手記(のろいのことばについて)
「高橋君はね、えっとね、難しい漢字を使おうとしているよね」
と、国語の先生が高橋君の横で言うのに耳を傾けておりました。高橋君はパンダちゃんの二つ前の席で、しかも国語の先生は前から順に生徒の作文の癖を指摘して回っていたものですから、ヤバいと思いました。「いいんだけどね、さいきん”躊躇”にはまっているでしょ。”躊躇う”もはまっているね。」高橋君が悲しい顔で先生を見上げている気配がします。最悪です。高橋君はいいひとなのに先生にそんなことを言われるのです。人の癖を指摘するということが