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地中美術館(直島)、年パス購入

 地中美術館(香川県、直島)の年間パスポート購入。光の当たり方で表情を変え、このカード自体がアート作品のようだ。

年パス (2)

 地中美術館はモネの大睡蓮を展示する「ために」作られた美術館だ。なぜ現代アートの島にモネ?という経緯は、1991年~15年間、ベネッセで直島プロジェクトを担当した、「仕掛け人」である秋元雄史氏の著作「直島誕生」に詳しい。なぜ、米国現代アートのデマリアやタレルの作品と、モネなのか、も。ヒントは勿論、「光」つながり、そして米国を経由して入って流入した、日本の近現代アート史をふまえて。

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 なぜ「年パス」?には理由がある。第一はもちろん、「睡蓮」の「ために」しつらえられた最高の環境の下で、自然光の下に展示された「睡蓮」を、とにかくいろいろな光で観たいから。これについては稿を改めて

地中美術館01

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 2つ目の理由は、地中美術館が、時間予約制になったことだ。混雑を一定に保つといった理由はもちろんわかる。しかし、せっかくの島旅で時間を縛られることは、非常にストレスだ(もちろん、フェリーの時間に縛られるのは致し方ないことだけど)。

 わたしは通常、港から美術館までを「30分(以上)かけて」歩くのだけど、↓島のこんな景色を眺め、立ち止まりながら、静寂と風の音、遠くの船の汽笛を聴きつつ過ごす時間は格別だ。

画像3

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 年パスがあると、一度はチケットセンターに行って、パスと交換に紙のチケットを発行してもらう手間はあるものの、「いつ行っても入れる」特権がある。

チケットセンター

 1回の入館料2100円、年パス10500円。5回入館で元がとれる計算にはなるが、そこまでこだわらなくても、わたしにとっては、いつ行ったとしても入れる、その魅力が勝った。

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 訪れたのは4年ぶり?だと思う。撮影厳禁、から少し緩和され、安藤忠雄建築の全く「隙のない」建物のさわりだけ、撮影できるようになっていた。

安藤忠雄04

安藤忠雄02

 けれど、前回何を観ていた?というくらい、入ってくる情報量が密だった。一度訪れた(しかもかなりの時間居た)はずなのに、この回廊がどこにつながるかわからない、おそらくもちろん意図された「予測不可能な」建築に翻弄され、1時間以上じっくりかけて対面した「睡蓮」たちで頭の容量がフルになった。

 初日はそこまでで切り上げ。年パスを買って、こういう観かたをするのは好きだ。

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 話戻って、年パスを買った3つ目の理由は、たぶん直島に来る「理由」が欲しかったのだと思う。

 高松港にとても好きな(高松港を望む、高層の)ホテルがあるので、定宿はそこ。フェリーで片道50分かけて直島に上陸し、(バス路線が、まったく逆回りで、所要時間30分となるので)、同じだけの時間をぶらぶらと歩いて美術館まで。ときには、波の音を聞きながら、浜辺でお弁当を開いて。そんなふうに、美術館に「行くまで」も目的のひとつなのだということは、分かっている。

公園03

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 お気楽な人生を送っていながら、贅沢ではあるのだけど、同じ環境で暮らしているそれだけでは、自分のなにかが淀み、あるいはすり減るのを感じる。だから旅を復活させた

 フェリーで海風に吹かれながら移動し、島の山道を歩く、その時間が、わたしにとってのエネチャージになっているのかな、という感覚がある。

直島夕景10



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