"知っているようで知らない"メンバーの価値観を開示する仕組み
こんにちは、HeaRの安部(@abe_motivator)と申します。
先日とあるシゴトレユーザーの方から「安部さんは、メンバーのことをどれだけ理解していますか?」「会社として、どこまで自己開示を要求していますか?」というご質問をいただきました。
当然、社歴も長いことや、人事という観点から「ある程度理解できています」という反応をしたものの、だんだんと「あれ、本当に自分はみんなのこと理解しているのだろうか?」と不安になりました。
我々は「働く前に全部話そう、働く前に全部聞こう」を強く意識して採用活動をしているので、従業員の経歴や今後成し遂げたいことについては、入社前から開示しています。これはとてもいいことだと自分たちでも自負していますが、どこかで「カルチャーフィットしているんだから、みんなもきっと同じ事思っているはずだ」と、思考が固まってしまっているケースがあるのではないかと。
そう考えると……
・何であの時○○さんはこんなこと言ったのだろう?
・何故同じゴールを目指している(ゴールの解像度は一緒なはず)のに、意見が割れるのだろう?
・そういえばあの時、自分の意見に対して○○はきっと納得いっていなかったんだろうな
という過去の場面が、どんどん思い浮かんだんですよね。
前回書いた「小さな違和感」は、組織として早めに潰したほうが良いというnoteでも、小さな違和感の積み重ねは失点(組織の出血)に繋がると述べていますが、まさしく「価値観を知らない事による違和感」も該当すると思います。
今回は、そんな自分の体験から、「価値観の開示」をテーマにnoteを書いていこうと思います。
■同じ組織に属するからと言って、価値観が同じだと勘違いしないほうが良い
まず、前提として価値観に正解/不正解はありません。
当然、倫理に反していたり法律違反のものは不正解かもしれませんが、自分の正解を周囲に強要するのは辞めたほうが良いですよね。そして、自分の価値観を周りも同じように思っているとは限らない事を認識することが大切です。
意見が対立し、雰囲気が悪くなる原因の一つに「自分は正しい」と思い込んでしまっているというケースがあると思います。もし「それも正解だよね」と認めることが出来れば、お互いが上手く折衷案を出そうと前向きになれるはず。
そして厄介なのが「同じ組織に属しているのだから、価値観も近いだろう」と誤認すること。よくあるパターンとしては「このミッションに共感しているのだから、○○でないとおかしい」と決めつけてしまうことです。
同じ組織でも価値観の違いは当然出てきます。そもそも価値観は仕事だけで培われたものでは無く、幼少期からの原体験や、家庭環境なども大きく影響してくるものだからです。「前職がみなHR領域出身だから、みんなこう思っているはずだ」などの決めつけは当たり前ですが危険です。
■受容するのではなく「知っている」事が歪を無くす為に必要
しかし、価値観の違いを「受容」することはすごく難しいことです。全く異なる価値観を受け入れ、取り組むことは、言い換えれば「自分のバックグラウンドを否定されること」に近い。
それが故、受容し取り入れることが出来る人の市場価値は非常に高いと思います。ただ、全員が出来るとは思わないほうが良いですし、ましてや強要するのは良くないですよね。
ではどうしたらいいのか?
あくまで僕の持論にはなりますが、受容するのでは無くて「許容」することだと思っています。
☞受容:価値観を受け入れて、取り込むこと。
☞許容:理解して(許して)、認めること。
リスペクトのある組織は、許容が出来ていると思います👆
そして許容するには「知っている」ことがまずは大事ですよね。そもそも、知らなければ許容も出来ません。なので組織としては「各々がメンバーの価値観を知っている状態」を作ることが大切です。
この状態を作り出すHowに正解はありませんが、今回はHeaRの事例をご紹介したいと思います。
個人的な感想にはなりますが、価値観の開示を行うことで「共通点」と「相違点」が分かります。前者は知っているだけで親近感が湧き、話題にしやすくなります。そして後者を頭に入れておくと、意見の食い違いに寛容になれます。
■HeaRの事例:5つの質問で価値行動の開示を促す
こちらはあくまで一例ですが、実際に弊社で行った”価値行動の開示ワーク”になります。
ステップ①:以下の質問に答える
☞①高級品を持ちたい/たくさん持っている/これにはお金を惜しまないモノorコトは何ですか?
☞②あなたがHeaR において「この領域の仕事は任せろ」と自信を持って言えるような仕事は何ですか?
☞③HeaR の同じ職種のメンバーや周囲と比べて「相当な量をこなしてきた」と自信を持って言える仕事はなんですか?(前職での経験を含む)
☞④見返りがなくても「ついつい引き受けてしまう役割/お願い」はありますか?
☞⑤お金と地位があってもやり続けたい「みかえりなしで取れる行動」はなんですか?
※15分~20分間のシンキングタイムをとり、アンサーをテキスト化する
ステップ②:テキスト化したものをSlackに投稿し、概要を発表
・各々の投稿がまとまって見れるようにしておく
・ピン留めなどをして、新入社員が見やすい状態にしておく
・各設問「何故そう思ったのか」を補足として口頭で発表
弊社はこちらを2日間に渡って終礼コンテンツとして行いました。ただ、背景や意図などを詳しく説明する場合や、質問などの時間を設ける場合などは1時間や2時間程度、しっかり時間を取っても良いと思います。
👆は前回の全社合宿時の写真ですが、次回のコンテンツ候補になりました
そして、出揃ったところで改めてこのワークの背景や意図(下記)を説明することが効果的です。
☞出てきた価値観に正解/不正解は無い
☞共通点があると話題にしやすいので、引き出しに入れておくこと
☞同じ組織でも価値観の違いは当然出てくるので、全員が同じ価値観だと思いこまない事が大切
☞受容するのでは無くて、許容することが大事。もっと言えば「知っていること」が大事(無理に受容しなくてもいい)
☞価値観に基づいた仕事の割り振りが出来ればBest
☞しかし、仕事によっては価値観と正反対の仕事を任せなければいけない瞬間も出てくるはず。その際に「価値観と反している仕事を任せている」ことを把握することが大事で、知っていればちゃんとケアが出来る。
■価値観を知っておくと、悪い衝突が無くなる
個人的には意見の衝突は起こるべきだと思っております。僕の知る限り、強い組織においては強度の高い健全なディスカッションがあちらこちらで起こっています。ただ、相手の価値観を知った上での衝突と、知らない状態での衝突はかなり差がありますよね。
今回のワークで改めて
・「○○さんは、こういった価値観を持っているから、こんなアウトプットになるのか」
・「○○さんはこういったバックグラウンドでの経験があるから、○○という思考プロセスなのか」
・「以前意見が合わなかった理由は、○○という価値観を持っていることを知らなかったからかもしれない」
と言った、気づきが得られました。
この気づきを得られたことで「相手をリスペクトしたうえでの意見」を提示することが可能になると思っています。
そして「この価値観を持っているのであれば、○○という業務/役割をお願いしたほうがいいよね」という仕事の割り振りにも活きてくることが、何よりのメリットかもしれません。
■さいごに
今回は、「価値観の開示」をテーマに、実際に弊社で取り組んだワークをご紹介しました。一つ注意をしないといけないのは、価値観の開示はもちろん大切ですが、企業側は強要してはいけないということ。
価値観は原体験やバックグラウンドに依存するので、もしかしたら嫌なトラウマを思い出させてしまうかもしれません。それは避けましょう。
そして個人側も「開示したら楽になるかも」と徐々に強度を上げていく形で問題ありません。実際僕も、入社直後から100%開示していたわけでなく、徐々に心を開いていった気がしています(笑)しかし、今思うと「もっと早く開示しておけば防げた衝突もあったな」と反省している部分も多いです。
話は変りますが、もし、本noteを読んで「HeaRに興味がある」であったり、「価値観開示ワークをもっと詳しく知りたい」と思ってくださる方がいれ、ぜひとも一度お話させてください。
そこまでではなくても「青春の大人を増やす」というミッションに共感してくれた方や、事業内容をもう少し詳しく知りたい方、弊社メンバーと話してみたい方などいましたらお気軽に下記からご連絡いただければ嬉しいです!
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