監督は一人だけ特別扱いしている
2012年ロンドン五輪のバレーボール全日本女子を率い、ロサンゼルス五輪以来28年ぶりのメダルとなる銅メダルを獲得した眞鍋政義。
今回は、眞鍋氏の著書を基に、経営や組織開発に共通するテーマを話題提供しています。
これまでに「ロサンゼルス五輪以来28年ぶり!」と「組織で目標達成するために必要な前提とは?」、「個を活かす『役割分担』と『対話』」について、以下の3点についてお話ししました。
・データの活用
・目標設定
・個を活かす「役割分担」と「対話」
についお話しさせて頂きました。
最後となる4つ目は3回目と同じ、「組織」と「個」について。
さて、真鍋氏は、初めて女子チームの監督を務めた久光製薬スプリングスで、女性の世界の洗礼を受けた、と言います。
それは、ある日、強打のレシーブが苦手な選手に真鍋氏が自らスパイクを打って、個人練習させていた時、練習の様子を見ていた選手の一人が、次のように言ったそうです。
「監督は一人だけ特別扱いしている」
男子選手なら、特別練習で弱点のある選手を強化するのは当然と考え、周囲は誰も気にしません。
「あいつ、レシーブ下手だからな」
「特別練習は自分じゃなくて良かった」
と思うのが関の山。
ところが、女子選手は、特定の選手だけに練習時間を割くのは公平性に欠ける、と解釈するのです。
真鍋氏は言います。
「女性の嫉妬は男性よりも強い。嫉妬心は強い負の感情であるだけに、放っておくわけにはいかない。こうした感情がチーム内に伝染し、仮に特定の一人の選手に向けらたら、パフォーマンスにも影響し、最悪、その選手がつぶれてしまう」
つまり、「女子チームは公平性が重要」と気付きます。
一方、「男子チームは上下関係が明確で監督の言葉は絶対」
監督の「こうしろ!」という頭ごなしでも、選手は「はい!」で通じる。
しかし、女性チームの場合は「対監督」で一致団結することも珍しくない。信頼関係を築く中で、徐々に理解を得て進める必要がある、と真鍋氏は言います。
これらを読んで私が感じたことは、
男子チームは、組織構造を重んじる
女子チームは、個の関係を重んじる
ということ。
但し、これらの要素は、ゼロか100か、というわけではなく、バレーボールの男子チームでも、先輩後輩関係なく意見をぶつけたり、新監督に対して挑発的な態度を取る男子選手もいる。
また、女子チームでも、若手がベテランの前では委縮したり、「監督の言うことは絶対」、「言う通りにしていれば大丈夫」という考えに偏りがちで、監督への依存心が強い選手も多い。
つまり、「組織構造」も「個の関係」も、どちらも重要!
でも、最終的に「組織を強くする」目的は同じ。
ただ、男子チームは、組織構造から入り、個の関係を築く。
一方、女子チームは、個の関係から入り、組織構造を築く。
その「順番」と「比重」が異なるだけ。要は、その2つの必須要素のバランスが重要である、ということ。
あなたの会社では、
組織構造が築けていますか?
個の関係が築けていますか?
最近よく、組織化についての相談を伺います。
相談される経営者の方の多くは、最適な部署の構成や適正な情報伝達の在り方について想像されている、と感じており、「個の関係」について見落とされている、と感じます。
あなたの会社では如何ですか?
もし、「大丈夫、ウチは個の関係は良好!」と仰るなら、「組織構造」は大丈夫でしょうか?社員の個々の能力に頼っていませんか?
「組織構造」も、「個の関係」も、両方大事。
現状維持に甘んじることなく、継続的に両方を強化することが組織を強くし、結果が残せる経営を実現するのではないでしょうか。
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