に聞くようにしていました。
あまりその数が多すぎても良くないかもしれませんが私はファイルの場所やその操作方法などよくメンバーに聞いていました。
自分が苦手な仕事をやってもらうときには全力でありがとうと言っています。
弱い姿を晒すとメンバーからの求心力が落ちると心配になるかもしれませんが、
愚かな姿を晒してきた自覚のある私でも、リーダーシップの源泉タイプをメンバーから「専門性」とマッピングされていたので、
自分の領域の仕事をしっかりやっていれば問題はないのだと思います。
組織運営の問題は誤解や錯覚から生まれる
続いて識学のお話しです。
認識のズレをなくすことは組織運営上で非常に重要です。
認識のズレがあると、成果まで遠回りになって会社としても良くないですし、従業員としてもやったことが評価に結びつかず徒労感に見舞われます。
例えば極端な例だと、エンジニアがシステムをせっかく開発したのに、それが全く評価されずに作り直しになったら、エンジニアとしては発狂ものです。
その一方で大なり小なり認識のズレは人と人との間に常に発生しているもので、
組織によってはこれが蔓延しており、それ故に例に挙げたようなやり直しが起きる可能性があります。
特にベンチャー企業だとカオスな状況とよく言われますが、
その状況を仕方ないと甘んじずにできる限り定義と整理を行っていくことが必要です。
例えば「みんなでやることは良いことだ」というざっくりしすぎた価値観は危険で、
誰の仕事かを定義しないと仕事が放置される可能性が高くなります。
落ちたボールを拾う文化を作ることと同時に、役割をしっかり定義してボールが落ちないようにすることは必要なのです。
求めていることを明確に伝える
何で評価をするかをしっかりと伝えます。
できれば明確になる数値化できるものにします。
会社によっては新規契約数だったり、継続率だったり、レイヤーによっては数値化された顧客満足度だったりと場合によって異なりますが、その時重視したい数値を定義しましょう。
識学における悪い伝え方の例として「○○さんみたいなマネージャーになってくれ」ということが挙げられていますが、
これは求められているゴールが明確にイメージできずに行動しにくくなっています。
またゴールに達するために○○さんみたいになることは必ずしも必要ありません。
成果を上げるために形を最初に真似ることは有用な手段ですが、人によって才能は異なるのでそれを理解して行動することも成果を出すためには必要です。
一定ラインからは細かく口を出さない
これはメンバーがどのフェイズにあるかで異なります。
例えば新卒に何も教えないというのは酷なものです。
初期のフェイズでは細かく教えることも必要になります。
知識として仕事のフローを覚えたメンバーには細かく口を出し過ぎない方がいいでしょう。
どうしたらできるかを自分で考えることでメンバーは成長します。
目標設定して、どうしたら達成できるかを聞いて、考える機会をつくるのがよいでしょう。
数値目標設定をするというと冷たい印象もあるかもしれませんが、
そのためのプロセスを自分で考える創造性を発揮できるという点で、
識学は非常に人間らしくいられるすばらしい考え方を含んでいると思います。
言及したこと
私がここで触れたのは「THE TEAM 5つの法則」の「コミュニケーションの法則」で、ここに重要な原則があると個人的に感じたので言及しました。
「5つの法則」なので他に4つあります。
識学に関しても触れたのは「問題は誤解や錯覚から生まれる」という前提部分とそれに関わるメンバーマネジメントについてだけです。
他にも強烈な考え方などもあるので興味のある人はぜひ読んでみてください。