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読書感想
今回読んだのは
桐生夏生『OUT』
だいぶ昔にドラマ化していて、当時は
「センセーショナル過ぎてよく覚えてる」
と母が言っていました。
ネタバレしない程度にあらすじを攫うと、
夜勤の弁当工場に勤務する主婦3人と未婚の女1人が共謀して殺した夫の死体をバラバラにする話。
そこに闇金のチンピラと闇カジノ経営の男、弁当工場で働く日系ブラジル人の若者が絡んでくる。
あらすじだけでも壮絶なんだけど、
この著者はなんといっても
人間の嫌な部分をコレでもか!というくらい書く
ので、バラバラ事件のインパクトよりも人間の心の闇を覗き見るスリルが魅力。
弁当工場の陰鬱とした過酷な労働、それぞれの絶望的な私生活。
読んでいて全く気分が良くない話だけど、雅子の聡明かつ残酷、竹を割った性格でちょっと救われる。
最後まで読むとわかるタイトルの意味
前半は弁当工場の主婦の1人が夫を殺して、それを残りの3人がバラバラにして捨てる過程と佐竹が誤認逮捕されて終わる。
後半は各々が道を踏み外して行く様、佐竹の狂気が雅子に向いていく。
最後まで読むと「なるほど〜」ってなる。
登場人物の魅力
なんといっても、登場人物がみんな濃い。
雅子は前述した通り、冷酷なサバ女。
ヨシエは苦労人。可哀想。
邦子は貪欲で馬鹿な女。憎めないタイプ。
弥生‥コイツが曲者。
スッゲー嫌な女。友達には絶対にいないタイプ。
クラスにいる気が弱くて1人では何も出来ないのに何故か強い子の陰にいて苦労しないタイプ。
強かで何故か男が放っておかない。
だからか、弁当工場シスターズ以外友人がいない。
ラストの佐竹にされた仕打ちはホントザマァでした。メシうまです。
十文字はお調子者チンピラ。後半のキーマン。
佐竹はラスボス。
カズオはピュアな若者。
登場人物のその後を考察するのも面白い。
十文字は逮捕されそう。
確かドラマのオチだとヨシエの姑は生きてるんですよね‥絶望しかない‥!
人の心に住む闇
『柔らかな頬』『女神記』『ポリティコン』(上のみ)
を読んで、人の心の中の闇を描くのが上手いなあと思う。
他の3つと比べるとサスペンス感があって勢いよく読める感じです。
私は肉を食べられなくなりました。笑
まあ、これだけが原因ではないですが〜‥。